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Netflix映画『Demon City 鬼ゴロシ』田中監督インタビュー「生田さんと松也さんは骨の髄まで極まっているパフォーマー」


Netflixが企画・製作した映画『Demon City 鬼ゴロシ』が2025年2月27日より世界で配信開始されました。田中征爾が監督を務め、生田斗真が主人公の復讐に燃える殺し屋、坂田周平を演じます。原作は河部真道の漫画で、地方都市・新条市を舞台にしたバイオレンス劇です。監督は激しいエログロ描写を避け、リアル感を持たせた映像化に工夫を凝らし、物語の核心である主人公の復讐心を忠実に描くことに努めました。作品は現実味を持たせたアクションと、魅力的な悪役によってテンポ良く進行します。豪華キャストに日本の有名俳優が多く参加し、壮大なスケールで描かれることが期待されています。

世界最大級のオンラインエンターテインメントサービスを提供するNetflixは、企画・製作をするNetflix映画『Demon City 鬼ゴロシ』を2月27日(木)より世界独占配信中です。

原作は2020年に連載がスタートし、2024年11月に週刊漫画ゴラク(日本文芸社)での約4年に渡る連載が完結した河部真道による漫画「鬼ゴロシ」。地方都市・新条市を舞台に、妻と娘を奪われた殺し屋である主人公の復讐劇を圧倒的な熱量と迫力のバイオレンス描写で読者を惹きつける衝撃作が、Netflix映画として実写化。


主演は生田斗真。マサカリを片手に裏社会を震撼させてきたその圧倒的暴力で、殺された最愛の妻と娘の復讐を誓う殺し屋・坂田周平を演じます。生田演じる坂田周平の仇敵となるのは、新条市を裏で牛耳る組織「奇面組」のメンバーを演じる、尾上松也、東出昌大、髙嶋政伸、田中美央の面々。監督・脚本を務めた田中征爾さん(『メランコリック』、『死に損なった男』)にお話を伺いました。

――本作大変楽しく拝見させていただきました。原作コミックにはかなり激しい描写があったと思いますが、実写化する上でどの様な工夫をされましたか?

原作はとても面白いお話なのですが、エログロ描写がきつい作品なので、そこをどうやって映像化し、エンターテイメントにとして成立するものにするかが作品成功の分かれ道だなと最初に感じました。そのまま映像化するとR指定になってしまうと思ったので。あと、元々僕自身が映画でエログロ描写、特にエロ描写を見ることが得意じゃないないこともあります。コミックは絵で見るものだから完全なるフィクションとして楽しめるんですけど、映像って役者さんが演じてるじゃないですか。
今回の作品で言うと、女性が暴行を受ける表現を映像で見させられた時に、登場人物がそうなっているのではなくて、役者さんが頑張っているようにしか見えないんです。僕にとっては作品を楽しむ上でノイズだなっていつも思っているんですよね。

――作品に集中しているのに、現実側に引き戻されてしまう様な。

昔よく演劇を見ていたのですが、舞台上でキスをするシーンがあって、その瞬間すごく冷めたんです。それまで作品に没頭して楽しんでいたのに、急に役者さんがただの生身の人間に見えてしまうんですよね。なので、本作ではエロ表現はやらないということは最初から決めていました。

――原作からそういった要素を変えていても、坂田が大変な目にあってしまう緊張感は変わらずでしたね。

坂田がなぜ覚醒したのかというのは、原作から一番大切にするべき要素の一つだと思うのですが、坂田は自分に十分なスキルがあるのに無惨にも家族が殺されてしまった。出来るのに何も出来なかった男の復讐心ということが大切な要素で、その復讐心を煽るための魅力的な悪役がちゃんといれば物語はドライブしていくだろうなと確信していました。その上で、漫画とは全然違うストーリーを組み上げなきゃいけなかったので、かなり脚本書き直しています。多分僕が3回ぐらい書き直していて、その後、脚本協力として大庭功睦が入ってくださって、また全然違う楽しさも加わっていきました。

――Netflixでの作品作りはいかがでしたか?

大変だったし、楽しかったです。改稿を重ねる大変さはあまり感じていなくて、僕はこの予算規模の作品が初めてだったので、やれることの想像がつかなかったんですよね。「この予算でお願いします」と明確な金額を聞いていたわけではないのですが、これまでに比べると大きな規模で作品作りが出来る。でも、極端な話、主人公が宇宙船に乗って飛び出しますみたいな描写は当然出来ない。自分が脚本だけではなくて監督もやることが分かっている以上、撮るだけ撮って仕上がりがチープになったら元も子も無いので。だったら描写自体を現実的なものにして、その仕上がりのクオリティを上げようっていう方が得策じゃないかなと考えました。
今となっては大体分かってきたのですが、そのへんの現実的なラインをつかんでいくまでに時間がかかりました。

――『メランコリック』も『死に損なった男』も現実と地続きにある作品ですが、本作は前2作とは違ったテイストのバイオレンスアクションになっていますものね。作品作りの考え方もだいぶ違ったのではないでしょうか。

本当おっしゃる通りです。そこのギアチェンジが一番難しかったです。これだけフィクション性が高い作品なので、架空の都市・新条市がどんな場所なのかというイメージが、僕とスタッフさんの間で当然ながら全然違うわけです。僕は脚本を書いている立場なので、「こんな都市だろう」というイメージが出来上がっているわけですが、ロケ地等を探してきてくださる制作部さんと密にディスカッションをし続けているわけではないので、僕が描いていたものとは違うものが候補として上がってきたりします。
僕が手がけてきたこれまでの作品って、限られた予算の中だったので、どちらかというとやれる場所でやりましょう的な発想なわけです。今回はそれでやるとダメで、僕のヴィジョンがあって、そこにどれだけみんなが実現に向けて動けるかという本来あるべき順番があったので。自分のギアをチェンジすることにすごく苦労しました。

――このお面たちやマホロバ(完成間近の統合型リゾート)のデザインは、海外の方も大好きだろうなと想像したのですが、Netflix作品として海外で配信されることは意識していましたか?

