
フィリップ モリス ジャパン(PMJ)は9月4日、東京都中央区銀座に「IQOS フラッグシップ 銀座」をオープンした。8月30日に営業を終えた従来の「IQOS ストア 銀座」から場所を移して新たに開いたこの店舗は、フィリップ モリス インターナショナル(PMI)にとってIQOS初の“グローバルフラッグシップ”となる。

オープン前日の9月3日にマンダリン オリエンタル東京で開催した「IQOS フラッグシップ 銀座」新店舗発表会では、サクソフォン奏者・上野耕平、歌舞伎役者・三代目市川右團次と大谷廣松、および囃子方が共演するオープニングパフォーマンスで幕を開けた。その後に登壇したフィリップ モリス インターナショナル グループ最高経営責任者(CEO)のヤツェック・オルザック氏が、この新店舗について説明した。
オルザック氏は直前に披露された歌舞伎を「本質を守りながら、新しい価値を生み出してきた存在である」と称賛。歌舞伎のその姿を、伝統と革新が共存する銀座と、「煙のない社会」の実現を掲げ、紙巻たばこから「煙の出ない製品」へ軸足を移すPMIの変革に重ねた。
銀座は、単なる所在地ではなくメッセージの一部

なぜ、最初のグローバルフラッグシップを日本に置き、その舞台に銀座を選んだのか。オルザック氏の回答は明快だった。日本は2014年にIQOSが世界で初めて発売された市場であり、利用者の声が製品やサービスの改良を促してきた。国内では加熱式たばこがたばこ市場の約半分を占め、IQOSの成人ユーザーは1000万人を超えるという。PMIにとって日本は、完成したものを持ち込む市場ではなく、次の姿をともにつくる市場なのである。
その日本を象徴する街として選ばれたのが銀座で、オルザック氏は「銀座はこのフラッグシップの単なる所在地ではない。銀座そのものがメッセージの一部だ」と表現した。古いものを残すだけでも、新しいものに置き換えるだけでもない。両者を磨きながら共存させることで革新を続ける銀座のあり方が、PMIの示したい変革の方向と重なったということだろう。

PMIの「煙の出ない製品」は2026年上半期時点で世界109市場に展開され、同年第2四半期には世界の純売上高の42%を占めた。一方、オルザック氏は日本での歩みを「まだ道半ば」と捉える。成人喫煙者の好みや期待は一様ではないため、IQOSだけでなく複数カテゴリーで選択肢を広げ、利用者の声を次の改善へつなぐ。その対話の場としても、新店舗は位置づけられている。
1階は「選ぶ」体験、香りから好みを探す

発表会を終え、新店舗「IQOS フラッグシップ 銀座」での内覧会へと移動する途中、同店は20歳以上の喫煙者、銀座のローカルカルチャー、IQOSブランドをつなぐ空間であるという説明を受けた。
店舗に到着すると、まず目に入るのは高さ7メートルのシャンデリだ。松尾高弘氏による光のアートインスタレーション「FLUX – 流れ -」で、吹き抜けを縦に貫く光の造形が、売り場とは異なる店内の第一印象を形作っている。取材は日中だったが、日が暮れてからの時間帯に訪問するとその存在感がさらに増しそうだ。


グローバルフラッグシップの1階で目を引いたのが、自分の感覚を手掛かりに好みのフレーバーを探せる「フレーバーステーション」だ。液晶を直感的に操作して、画面上で好みに近い項目を選ぶと、花をかたどった装置から香りが立ち上がる。嗅覚、視覚、聴覚を使った一連の操作を経て、好みに合う候補が示される仕組みだ。
その先の「ディスカバリーバー」では、フレーバーの知識を持つスタッフと話しながら、実際の選択へと進める。機械が答えを決めるのではなく、感覚的な発見を人との対話につなぐ設計になっている。

