『NewsPicks』のStudent Pickerさんと、デジタルバンク「みんなの銀行」で繰り広げたトークセッション連載3回目です。
※この記事はオウンドメディア『みんなの銀行 公式note』からの転載です。
登場する人物
■ Student Picker 秋山 亮
■ Student Picker 松元 まりあ
■ Student Picker 寺内 翔海
■ Student Picker 渡邉 日菜子
■ みんなの銀行 取締役会長 横田 浩二
■ みんなの銀行 取締役頭取 永吉 健一(進行役)
トークテーマ03:ズバリあなたにとっての「お金」とは?
永吉 お金のことを考える時って、どんなシーンでしょうか?
寺内 そうですね、お金のことを考えるのは、アルバイトのお給料日とか、旅行中にお金を使う時とか、大きな旅行を計画する時とかのタイミングですね。僕の場合は、お金に関してはポジティブよりネガティブになっちゃうところがあって。でも不安というよりは「慎重にいきたい」「使い過ぎに注意しよう」っていう気持ちです。
永吉 実は私もどちらかというと寺内さんと同じで、お金のことを考えるのは「使い過ぎたな」とか「住宅ローンが全然減っていない」とか、ネガティブなシーンです。でも3,000名アンケートの結果では、全世代ポジティブな回答が多かったんですが、特にZ世代はお金との向き合い方にポジティブな感情を持っている割合がすごく高かったです。当然、私のように住宅ローン等を抱えていないでしょうから、夢に向かって何かをしたいとか、何かを買いたいとか、ポジティブにつながっているのかなぁと思います。
100万円もらったら何に使う?
永吉 もし今、100万円をもらったら何に使いますか?
秋山 これはポジティブなサプライズですねー(笑)。僕は全額を何か1つに使うことはせず、半分の50万円は、ちょっと良い経験をすることに充てるかなと思います。
例えば旅行先で、ちょっといいホテルに泊まったりとか、読みたかった本をちょっと多めに買ってみたりとか。残りの50万円は、自分の自由な時間を作るために使うかなと思います。例えば50万円をアルバイトで稼ぐには時給1,000円で500時間以上かかる計算になりますが、50万円もらえるのなら、その500時間は自由な時間にできます。自由な時間はもっと別のこと……遊びに行ったり本を読んだりに使いたい、という感じです。
永吉 なるほど、時間の捻出に使うということですね。でも遊びに行くと、またお金かかりますね(笑)。
秋山 そうなんです。なので100万円では足りないですね(笑)。
全員 !!(笑)
横田 「パーっと行こうぜぃ!」みたいな誘惑には負けないの?
秋山 自分にはあんまりそういう欲求がないのかもしれないです。
永吉 「どうせもらったお金なんだから、100万円一点張りでこんなのに使う!」っていう人は?
寺内 いやー、パーっと使いたいと思っていても、実際に100万円もらったら「慎重にいこう」ってなります(笑)。
永吉 ネガティブ……(笑)。
横田 「今、“金”の価格が上がってますよ~」って言われても?
松元 私の場合、もらったお金だからこそ、それを元手にもっと増やす方法を学びたいです。100万円は投資のプロセスを学ぶために使いたいと思います。
「100万円もらったら何に使う?[Z世代]」をテキストマイニングしてみたら
永吉 3,000名アンケートでも「100万円もらったら何に使う?」と質問してみましたので、見てきましょう。こちらはZ世代の自由記述欄にフォーカスしたテキストマイニングの図ですが、先ほどと同じで、真ん中にどーんと「貯金」がありますね。
そして「返済」「奨学金」「ローン」というワードも見られますが、これは学生のうち半分の人たちが奨学金を申し込んでいるというデータもある通り、「返さないといけないお金は、早く返そう」という表れで、Z世代ならではの特徴かなと思いました。「貯蓄」「投資」「資産運用」も多いですが、ユニークで今っぽかったのは「起業のために使う」。自由記述欄なので細かく書かれていて、「起業資金ではなく起業の際の“税金”に使う」というのも。
横田 儲かるつもりなんだね。
全員 (笑)
永吉 Z世代はネットやSNSを駆使して情報収集するのが当たり前の世代だと思いますが、お金を使う時、買い物をする時はどうですか?
渡邉 欲しいものを買ったり(モノ消費)、経験にお金を払ったり(コト消費)する時は、必ず事前にSNSをチェックします。そこでの口コミ、評価によって「買う/買わない」を決めますし、周りの友人もそういう人が多いです。
永吉 その時のSNSは何でしょう?
渡邉 インスタグラムが多いですね。
横田 ググる派じゃなくて、タグる派なんですね。
渡邉 そうですね(笑)。
秋山 僕は何かを買う時、YouTubeのレビュー動画をめちゃくちゃ参考にしています。この製品の「ココはいい!」とか「ココはちょっと」というのを。
横田 私も「倍速」で見ています(笑)。YouTubeは世代関係なく広く見られていますよね。
口コミは「かなり意識する」33.9%
永吉 3,000名アンケートでも、「商品やサービスを購入する際、口コミやレビューをどの程度意識しますか?」という質問に対して、「かなり意識する」と回答したのは、全体のうち25.4%。世代別には、Z世代が33.9%、Y世代が24.2%、X世代が18.4%と、Student Picker世代はまさに口コミやレビューを一番意識して買い物しているのが分かります。
消費・購買行動において重視する考え方は?
