
映画関係者・著名人の皆さんにホラー映画のオールタイムベスト3作品をうかがっていく「ホラー通信」恒例企画です。
今回は、ホラー作家くるむあくむさんが共同脚本を手掛けた中編ホラー映画『◯◯式』が公開中の近藤亮太監督にお伺いしました。大変悩ませてしまいましたので、“今の気分”のベスト3をお答えいただいています。
人生のホラー映画ベスト3 近藤亮太編
・『死の王』(1990) 監督:ユルグ・ブットゲライト
・『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999) 監督:ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス
・『セッション9』(2001) 監督:ブラッド・アンダーソン
<コメント>
難しいですね……30本くらい選んでよければ「これも入れとこう」ってできるけど、3本か……! 不用意に言えないところがありますね。
一本目は、ルーツとかではなくてシンプルに今の気分のベストで、『ネクロマンティック』のユルグ・ブットゲライト監督の『死の王』。“自殺”がメインテーマなんですけど、芸術性の高い表現と直接的なグロ表現、それとすごく陰鬱な世界観とやたらうるさい音楽(笑)がすべて成立している、その奇跡的なバランス感覚がものすごく好きです。繰り返し観ていてインスパイアされやすい作品ですね。
それと『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』はめちゃくちゃ好きです。中学生の時、放課後に僕の家に集まってみんなで観てたんですけど、パニックになったんですよ。「マジなんじゃないか」「とんでもないことになってる」って話になって、パソコンで頑張って調べてみたけど当時は情報も出てこず。それですごく印象深いし、後年何度も観返してる。これは『SKINAMARINK/スキナマリンク』のカイル・エドワード・ボール監督も言ってたんですけど、もはや“観ると落ち着く映画”なんです。それこそ“何も映ってないのに怖い”みたいな表現のルーツなのかなって思いますね。
あとは『セッション9』。『マシニスト』のブラッド・アンダーソン監督の映画なんですけど、アスベスト除去の作業を請け負っている主人公が、廃病院で作業中にどんどん精神状態がおかしくなっていく話で、雰囲気がずば抜けて恐ろしい。真相に迫っていく時に、たしかカセットテープが出てくるんですけど、そのテープの内容もかなり不気味で。心霊ホラーではないけど、精神状態の闇と、さらに大きな超常的な何かを同時に感じさせる作品です。サブスクにも全然入ってないので、ほとんど観返せていないんですけど、未だに思い出すタイプの映画ですね。
記事:くるむあくむ共同脚本の参列型ホラー『〇〇式』近藤亮太監督インタビュー “ノージャンプスケア”の理由、ホラー作品で目指すもの
『〇〇式』
6月27日(金)下北沢K2先行上映開始 7月4日(金)全国順次上映