タイムパフォーマンスの略で、時間対効果を意味する言葉の「タイパ」。SNSや動画配信サービスをネイティブに使いこなす、主にZ世代を中心とする若者の間で重視されているという見方でしたが、実は世代を問わずその考え方が定着しているようです。
6月10日の「時の記念日」にちなみ、毎年“時間”に関する意識調査を実施しているセイコーが「セイコー時間白書2023」を公開。全国の10代~60代の男女1200人を対象にした調査で、多くの人が日常のさまざまな場面でタイパを重視し、タイパのためにツールやライフハックを活用している実態が明らかになりました。
約9割が「タイパを重視」
タイムパフォーマンスを重視する時間について聞くと、全体のおよそ9割(87.4%)がタイパを重視する時間が「ある」と回答。
具体的には「睡眠」(39.3%)、「料理」(37.0%)、「掃除」(34.2%)、「買い物」(34.2%)が上位に挙げられました。
これをカテゴリー別に見ると、「日常(食事・睡眠など)」(61.2%)、「家事・育児」(55.0%)、「趣味・コンテンツ消費」(47.8%)が高く、意外と言うべきか、「仕事」(29.7%)が最も低くなっているのは何か考えさせられるものがあります(笑)。
約7割がタイパを高めるツールを活用
タイパを重視する時間があると答えた1049人に、タイパを高めるために利用しているツールについて尋ねたところ、約7割(69.1%)が何らかのツールやライフハックを活用していると回答。
「冷凍食品」(23.6%)や「オンライン決済」(22.9%)を利用する人が多く、家事や買い物などさまざまな場面でタイパを高める動きが見られます。
コンテンツ消費のシーンで、タイパを高めるためにどんな行動が取られているか詳しく調べると、「ほかのタスクと並行して“ながら見”をすることがある」(65.7%)、「調べ物をするときにまとめサイトを活用する」(61.6%)と答えた人が6割以上に。
年代別に見ると、10代・20代の若い世代で実践している割合が高く、40代以降では低い傾向にあります。若い世代を中心にドラマや映画を倍速再生で楽しむ視聴者の増加が話題になりましたが、コンテンツ消費に関するタイパの考え方は、やはり若い世代の方が順応性が高いと言えそうです。
約8割は「何もしない時間」も必要
タイパを重視すると答えた人に、その目的を聞いたことろ、「効率よく情報を得たいから」(57.4%)、「無駄なことに時間を割きたくないから」(57.3%)が上位に。
また、効率や無駄だけでなく、全体の4割(43.9%)が「空いた時間・作った時間でやりたいことがあるから」と答えています。
一方で、現代人はタイパを重視してはいるものの、何事においてもタイパを最優先するわけではないようです。
何もしない時間は必要か/不必要かと聞くと、約8割(78.4%)が「必要だと思う」と回答。
また、タイパが最重要課題である/タイパよりも大切なものがあるどちらの考えに近いかと聞くと、48.2%が「タイパよりも大切なものがある」と答え、「タイパが最重要課題」と答えた人は19.4%でした。
社会環境が目まぐるしく変化し、時間の使い方も多様性にあふれる現代社会においては、時間効率を意識して行動する必要もあれば、時間を忘れて過ごすことも大切……そんなメリハリのある過ごし方が志向されているようです。
調査概要
実施時期:2023年4月27日(木)~5月8日(月)
調査手法:インターネット調査
調査委託先:マクロミル
調査対象:全国の10代~60代の男女1200人(男女各600人、各年代別に男女各100人ずつ、10代は15歳以上)
Photo by Minku Kang on Unsplash