
原作者・水木しげるの没後10年の節目として放送中の『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ』。『ゲゲゲの鬼太郎』にゆかりのある著名人がセレクトした回が、過去に放送された第1期~第6期の中から毎週1話ずつ放送されています。
7月6日放送回からは、エンディングテーマを山内惠介さんが担当。椎名林檎さん作詞作曲による『闇にご用心』が作品の世界観を盛り上げます。故郷福岡県の高校の先輩後輩同士でもあるお2人。山内さんに作品の魅力などお話を伺いました!
――とても魅力的な楽曲となっていますが、『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ』のエンディングテーマに決まった時はどの様なお気持ちでしたか?
長年皆さんに愛されているアニメ番組のエンディングテーマを自分が歌えるなんて夢にも思っていなかったですよね。『ゲゲゲの鬼太郎』にはもともと魅力的で印象的な楽曲がたくさんありますが、今回はカバーじゃなくてオリジナル曲という所も嬉しかったです。
――同じ高校出身である椎名林檎さんからの楽曲提供ということも、胸熱ですね!
僕が初出場させていただいた2015年の『NHK紅白歌合戦』ではじめてお目にかかれて。「僕、同じ高校出身なんです」とご挨拶させていただいて、それからは紅白でお会いしてお話しさせていただいていました。去年、林檎さんが僕を見つけてくれてお話しをした時に、「曲を書いていただくことって出来たりするのでしょうか?」と勇気を出して言ってみて。そうしたら「喜んで」とおっしゃってくださったんです。でも、お優しい方ですからその場ではそう言ってくれただけかもしれないとも思っていたのですが、こうして本当に書いていただけて。しかも『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングテーマということで「嘘でしょ!」と驚くほど嬉しかったです。
――『闇にご用心』を最初に聴いた時、どの様な印象を受けましたか?
林檎さんが仮歌を歌ったデモをいただいたのですが、まさに林檎さん節だなと感じました。僕の声は男性でキーが低いので「ちょっとお聞き苦しい所もありますが」なんて林檎さんはおっしゃっていましたけど、とんでもない、素晴らしい歌声と楽曲で、本当に作ってくれたんだな、現実なんだなと感激しました。
――林檎さん節でありながら、山内さんの歌であるという、見事な融合となっていますよね。
自然と化学反応の様なものが出たなと思います。歌を稽古する時に、林檎さんのように歌うのが良いのか、自分らしく歌うのか悩んで考えたんですね。レコーディングをしながら、林檎さんから「この節はこういう感じでお願いします」と言われて、僕はそれに合わせてまた歌い直していくという作業を繰り返していって、難しかったけれどとても刺激的でした。
演歌をずっと歌っていると、日本語を美しく響かせたいという気持ちが強く、日本語をきっちりと発音することを大切にしているのですが、林檎さんに指導いただいたものは“言葉遊び”の大切さなんですね。全てを真面目にやってしまうと、それはそれで美しいんだけれども、この曲の場合はニュアンスが違う。「今何て歌っていたんだろう?」とひっかかる場所があるくらいにしておくと、聴いてくださる方もクセになって何度も聴きたくなるのかなと思いました。どうやったらお客さまを惹きつけられるか、魅力的に聴こえるのかということを教えてくださったのだなと感じました。

――素敵ですね。歌詞の中で特に印象的だったフレーズはありますか?
「夜目遠目笠の内」という出だしはビックリしましたね。「女性は、夜見るとき、遠くから見るとき、傘をさしているときが、一段と美しく見える」ということわざなのですが、そうやって古くからある日本語を使うことで、僕が演歌歌手であるということをリスペクトしてくださっていることを感じました。「野次馬根性火の粉が降るぞ魔の手引くのは下衆ばかり」という歌詞も、“怒り”という感情を人を傷つける様な強い言葉を使わずに表現している所もすごいなと思いました。たくさん言葉を知っていると、遠回しに柔らかく伝えることが出来るんですよね。
――たくさんあると思いますが、山内さんが特にお好きな林檎さんの楽曲はありますか?
『ここでキスして。』を最初に聴いた時のインパクトはすごかったですね。ロックであり新しさもあり、でもちゃんとJPOPだという。
――地元でも大きな話題になったのではないでしょうか。
すごく話題でしたね。林檎さんは高校時代に軽音部に所属されていて、よく歌っていらっしゃったそうです。先生たちも、学園祭などの音楽の演出を林檎さんにお願いすることがあったと話してくれて、それが出来てしまうからすごいんだとおっしゃっていました。
僕は子供の頃から歌手になりたかったのですが、母が「恵介、この高校に合格したらあなたが好きな道に行っていいよ」と言ってくれて、それで入学した学校なのですが、今回も学び舎が繋いでくれたご縁ですから。本当に不思議ですし、ありがたいですね。

――山内さんのデビュー25周年という記念すべき年に、こうして素敵な楽曲を聴けて嬉しいですし、これをきっかけに新しいファンの方も生まれそうですね。
歌手にスカウトしていただいて東京に出てきて25年という月日が経つのですよね。この間に、楽曲をくださる先生、ディレクター、演出家、色々な方が「君はこういう所が良いのだよ」と自分の個性を見つけ出してくれたわけですよね。そのおかげで25年間やってこられたので、これからは自分で自分の扉を開けるということを頑張らなくちゃいけないのではないかと考えていました。そうすれば、さらにもう25年歌える歌手になるかもしれませんよね。
もちろんこれからも皆さんに助けていただきながら歩んでいく世界なんですけれど、そこの中でも自分でしっかりと意見を持って突き進んでいくっていうことが大事なんだなと感じています。そんな今という時期にこうして素敵な機会をいただけて。アニメの放送で知ってくださった方にも、この楽曲の魅力をお伝え出来れば良いなと思います。僕自身もアニメの放送を楽しみにしています!
――今日は素敵なお話をありがとうございました!


撮影:たむらとも
編集後記:福岡県糸島市出身の山内さん。実はガジェット通信には「糸島支部」があり、筆者が糸島に訪れた際山内さんのポスターをたくさんお見かけしたことを伝えると、とても喜んでくださりました!筑前前原駅からほど近い「侍寿司」さんは、子供の頃からよく行かれていたそうです。
https://getnews.jp/archives/3583354 [リンク]
『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ』
毎週日曜あさ9時よりフジテレビほかにて放送
(※地域により放送時間・曜日が異なります)
■番組概要
2025年は漫画家 水木しげるの没後10年。
1968年1月3日のアニメ第1期放送開始以降、55年以上経った現在でも愛されている水木しげるの歴史的名作「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズ。妖怪ブームの元祖として根強い人気と確固たる地位を確立し、日本全国で知らない人はいないと言っても過言ではない、まさに「国民的アニメ」となっています。
この度、水木しげる没後10年を記念して、過去に放送されたアニメ第1期~第6期の中から鬼太郎ゆかりの著名人がセレクションしたエピソードを『私の愛した歴代ゲゲゲ』と題し、放送することが決定!
往年の鬼太郎ファンはもちろん、今回初めて鬼太郎に触れる方も、『私の愛した歴代ゲゲゲ』をお楽しみください。
■セレクター
野沢雅子/戸田恵子/松岡洋子/高山みなみ/沢城みゆき/Ado/京極夏彦/ウエンツ瑛士/松下奈緒/佐野史郎/関俊彦/木内秀信
■公式ホームページ
https://www.toei-anim.co.jp/kitaro/
■X(旧Twitter)
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©水木プロ・東映アニメーション