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【インタビュー】『ネバーアフターダーク』デイヴ・ボイル監督が目指した“これまでにない”幽霊屋敷ホラー[ホラー通信]



俳優・賀来賢人と映画監督のデイヴ・ボイルが共同設立した映像製作会社「SIGNAL181」の第1弾長編映画、『Never After Dark/ネバーアフターダーク』が公開中だ。


“霊体の姉”を連れた霊媒師の愛里(穂志もえか)。彼女が調査にやってきたのは、“0時5分”に決まって霊が現れるという山奥の洋館だ。オーナーの禎子(木村多江)は霊の存在を信じているが、息子の群治(賀来賢人)は懐疑的で、この洋館には何も問題がないと思っている。愛里は鏡とロウソクを用いた儀式で霊との接触を試み、真実を解き明かそうとするのだが……。


定番の幽霊屋敷モノと思わせつつ、先入観を打ち破る意外な展開が次々と待ち受けている本作。ホラーが大好きだというデイヴ・ボイル監督にインタビューを敢行し、“これまでにないもの”を追求した物語やキャラクター造形について、お話を伺った。



――霊媒師がある屋敷に行って怪奇現象を調査するというあらすじから『死霊館』(13)みたいな映画を想像していたんですけど、どんどん予想外のことが起こって驚かされました。


ボイル監督:もともと“幽霊よりも生きている人間の方が怖い”というテーマで脚本を書いていたので、『死霊館』(13)のような作品とは違う構成になりました。幽霊モノってもうすでに沢山あるので、面白いものを作るのってすごく難しいと思うんです。大体終わり方も似ているんですよね。最終的に主人公や霊媒師がその霊と向き合って、霊自体がそこから解放されるか、あるいは呪われたまま終わるのか……。そうしたものとはちょっと違うストーリーにしたかった。霊媒師は霊と向き合うのは慣れていると思うんですけど、そこで“慣れていない敵”を立てると面白いかなと思ったんです。


――主人公・愛里のバディである美玖が“霊体の姉”というのも面白いところです。鏡やガラスなどに映る姿でしか見えないというのは絶妙な霊の表現ですね。


ボイル監督:主人公に話し相手がいないと、彼女の性格やバックストーリーを描くチャンスがなかったんですよ。そこでもしバディみたいな存在がいるとしたら幽霊かなと思ったんです。最初は愛里のお母さんにするというアイデアもあったんですが、子供の頃に死んだ姉がそのまま霊体としてついてきているという方が、切なくて良いですよね。


美玖の現れ方として“鏡に映る”というのは、実はそんな深く考えずに書いたんですね。他の人には見えていないけど、愛里にだけ見えているという表現として分かりやすくしたかった。できるだけ合成を使わずに現場で撮りきって幽霊感を表現しようとしていました。そこで鏡に汚しを入れてもらったんですが、そうすると絶妙な幽霊感が出て、なんとも言えない怖さが生まれましたね。



――ホラー映画にはたびたび霊媒師が登場しますが、愛里は変わったキャラクターですよね。霊が見えてるのに「もう今日は営業終了だから」と言ってお酒を飲んで踊りだしたりする。「こんなキャラクターは初めて見た!」と思いました。


ボイル監督:僕も霊媒師のキャラクターはたくさん見てきました。大体は主人公じゃなくて脇役として出てきますよね。最初は主人公やその家族が霊に困る出来事があって、そして霊媒師に助けを求める展開になるんですけど、いつも違和感を覚えるのは、霊媒師が主人公と同じくらい霊を怖がっているんです。ただ、普段仕事として霊に接していたらもう慣れているんじゃないかと思うんです。それで、霊を特に怖がっていないキャラクターだったら面白くなるだろうなと。ただ一つ大きな問題があって、主人公が怖がっていないと観客も怖がらないんですよ。なので、そのバランスをとるのが非常に難しかったですね。


――愛里の髪型が妙にギザギザしていて個性的だなと思っていると、あとでその理由が分かるというのも面白かったです。


ボイル監督:そういうちょっとした違和感を作るのがとても好きなんです。僕も観客として観ているときはそういう方が楽しいかなと思っていて。「なんでだろう」という引っかかりがあって、だからこそ続きが気になるような、そういう作りにしたかったんです。



――愛里が行う儀式も目を引きます。あれはオリジナルのものなんでしょうか。


ボイル監督:ホラー映画に登場する儀式って似通っていますよね。ウィジャボードやタロットカードを使ったり。そこで今まで見たことがない儀式を作ろうと思いました。西洋の伝統でも日本の伝統でもない、何かしらの伝統から生まれてきたものとして描きたかった。ゾートロープがフレームになった鏡や道具のデザインをゼロから作ってもらい、鏡のフレームになっているゾートロープも、現場で撮りきれるように作ってもらいました。ちょっと昔の、まだCGが発明されていない映画の雰囲気を出せていたら嬉しいですね。


――キーになる人物を吉岡睦雄さんが演じています。吉岡さんは黒沢清監督の中編ホラー『Chime』(24)での主演が強い印象に残っているんですが、吉岡さんのキャスティングはやはり『Chime』がきっかけだったんでしょうか?


ボイル監督:実は吉岡さんは「忍びの家 House of Ninjas」(24)のワンシーンに出演していただいているんです。そのシーンは村尾嘉昭監督が撮っているので、僕は現場にはいなかったんですが。『Never After Dark/ネバーアフターダーク』でのキャスティングは賀来さんが提案してくれたんですよ。ぴったりですよね。吉岡さんはよく考えられた予想外のお芝居をしてくださいますし、台本にないようなニュアンスを出してくれたり、素晴らしい俳優さんだと思います。


役柄については吉岡さんと色々話しました。愛里役の穂志さんたちにはキャラクターのバックストーリーや歴史を書いた資料を渡していて。吉岡さんのキャラクターについても一応書いたんですが、吉岡さんは「これは読まないほうがいい気がします」とおっしゃって。脚本を書いている段階では、あのキャラクターは低いトーンでゆっくり話すイメージだったんですよ。ただ、僕は最初に俳優さんがどんなお芝居を持ってくるのか見てみたいタイプでもあるんです。それで、リハーサルの時に吉岡さんがいきなり早口で喋り出した時に最初は驚きましたけど、本当に見事なチョイスだなと思いました。



『Never After Dark/ネバーアフターダーク』

公開中


配給: TOHO NEXT



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