永吉 続いて「あなたの消費・購買行動において重視する考え方はどれに近いですか?」という質問に対しての回答を見ていきましょう。
よくメディア等では、Z世代特有の特徴として「コト消費(体験欲)」「失敗したくない」「自分らしさを意識」「社会への貢献を重視」が取り上げられることが多いように思いますが、実際にはどうなのかなとZ・Y・X世代でアンケートをとってみたところ、また異なる結果が出ました。
全体の傾向と比べ、Z世代は「モノ消費(物欲・所有欲)」「成功したい」「周りとのバランスを意識」「まずは自分のニーズを充足」の全てが図の左側、「より重視する」に寄っているようですが、Student Pickerの皆さんはこれについてどう考えますか?
松元 2つ、気付いた点がありました。まず、私自身は図の右側、「コト消費(体験欲)」「自分らしさを意識」をより重視する方なので、「Z世代はこう」と十把一絡げにはできなく、アンケート結果を見る上では、皆が皆、同じ考えではないことを意識して見ることが大事だと思いました。
また、Z世代がより重視する考え方が、「社会への貢献を重視」ではなく、「まずは自分のニーズを充足」の図の左側に寄っている点に関してですが、Z世代の学生である私たちはまだ、社会貢献につながる消費は難しい世代ですよね。「消費面での社会貢献」はできていなくても、これから生きていく中での「メンタリティ面での社会貢献」というものは重視しているのではと思いました。
永吉 Z世代の特徴の1つとして「多様性」というワードもよく取り上げられますが、「Z世代はこう」というステレオタイプにではなく、傾向として捉える必要がありますよね。
寺内 「モノ消費(物欲・所有欲)」と「コト消費(体験欲)」を比べると、単純にコト消費の方が、色々とお金がかかりそうですね。
横田 旅行とかね。
寺内 はい。逆にモノ消費は、(ちょっとしたモノでも)好きなモノを買うだけで欲求をすぐに満たせるので、手が出やすいと思います。これは実体(実物)のないモノ消費にも当てはまって、例えば映画や電子書籍等のサブスクだったり。学生でも1時間アルバイトしたら見放題できるような料金、そんな時代なので、モノ消費に振れちゃっても仕方がないなと。すごくリアルなアンケートだなぁと感じます。
渡邉 「周りとのバランスを意識」と「自分らしさを意識」については、私の想像より「周りとのバランスを意識」しているZ世代が多いなと思いました。私たち世代は、「多様性」「自分らしさ」について声を大にして言う傾向があって、「自分らしさを意識」したり、経験して表現につなげていけることにお金を費やしたり(コト消費)するイメージが強いのかなと思ったのですが、意外とそうでもないのだなぁと思いました。
横田 足先から頭のてっぺんまで「個性」という単語で表現するのが、Z世代の特徴の1つなのかなぁと思っていたのですが、そうでもないのですね。
全員 (うなずく)
Student Pickerにとっての「お金」とは?
永吉 今回はコロナ禍というアンケートのタイミングも影響していて、モノ消費にシフトしている側面もあるのかなと思いますが、アンケートを通して、皆さんのコメントを通して、様々な個性があることを勉強させていただきました。まだまだ話は尽きないのですが、最後にStudent Pickerの皆さんにお伺いします。ズバリ、あなたにとってのお金とは何ですか?
・精神的な余裕
秋山 僕は、お金は「精神的な余裕」だと思っています。あるに越したことはないですが、人生においてお金が全部を解決するわけではありません。助けになる可能性があるという意味で、あくまでも「余裕」だと思っています。
・自由を獲得する手段
松元 私にとって、お金は「自由を獲得する手段」です。私は性格的に「やりたいことは全部やりたい」「挑戦したいことは全部挑戦したい」という気持ちを強く持っているので、生きたいように生きるためにもお金は必要で、それによって自分の望む自由を獲得できると思っています。
・悩むものではなく考えるもの
寺内 僕にとって、お金は「悩むのではなく考えるもの」です。2022年度から高校でも金融教育が始まりますが、僕たち大学生は自分で勉強していかないといけない。お金について悩んでいるともっとネガティブなものになって、将来どうすれば良いかますます分からなくなりますよね。なので、悩むのではなく「考えるもの」としてちゃんと知っていく、向き合っていけば、お金って意外と“いい奴”なんじゃないかと思ってます。
・自由と選択
渡邉 私にとって、お金は「自由と選択」です。松元さんの考えと重なるところがありますが、最低限の生活資金にプラスして余裕があることで、最低限ではできない経験や知識を獲得する“機会”が生まれると思います。それは人生の自由な選択肢を増やし、可能性を広げてくれるものになると思い、この言葉を選びました。
永吉 ありがとうございます。「お金の使い方を見ればその人が分かる」と言われることがありますが、このトークセッションの短い時間ではありましたが、皆さんの人となり、特徴的なところを垣間見させていただきました。みんなの銀行は、ここにいらっしゃる皆さんと同じZ世代のお客さまに向けた新しい銀行づくりをスタートしたばかりです。皆さんに選んでもらえるような銀行、金融サービスをご提供できるよう磨いていきたいと思います。最後に横田さん、本日のトークセッションを通じての感想をお願いします。
横田 皆さんはすごく若くて、人生100年生きるとしたらあと80年位ある。お金についても、手段や選択だったり、ポジティブに考えるものとして非常に真面目に取り組んでいらっしゃる。我々は銀行として、色々な手段や選択、示唆や気づきを見せて差し上げられるような、ダッシュボードみたいな存在でありたいと改めて思いました。私はどちらかというと石川啄木みたいにじっと手を見てお金を定義してしまっているけど……(笑)、皆さんをポジティブに応援していきたいですね!
はたらけど はたらけど 猶わが生活 楽にならざり ぢっと手を見る
――石川啄木『一握の砂』より
(執筆者: みんなの銀行)