店内には製品やアクセサリーも並ぶ。グランドオープンに合わせて登場する「IQOS イルマ i プライム 銀座限定モデルセット」は、オアシスブルーの限定モデルに山中塗グラス2個と特別パッケージを組み合わせたもの。店舗住所の「1丁目8番14号」にちなみ、一台ごとにシリアルナンバーを刻印したうえで、1814台限定で販売する。
2階はブランドの中で「過ごす」場所

階段を上がると、ゆったりとしたラウンジ空間が広がる。グローバルフラッグシップ2階は所定の条件(※)を満たしたIQOS会員と、その同伴者が利用できる「プレミアムラウンジ」。奥の「イマーシブラウンジ」では、270度のパノラマデジタルスクリーンに自然の風景や繊細な映像が広がり、日本の四季の中に入り込むような演出を楽しめる。この演出は季節と共に変化するそうで、内覧会当日は鮮やかな紅葉の風景が眼前に広がった。
1階が自分に合うものを探す場所であるならば、2階は見つけたものとともにリラックスした時間を過ごす場所、と言えそうだ。
※プレミアムラウンジは下記①と②の条件をいずれも満たす方および同伴してご来店された20歳以上の方(2名様まで)限定のサービスとなります。
①フィリップモリスジャパン合同会社が別途定める利用規約に基づきIQOS公式サイトに会員登録していること
②IQOS ILUMA/リル ハイブリッドTMの製品登録があること(ILUMA以前の旧モデルのみの製品登録がある方は対象外)

カフェバーでは、「TEREA」や「ZYN(ジン) by IQOS」のフレーバーを引き立てるドリンクやフードを提供する。内覧会でいただいたのは、「オータムリーブス ショコラ」と「ペアガーデン ティー」を組み合わせた「オータムリーブスシンフォニー」。スイートで濃厚な味わいのショコラに洋ナシの果実感と紅茶の香りの立つペアガーデンティーを合わせると、口の中がほどける。

ガーデン ティーはショコラの甘さを受け止める飲み物としてよく機能しているのだが、底をよく混ぜると今度はドリンク自体の甘さも楽しめる。味の変化も含めて、単に休憩するだけでは終わらない仕掛けになっていた。
コンビニで買える商品だからこそ、新店舗では「体験」を提供

発表会のプレゼンで「グローバルフラッグシップはインタラクティブな場である」と称したオルザック氏に質疑応答で、「まだIQOSになじみのない20歳以上の喫煙者にこの新店舗をどう紹介したいか」を尋ねてみた。するとオルザック氏が重視したのは、買い物よりもそこで過ごす時間だった。製品を見て、試し、スタッフと話し、スイーツやドリンクを楽しむ。15分でも40分でも、店を出るときに「いい時間だった」と思える場所にしたい、という趣旨の答えである。

IQOS製品そのものは、全国のコンビニエンスストアをはじめ、さまざまな場所で購入できる。だからこそフラッグシップに求められるのは、品ぞろえの多さだけではない。ユーザーが自分の好みを知り、ブランドの考え方に触れ、ときにはスタッフや来店者と体験を共有すること。オルザック氏が店舗における“取引(購入)”を最優先に置かなかったのは、この場所を販売の拠点以上のものと考えているからだ。
旧店舗からの物理的な距離はわずか数百メートル程度にすぎないが、新店舗が担う役割は大きく広がった。「IQOS フラッグシップ 銀座」は、製品を買いに行く店から、IQOSを知るために滞在する店へ。日本で育ったブランドが、銀座から世界へ次の体験を示すための、新しい起点になりそうだ。

店舗概要
グローバルフラッグシップ正式名称:IQOS フラッグシップ 銀座(IQOS Flagship Ginza)
所在地:東京都中央区銀座1丁目8-14 銀座YOMIKOビル1~2階
オープン:2026年9月4日(金)11:00
営業時間:11:00~20:00
アフターケア・ラウンジ受付終了:19:30
アクセス:銀座一丁目駅徒歩1分/銀座駅徒歩3分/有楽町駅徒歩7分
入店条件:20歳以上
(取材・文/西本心)
