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ネガティブで自己評価が低くても魅力的!? 花火大会で告白されて「最低!」と泣いて怒る女子のマンガがめんどくさいけれど可愛い


キュートな絵柄でちょっとめんどくさい女子の物語をTwitterで発表しているイラストレーター・漫画家の餡ねここさん(@an_necoco)の、初の単行本となる『おんなのこのひみつ』(KADOKAWA)が2022年8月19日に刊行。ここでは「すっぴんはひみつ」の花火大会回を紹介しつつ、作品集について餡さんにお話をお聞きできたのでお届けします。

※参考記事 「優しい」「キュンとする」 ガチ恋しているガールズバーの女の子にベッドを貸すマンガがハートフル
https://otajo.jp/107592 [リンク]

花火大会に浴衣姿でやってきた女子。「わ〜〜!」と嬉しそうに屋台をまわり、「りんご飴おいし〜!!」「わたがしふわふわ〜!!」といちいち可愛い反応。男友達から「…浴衣、似合ってるな」と褒められて「フフフ、これが大人の色気…」と言っているそばから男児がぶつかり顔と綿菓子が激突!

「食い物ばっかり見てるから」と男友達から言われて「うるさいな」と返した女子ですが、「…手。人多いし」と差し出され、「花火、始まるっぽい」とぎゅっと握られてドキドキが止まらず無言になります。

打ち上げられた花火を「わぁ〜〜」と見つめて「きれい…」とつぶやく横顔に、「…なあ」「ん?」「好きだよ」と伝えた男友達。「俺と付き合ってよ」との言葉に、「あの…、すっごく嬉しい」という女子ですが、次々と花火が咲く中で「でも、ごめんなさい」と続けます。

振ったにもかかわらず、「うううううううううううううううううううううっ」と号泣する女子。「いや…泣きたいのは俺の方なんだけど…」とボヤきつつ、周囲の目に「し、静かな所行こうか…」と手を引きます。

「おちついた?」「…うん、ごめん」と謝る女子に、「まさか…泣くほどイヤだったとは…」と色が消える男子。「ちが…っ」と否定しようとしたところ、「…べつにいいんだけどさあ、お前にとって、俺ってなんなの?」と聞かれます。

「しょっちゅううちに入りびたったりとか、膝枕したりとか、ベッドに引きずりこんだあげく一晩泊めたりとか……、ああいうの……告られて泣くほどの相手でもやれちゃうかんじなの?」とこれまでの事を聞く男子に、何も言わずにキスする女子。「な…っ、ちょ…、え…?」と真っ赤になりつつ動揺した男子に、「…全然わかってない」という女子、「なんで付き合いたいとか言うの!? 最低!!」と溢れる涙で怒られて、「ええ!!」となってしまいます。

「付き合いたいとか…そういうの…きみにだけは言ってほしくなかったのに!! バカ!!」と涙目で怒られて「えええ…」と困惑が止まらない男子。「付き合ったらいつか好きじゃなくなるよ」という女子、「…いつもそうだもん」と下を向きます。

「だから…、私は…、友達のまま」と続けようとしたところ、「俺、お前のこと、友達とか思ってない」と言われてズキと胸が痛んだ女子。男子は「やっぱお前は『好きな子』だから。友達のままってのは無理。ごめん」と手を握り、「やっぱ一緒にいるとムラムラするしさ」と続けて、女子は「ムラ…!?」と真っ赤になって動揺……。

「信じてもらえないかもしれないけれど、約束する。ずっと、一生、好きでいる。もし俺から別れるって言ったら、心臓差してもいいよ」と言われて、「重…っ」とドン引きしますが、「ほんとばか…」とつぶやき「……約束したね? きらいになったらころすからね!!」とポロポロ泣く女子。それを思わず抱きしめた男子、「きゃ!?」となったところに、「おう!ころせ!」と言いつつ、「絶対、殺させないからな」と花火に誓うのでした。

餡ねここさんのひみつ 「もともとは油絵作家になりたいと思っていたんです」

――今回、単行本が刊行されることになりましたが、出版に至る経緯とその時の心境を教えてください。

餡ねここさん(以下、餡):Twitterで作品を投稿していたところ、作品を単行本化してみないかと声をかけて頂きました。嬉しかったですね! 商業デビューに憧れがあったので舞い上がってました。

――漫画を描くようになったのはいつからなのでしょうか?

餡:もともとは漫画家を目指していたわけではなくて、学生時代は油絵を描いていて油絵作家になりたいと思っていたんです。でもやっぱり難しくて。遊びくらいな気持ちでマンガを描いてみたら、自分にもできるかもしれないと思えて。そこから本気で取り組み始めたというのがきっかけです。人生って何があるかわからないですね。

――影響を受けた作品はありますか?

餡:『魔法少女まどか☆マギカ』です。高校生の頃にアニメを観てハマりました。鹿目まどかちゃんと暁美ほむらちゃんの関係性が大好きで。ほむらちゃんに幸せになってほしい……。

――作品集では、Twitterで描かれた4人の女の子のお話が収録されています。まず「すっぴんはひみつ」の女子がどんな性格なのか教えてください。

餡:この子は「本当の自分を見せちゃいけない」と思っている子です。自信がなくて、今までの恋愛ではいろいろなことを我慢して、彼氏好みの女の子でいようと頑張ってきた。それでも振られてばかりで、さらに自信が持てなくなるというネガティブなループにハマっています。でも、直球な愛情表現を受けて、相手を信じざるを得なくなって、本当の意味で心を開いていけるようになるわけですが、やっぱり素直な愛情表現がいちばん刺さりますよね。

――ご自身を投影されたのはどういった部分になるのでしょうか?