それは全くしていないです。海外でウケようとか、どうやってグローバライズするかみたいな考え方をして作品作りをすると失敗すると分かっていたので。人間の本質的な部分を描くことに成功すれば、勝手に国境を超えるという考え方でいます。自分自身が。面白いと思えるものをやれば、それが一番良いと思っています。

――監督は復讐アクションがお好きだそうですが、どの様な作品がお好きですか?

韓国映画が好きです。これは復讐映画ではないですけれど、『アジョシ』(2011)とか。あとは『アシュラ』(2016)は本作の脚本の参考にしています。

――今言われて気付きましたが、ファン・ジョンミン演じる市長と、尾上松也さん演じる市長の春原の不気味さって通じるものがあって最高ですね。

ファン・ジョンミンの市長はめちゃくちゃ意識しています。市の構想についてのプレゼンのシーンとかは『アシュラ』のレファレンスです。『アシュラ』も主人公も善人じゃないじゃないですか。そこらへんも本作と通じるものがあって、助けられました。あとは、『ジョン・ウィック』シリーズ、『96時間』シリーズも大好きですし、撮影や映像の雰囲気として意識したのは、デヴィット・フィンチャーの『ザ・キラー』(2023)というNetflix映画です。集中して観られる爽快な作品というか。アクションの撮り方は、『ジョン・ウィック』の引きでちゃんとFIXして見せていくスタイルを参考にしました。

――私も大好きな作品ばかりで嬉しいです。そんな監督のこだわりのアクションシーンを生田斗真さんが見事に体現されていました。

生田さんは骨の髄まで極まっているパフォーマーなんですよね。「こう見せたい時には、自分の体はこうなっていなきゃいけない」ということが分かっている。頭に浮かんだ動きと身体表現を一致させられる人っていないと思うんです。分かりやすい例でいうと、バットを振る時って頭の中ではこう振るといい感じに野球選手みたいに触れるんだろうな…ってイメージするけど、実際振ってみたらその通りに振れない。だから、自分の思った通りに体を表現するってめちゃくちゃ難しいことで。でも生田さんはそれが出来るんですよね。
坂田はこういう感情で、こういうシーンだから、こういう表現になっていなきゃいけないよね、という考えをそのまま体に出せる凄みが、カメラをまわしながら一番楽しんでいた所です。

――対する春原(すのはら)役の尾上さんも最高なキャラクターでしたね!

以前、友達に『さぼリーマン甘太朗』という松也さん主演のドラマを教えていただいて、なんて素敵な役者さんがいるんだ!って驚愕したんです。本作で演じていただいた春原というキャラクターは、さっき話していたファン・ジョンミン的な、いかがわしい市長であり、仰々しいセリフを抑揚たっぷりに話す必要がある。それをちゃんとお芝居として成立させられるのって、松也さんぐらいなんじゃないかなと思います。生田さんと同じく、骨の髄までパフォーマーの方で、「こうすれば成立しますよね」ということをやれてしまう稀有な俳優さんだと思います。

――本当に最高でした!本作への参加を経て、今後の作品作りなどに影響を受けたことはありますか?

今回助監督に、ベテランの髙土浩二さんについていただいたのですが、髙土さんに「この作品で撮影上難しいものを大体経験しているから、今後は“これやったことあるな”で乗り切れると思いますよ」って言われたんですよ。窓から人が落ちたり、体の一部分が切り落とされちゃたり、特殊造形もCGもたくさん使っていて。車の牽引もしましたし、撮影上大変だと言われていることの多くを経験させてもらいました。
この作品を経なかったら、「これ撮影が大変そうだからオミット(除外)しよう」と脚本から落とす選択をとるだろうし、どうしても貧乏性で大きなことをやらずに見せる工夫をしようと思うので。工夫で頑張ることも必要ですが、本作での経験は演出の幅をグッと広げてくれました。これまでは脚本を書いている時に絶対出なかった「ビル爆発」とかも今後はチャレンジ出来るだろうなと感じています。

――監督の今後の作品もとても楽しみにしています。今日は貴重なお話をありがとうございました!

撮影:オサダコウジ

『Demon City 鬼ゴロシ』
出演:生田斗真 東出昌大 田中美央 當真あみ 駿河太郎 木竜麻生 ・竹中直人・ 音尾琢真 髙嶋政伸 / 尾上松也
原作:「鬼ゴロシ」河部真道(日本文芸社)
監督・脚本:田中征爾(『メランコリック』)
音楽:布袋寅泰
エグゼクティブ・プロデューサー:佐藤善宏(Netflix)
プロデューサー:政岡保宏、澤岳司
ラインプロデューサー:尾形龍一
撮影:加藤航平
照明:志村昭裕 録音:根本飛鳥 島津未来介
美術:安宅紀史
アクション監督:谷本峰 キャラクタースーパーバイザー:橋本申二
スタイリングディレクター:エンドウヨシキ
特殊メイク・特殊造形デザイン:百武朋 編集:堀善介 VFXスーパーバイザー:前川英章 カラリスト:石山将弘 リレコーディングミキサー:浜田洋輔 助監督:髙土浩二
制作プロダクション:アミューズ、デジタル・フロンティア
製作:Netflix
Netflix映画『Demon City 鬼ゴロシ』2025年2月27日(木)世界独占配信開始

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