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映画『秋が来るとき』リュディヴィーヌ・サニエ インタビュー「オゾン監督は歳を重ねた女性の美しさをカメラに収めた」


フランソワ・オゾン監督の最新作『秋が来るとき』が公開されました。本作はフランス・ブルゴーニュの美しい秋を背景に、80歳の女性ミシェルの人生の終盤を描きます。オゾン監督の子供時代の思い出を元に制作されたこの作品は、女性の友情、愛情、秘密をテーマに繊細かつドラマチックに展開します。主演のエレーヌ・ヴァンサンや日本でも有名なリュディヴィーヌ・サニエが出演し、特にサニエは22年ぶりにオゾン監督とタッグを組みます。この映画は秋という人生の転換期をテーマに、感慨深い物語を提供しており、成熟した映画ファンに新たな視点を提供してくれます。フランス映画の巨匠による本作は、観客一人ひとりに異なる解釈を促し、自分自身の人生を振り返るきっかけとなるでしょう。

『8人の女たち』 『スイミング・プール』などフランス映画の巨匠、フランソワ・オゾン監督の最新作『秋が来るとき』が公開中です。

自然豊かなフランス・ブルゴーニュの秋を舞台にした人生ドラマで、オゾン監督の子供の頃の思い出から着想を得て制作され、幼少の時に毎年訪れていたブルゴーニュが舞台となっています。

主人公のミシェルを映画、舞台でも活躍するベテラン女優エレーヌ・ヴァンサンが演じるほか、その親友役にジョジアーヌ・バラスコ。その息子役に、サン・セバスティアン映画祭で助演俳優賞を受賞したピエール・ロタン。そして日本でも大ヒットを記録した『スイミング・プール』のリュディヴィーヌ・サニエが、2003年以来、約22年ぶりにオゾン監督作に出演。ミシェルの娘ヴァレリーを、熟練した演技で魅せてくれます。

この春来日したリュディヴィーヌ・サニエさんにお話を聞きました。

INTRODUCTION

最後の人生を生き抜くために必要なのは、愛と抱擁、ちょっとした秘密――。

ミシェルは自然豊かで静かな田舎での一人暮らし。休暇で訪れる孫と会うことを楽しみに、家庭菜園で採れたにんじんをスープにし、デザートは自作のケーキ、そして秋の気配が色づく森の中を親友とおしゃべりしながら散歩する。そんな穏やかでささやかな生活を守り抜くため、最後の人生を自分らしく生き抜くために受け入れた、ある秘密とは? 美しいブルゴーニュの景観の中、80歳のミシェルが後ろめたい過去を抱えつつも人生の終盤を生き抜く強さ、そして親友をお互いに信じ合う絆と愛情を繊細に、時にドラマティックに描き出す。さらにサスペンス的な要素も垣間見える本作は、初期のオゾンの作風を彷彿させ、成熟した大人たち、映画ファンたちに静かな感動をもたらすだろう。

●人生や人生の最後について考えてしまう物語でした。

わたしたちフランスの文化では、年配の女性を映画の主人公にするって、なかなかないことなんです。カメラは、年老いた女性になかなか向けられることはなく、俳優たちも若々しく見せようといじったりもしますよね。そんななか今回の女性たちは、ありのままの自分で、女性として演技をしていて、カメラの前に立っている。とても勇気がいることだと思います。

そしてオゾン監督は女性を撮ることが好きなのですが、今回は年を重ねた女性の美しさをカメラに収めました。秋というのは、人生の秋ということなんですよね。

●人間は、複雑な生きものであることもよく分かりますよね。

オゾン監督は、観客に対してもそうなのですが、今回の人物像をくっきりとは描いていませんよね。「この人はもしかしたらこいうことをしたのかな?」という疑念を常に存在させています。オゾン監督は、観た人それぞれの解釈で、唯一無二の感想を持ってほしいと思っているからなんです。

それと同時にわたしたち俳優に対しても、演じる人物について細かく説明をしたりしないんです。それは「あなたの視点で演じてください」という、そういうやり方なんです。

●ヴァレリーという女性は、どう理解して演じられたのでしょうか?

わたしがヴァレリーについて語りたいことは、母親のミシェルとの関係なんですよね。最初は母親に辛くあたり、恩知らずなところがあり、観客はなかなか共感を持てないと思うのですが、少しずつ彼女の想いが描かれていきます。なんとなく涙を流したり、穏やかになっていく。そういう変化が描かれていきます。

●今回、オゾン監督とは約22年ぶりの仕事となりましたね。

また彼と仕事ができることになり、本当にうれしかったです。20年ほど仕事を一緒にしていなかったので、また自分にオファーが来るなど思ってもみなかったです。驚きもあったので、なおさからうれしかったです。

●オゾン監督は、仕事面で何か変化はありましたか?

彼はほとんど変わらないんです。いつも自信があり、文句を言っているけれど…決して高圧的ではありません(笑)。とても愉快な人だから、楽しい現場でした。

わたしが俳優として彼が監督だとありがたいと思う理由に、ほかの監督ではなかなかないことなのですが、彼自身が構図を決めるんです。だから常に彼はカメラの近くにいて、演技のカットの真ん中にいるようなイメージでわたしたちの仕事を見守ってくれているんです。普通の現場では監督はモニターを観ていると思いますが、彼はそうじゃない。とてもありがたく、豊かなことなんです

●これまで何度も来日されていると思いますが、今回の滞在はいかがですか?

『恋のときめき乱気流』(13)が最後だったと思います。日本は幸せでたまらないです。かなりフランスとは違うので、異国感もあります。昨日はホテルの大きな窓から横浜の夜景を見ましたが、現実ではないような感覚になりました。『となりのトトロ』のネコバスみたいなバスが走ってるいなと思ったら、だんだんと海のほうに近づいて船になって(笑)。まるでジブリの映画でも観ているかのような、そんな感覚にもなりました。

●長いキャリアのなかで、映画館で上映する映画だけでなく、配信の時代にもなりましたが、人気の作品にも出られていて素晴らしいです。

プラットフォームの変化はありますよね。わたしはアメリカのシリーズものにふたつほど出ていて、自分でもとても気に入っています。あとは舞台もやっていますので、わたしのキャリアを要約するならば、多様ということでしょうか。

●『スイミング・プール』と同年の『ピーター・パン』では、ティンカー・ベル役でハリウッドデビューも果たされました。

子どもの頃「あなたは何になりたいの?」とよく聞かれ、「女優になりたい」と答える子がいるなか、わたしは「妖精になりたい」と小さい頃に言っていました。だからティンカー・ベル役で夢が叶ったんです(笑)。

●今日はありがとうございました!これからの活躍も期待しています。

よく言われることですが、俳優は監督の欲求に依存しているところがあると。監督の要求次第なので受け身的な(職業という)言い方をされますが、わたしはそうじゃなくて、俳優も能動的に欲求を持つべきだと思っているんです。

だからこそいろいろなフォーマットでの仕事をすることで、わたしたちの仕事は豊かになっていくと思っています。

■公式サイト:https://longride.jp/lineup/akikuru/ [リンク]

■ストーリー

80歳のミシェル。パリでの生活を終え、人生の秋から冬に変わる時期を自然豊かなブルゴーニュの田舎で一人暮らしをしている。秋の休暇を利用して訪れた娘と孫に彼女が振る舞ったキノコ料理を引き金に、それぞれの過去が浮き彫りになっていく。人生の最後を豊かに過ごすために、ミシェルはある秘密を守り抜く決意をするー。

(C) 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME

(執筆者: ときたたかし)

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