餡:私自身も人間関係でつらい思いをしてから、人を信じるのが怖くなってしまったところがあるんです。でも人間関係って、信じたほうが相手にも信じてもらえるし、逆に信じられないと相手にも信じてもらえず、うまくいかなかったりするんですよね。思い返してみたら、周りの人は優しくしてくれていたのに勝手に信じられなくなって、心を閉ざして孤立していっていたり……。苦い思い出がたくさんあります。

――続いて登場する「元カノのひみつ」の女子は、大学でイメチェンを果たしていますね。

餡:この子は「過去の失敗をずっと引きずっている女の子」です。一度失恋してから、恋愛中の不安を思い出して、付き合ってもまた別れてしまうのではないかとずっと恐れている。それで、今も未練がある元恋人と再会して、両想いだとわかっても、復縁できずにいるんです。次第にお互いの気持ちを確かめ合うことができるのですが、それって過去の失敗があったからこそだと思うんです。すれ違いから別れてしまったけど、その痛みを糧に、二人は言葉と行動でちゃんと伝え合うように成長できた。私も失敗ばかりの人生で、過去の失敗をけっこう引きずるのですが、それがあったからこそできた選択、というのもたくさんある。これからも遠回りしながらも成長していきたいと思っています。

――「ひきこもり女子のひみつ」の子は、家から一歩も出ない割には男子の前で明るくて、2020年代っぽいと感じました。

餡:人に会う機会が職業柄あまりなくて、家にひきこもりがちなので、同じように一人で家にひきこもっている子のお話を描いてみたくなったんです。孤独な女の子が、男の子と関わる中で、だんだん外の世界との繋がっていけるようになったら嬉しいなと思いながら描いていました。孤独ゆえに、男の子にだいぶ依存してしまっている子ですが、私も人間関係が希薄なぶん、数少ない周りの関わってくれる人に依存してしまうタイプで、かなり共通点があると思います……。外の世界は最初は怖いけど、意外とみんな自分に興味ないし(笑)。ひとは優しいので、そんなに怖がらないでもいいのかなと思います。

――ガールズバーで働く「みーみちゃんのひみつ」。仲間思いで優しいのに、自己評価が低い子ですよね。

餡:この子も「すっぴんはひみつ」の子と似ていて、本当の自分を見せちゃいけないと思っている子です。「こうじゃなきゃいけない!」と完璧主義になるあまり、自分を愛せなくて、他人にも愛してもらえるはずがないと思い込んでしまっているんです。結局いろいろバレてしまうのですが、それでもずっとみーみちゃんのことが大好きなまま、だめなところだって愛おしいと思ってくれる男子と出会うことができました。

――みーみちゃんのご自身の共通するところは?

餡:私もネガティブ人間で、だめなところを見せたないようにいい子ぶってしまうところがあります。社会で生きていく以上、ありのままの自分をみんなに受け入れてもらうのは、まず不可能だと思います。でも、だめなところを知ったうえで仲良くし続けてくれる人も案外いてくれるものなんですよね。思っている以上に、ひとは他人の欠点には興味がなかったりするものだな~と。だめなところがありすぎて嫌になることがたくさんあるのですが、もっと好きになれたら良いなと思います。

――どのようなところが「ネガティブ人間」だと思っていらっしゃるのでしょう?

餡:不安になりやすく、気にしいなので、考えてもどうにもならないことをうじうじ考えてしまうんですよね。どうにもならないからやめればいいのに、やめられないんです。でも、意外とそういったつらい思いも創作のネタになったりするので、悪いことばかりでもないと思っています。あとは自分を苦しめるのが好きというか、マゾなんだと思います(笑)。

――性別を問わず、人間には「めんどくさい」ところがあると思いますが、こと恋愛関係で「めんどくさい」ところを描く理由は?

餡:私自身がめんどくさい人間で、よくめんどくさいことを考えているので、身近で題材にしやすいと思ったからです。あと、恋愛って成長せざるを得ないシーンがたくさんあると思うんです。他人と親密に関わると同時に、自分とも向き合っていくことになるから。恋愛というコミュニケーションを通じて、「めんどくさい」子が成長して、「めんどくさくなくなる」のではなく、めんどくさくてだめな自分を受け入れていけるような物語を描きたい、と思っていました。

――Twitterで漫画を公開するようになって、ご自身の中で何か変わったことがありますか?

餡:たくさんの方に絵を見ていただけるのはもちろん嬉しいのですが、自分のどうでもいいツイートがいろいろな人に見られるのは、正直ちょっと怖いんです。「不快な思いをさせてしまったらどうしよう」「作品を楽しんでもらえなくなったらどうしよう」と心配になったり。「余計なこと言っちゃったなあ」と反省することも多々あります。でも、いろんな人に絵を見てほしいので、こわいなんて言いながらネットでの活動は続けていくわけで、たぶん……マゾなんだと思います(笑)。読者の皆さまはいつでも優しくしてくださるので……、本当にいつもありがとうございます。

――単行本で「ここを見て欲しい!」というところを教えてください。

餡:女の子の表情を描くのがいちばん楽しくて。照れたり、喜んだり、怒ったり……本当にいろいろな表情を見せているので、ぜひ見てほしいです! あと、女の子たちのやわらかそうな身体も見てほしいですね。

――今後、どんな話を描いていきたいと考えていらっしゃるのでしょう?

餡:そのときどきに、「描きたい」と思えるものを描いていきたいです! 人の考え方は変わっていくものだと思うから、変わり続ける自分、「成長してるかも?」という自分を楽しみながら、これからも創作を頑張っていきたいです。

――ありがとうございました!

※画像はTwitterより
https://twitter.com/an_necoco [リンク]

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