ウィリアム・フリードキン監督が手掛けた『エクソシスト』(73)の直接の続編、『エクソシスト 信じる者』が12月1日より公開。本作における信仰の観点について、監督のこだわりをご紹介する。
本作では、『ハロウィン』(78)の続編3部作を手掛けた、デヴィッド・ゴードン・グリーン監督とホラー製作会社のブラムハウス・プロダクションズが再タッグを組んでいる。
フリードキン監督の『エクソシスト』では、主にカトリックの観点から悪魔憑きが描かれたが、本作では複数の信仰ならびに無宗教の観点を取り入れて製作が進められた。
毎週日曜日に教会に通う熱心な子供だったというグリーン監督は、悪魔憑きに関する異なる宗教観や、本作で描かれているような悪魔の力に対抗するさまざまな儀式について知りたいと思い、リサーチの過程でいろんな研究者や信仰指導者と話をしたのだそうだ。リサーチ結果はさまざまな形で本作に反映され、本編で言及されているそれぞれの信仰の専門家が、製作陣と俳優のコンサルタントとして起用されている。
描かれるのは、2人の少女をめぐる新たな恐怖。13歳のアンジェラとその親友キャサリンが森に行ったきり行方不明になり、3日後に無事に保護されるが、その日から彼女たちは常軌を逸した行動を繰り返すようになる。
悪魔に取り憑かれているとおぼしき2人の少女を救うために、本作では、カトリック教会のマドックス神父、アンジェラの父ヴィクターの友人でペンテコステ派の牧師であるスチュアート、ヒーリングを行うビーハイブ、バプテスト教会のドン・レヴァンズ牧師といった4つの信仰の指導者が登場する。
撮影に参加したスピリチュアル・コーディネーターのカーラ・デュレンによると、本編に登場する多くの手順や呪文は実際の悪魔祓いの儀式で使用されているものだという。 例えばビーハイブが行う治療は、アフリカ各地を起源とした実在するスピリチュアルな治療法だ。
またプロジェクト・コンサルタントを務めた宗教心理学を専門とするジョージア州立大学のデヴィッド・ベル教授によると、一般的に、アメリカの富裕層は貧困層に比べて悪魔や天使を信じない傾向にあるという。歴史的に見て、黒人教会には悪魔や天使に対する具体的な信念体系があり、アメリカの地方部に多く存在するペンテコステ派教会やその他の宗教コミュニティーにおいても同様なのだそうだ。
本作では、愛する娘が突然悪魔に憑りつかれることにより、アンジェラを男手ひとつで育てた無信仰の父ヴィクターと、キャサリンの両親で信仰を重んじるミランダとトニーという2つの家族の行動や思考に違いがあらわれるところもポイントになっている。
グリーン監督は、「この映画では我が子が原因不明の病気にかかった時の親の脆弱さを扱っている。このような危機に立ち向かう場合、人は自身の信念体系に基づいて行動を起こす。敬虔なバプテスト派の信者か、神を信じない人間か、医療に頼る人間か、希望を捨てないか、それとも疑念を抱いてしまうか――それによって行動が変わってくる。科学と霊性についての対話に取り組んだ作品なんだ」と製作に込めた思いを明かしている。
『エクソシスト 信じる者』
12月1日(金)より全国公開