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映画「ハリー・ポッター」シリーズ、グラフィックデザインデュオ「ミナリマ」インタビュー 「スタジオ内の造形物に愛が注がれていることを感じてもらえたら」


開業2周年を迎えたワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター(以下、スタジオツアー東京)に、映画「ハリー・ポッター」および「ファンタスティック・ビースト」シリーズにおける数々の印象的なグラフィックデザインを手がけた、グラフィックデザイナーのミラフォラ・ミナ氏とエデュアルド・リマ氏によるグラフィックデュオ「ミナリマ」が来場しました。

スタジオツアー東京の開業2周年日である6月16日(月)に「ミナリマ」のインタビューが行われ、今回は9月8日(月)まで期間限定で開催している、特別企画「炎のゴブレット」に関連して、映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の制作の裏話やスタジオツアー東京のグラフィックアートの楽しみ方など貴重な映画制作の作の裏側をうかがいました!

●おふたりも参加された映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』が公開20周年を迎えますが、グラフィックデザインのこだわりや思い出を教えてください。

ミナ:それまでグラフィックデザインの観点から関わってきた「ハリー・ポッター」作品の中で、初めてこの作品で3Dの小道具・プロップスもデザインを頼まれました。ただ、2Dであろうが3Dであろうが、わたしたちのアプローチは一緒なので、わたしたちはまず膨大なリサーチを行いました。ラッキーなことにロンドンには「ハリー・ポッター」の世界観に親和性のある、参考になる美術館がいくつかあり、足を運んだりしたことを覚えています。

リマ:劇中、試合のためにフランスのボーバトン、ブルガリアのダームストラングといった二つの違う学校が集まるので、それぞれの学校の校章のデザインや、その周囲のデザインができたこともとても楽しかったです。

ミナ:炎のゴブレットは、背景に歴史があることを感じさせたかったんです。たとえば長いこと移動してきたオブジェであることも感じさせたかった。強い建築的なディテールを持ちながらも、まるで今も成長し続けている木であるかのような、そういうものとしてデザインをしました。つまり、未完成なのではなく、進化し続けているという要素を大事にデザインしたのです。

リマ:特にこの作品では大きな挑戦がありました。また、二つの学校やクィディッチ・ワールドカップの要素があったので、そのデザインは楽しかったけれど、クィディッチの大会に入る前のエリアのテントや、ポスター、パンフレットなどをたくさんデザインしたのですが、それがほとんど映像に映っていないんです。死喰い人(デス・イーター)に燃やされてしまったのかな(笑)。コマ送りにしてもおそらく映っていないくらいなのに、非常に苦労したことを、今急に思い出しました。

●現在開催中のスタジオツアー東京での特別企画について、おふたりが思う鑑賞ポイント、楽しみ方などを教えてください。

ミナ:これはスタジオツアーの醍醐味でもあると思いますが、映画の場合、その時の監督が、クリエイターたちが作ったものをどのように使うか決めますよね。それは大抵、1~2秒だったりするものです。スタジオツアー東京に展示してあるものも、それぞれよく考えてみたら、スクリーンに映っている時間は秒単位なんです。でも、みなさんが言うことですが、スタジオツアーの素晴らしいところは、訪問しているゲストがこれらの造形物とどれだけの時間を過ごすのか、自分で決められることなんです。その時間を通して理解を深めたり、もしかしたら人によっては何か学ぶものがあるかも知れないですよね。

特に映画作りにおいて表に出ていくのはキャスト・監督のイメージがあるなかで、そうじゃなくて本当にたくさんの職人やアーティストが関わっていること、こういうアートがあるということを改めて感じてもらえると思いますし、そこにものすごく愛が注がれていることも感じてもらえたら素敵なことだと思います。

●おふたりの仕事を見てグラフィックデザイナーを目指す方もいるかと思いますが、グラフィックデザイナーとして大切にしてることは何でしょうか?

リマ:僕たちの場合は、タイポグラフィ(文字を美しく、読みやすく配置・デザインする技術)です。これは、自分たちのデザインを引っ張ってくれるものと考えています。作業をやり始めてから何かが違うなと思い、別のタイポグラフィにすることもあります。

それとグラフィックデザインもコミュニケーションだと思っていて、ストーリーテリングなんですよね。だからデザインを通していかにストーリーを綴るかが大事であって、たとえばウィスキーのデザインなら、そのバックストーリーも考えるし、新聞なら政治的にどっちよりかなども考慮したりするんです。だからロジカルというよりは、わりと感覚的なものなんです。誰もがストーリーを持っているわけで、そのストーリーをいかにグラフィックデザインを通して伝えられるかということを考えます。

ミナ:もしもグラフィックデザイナーの仕事がしたいならば、自分の好きなデザイナーさんの仕事をどんどん見つけることが、その助けになると思います。本当に多種多様なデザインがあるなかで、なせぞれに惹かれるのか。そのことで自問してみたり、あるいは直接連絡を取るようなことも出来るかもしれないですよね。その人のデザインが好きならば、その方向性で自分の個性をキープしつつ、何かものを作ってみることもいいかも知れないです。あとは、リアルのライブラリーで、多くの参考文献を集めていくこともおすすめです。これはネットではなくて、本屋さんやミュージアムなどのことです。その集積が、自分が何かを作り出す時に役に立ってくるはずです。

リマ:グラフィックデザインは見過ごされがちなところがあるから、僕らはデザイナーとしていろいろなところに出かけたりして、その旗を振ることを責任として感じているんです。だからこそ報われたと思う瞬間があって、「ハリー・ポッター」のミナリマのデザインを見てデザイナーになったという人と話すことで、そのたびに泣いてしまうんです。そういうことがけっこう頻繁に起きるのですが、アーティストたるもの、人の心を動かしたいと思って仕事をしているので、そう感じてもらうことほどうれしいことはないんです。

●今日はありがとうございました!

ミラフォラ・ミナとエドゥアルド・リマは、2001年に映画『ハリー・ポッター』シリーズのグラフィック制作を通して、魔法の世界のデザインを始め、2009年にグラフィックデザインスタジオ「スタジオ・ミナリマ」を設立して以降も、数々の映画作品のグラフィックや小道具のデザインを担当しています。2015年には映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズのグラフィックや小道具のデザインを担当し、新たな魔法の世界の創造にも携わっただけでなく、テーマパーク、出版など、さまざまな分野でデザインを提供しながら、現在も「ハリー・ポッター」シリーズに関わり続けています。さらに2016年、ロンドンに「House of MinaLima」をオープン。没入型のギャラリー兼ショップとして、作品を展示・販売しています。この空間はその後、大阪、東京、ソウル、ニューヨーク、パリにも広がり、彼らのユニークなアイデアと、「デザインで物語を伝える」という情熱を世界中に発信しています。

(執筆者: ときたたかし)

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