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突然ですがまずは動画を一本紹介させてください。熊本県・(公社)熊本県観光連盟が先日公開した阿蘇の観光プロモーションWEB動画『阿蘇の不時着』がものすごく魅力的なショートムービーに仕上がっていました。
https://youtu.be/VqFQmX3vLpM[リンク]
こちらの動画は宇宙船の故障によって阿蘇に不時着したエイリアソという宇宙人が、雄大な自然や温かい人々、美味しいグルメに囲まれながら生活し、次第に阿蘇に魅了されていく様子がドラマ仕立てで描かれたショートムービー。最後は「物語はウソですが、ウソみたいにきれいな景色は本当です」と締めくくられているのです。
……と、概要だけ聞くと怪しげですが、阿蘇の魅力や人々の温かさがほんのり伝わってくる名作に仕上がっていて、公開から1か月も経たないうちにYouTubeでの再生回数は30万回を突破。これはすごい。しかもコメント欄にはその内容を絶賛する声が殺到しているのです。
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そんな魅力的な阿蘇という土地。やっぱり実際に体験してみたくなっちゃいますよね……! その一心で先日、阿蘇まで2泊3日の旅行に行ってきました。動画『阿蘇の不時着』をたどる旅レポートをお届けします。
いきなり阿蘇の大自然の洗礼を受ける
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旅路についたのは10月20日。羽田空港を出発して昼頃に阿蘇くまもと空港に到着し、スマホの機内モードを解除すると次々に入ってくる緊急ニュース速報の通知。なんだなんだとチェックしてみると、なんと飛行機で九州上空を飛んでいた頃に阿蘇山が噴火してしまったのだそう。なんというタイミングで……!(厄年って怖い!)
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阿蘇くまもと空港からも確認できる阿蘇山の噴煙。いきなり阿蘇の大自然の洗礼を受けてしまいました。
幸いにも周辺への影響はほとんどなく、翌日に問題なく阿蘇方面に入れましたが、今度は天気が雨まじりの曇天。絶景を拝みに行こうにも雨が降ってしまっていては映えるものも映えないわけです。
これはどうしたものか……と思いながらもレンタカーを阿蘇方面に走らせたのですが、天気が悪いからこそ一瞬の晴れ間に見える景色のありがたさは格別。限られた日程のなかで行ってみたいと思っていた場所に行けなかった無念さこそあれど、大自然に振り回されることも阿蘇旅の醍醐味なのかもしれません。
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そして阿蘇の道路には数々の展望スポットがあり、駐車場に車を停めてじっくりと景色を眺められるんですよね。
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前日に噴煙を上げていた阿蘇山もこの日は穏やか。阿蘇の中央にそびえ立つ阿蘇山の雄大な姿はグッと心を打つものがあります。
レンタカーで巡る阿蘇の観光スポット
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車を走らせていると、2021年3月に開通したばかりの「新阿蘇大橋」にたどり着きました。2016年の熊本地震で崩落してしまった阿蘇大橋に代わり、元の場所から600m下流に設置され、熊本と阿蘇を繋ぐ重要な役割を担っているそうです。
全長525m、最大橋脚高97mとスケールが大きく迫力も満点。橋の近くには展望所があり、車を停めて橋を眺めたり、売店でコーヒーやジェラートを楽しんだり、橋の歩道を歩いて渡ることもできました。
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阿蘇の大自然は山や川だけではありません。再び車を走らせて向かったのは環境庁の「名水百選」にも選ばれている「白川水源」。ここは熊本市内の中央を流れる白川の源となっていて、毎分60tもの水が湧き出ているのです。
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水源は噴水のようにわかりやすく吹き出ているわけではありませんが、水面には常に波紋が広がっていてどこか神秘的な雰囲気。水はとても透き通っていて、周囲の緑も相まってとても癒やしを感じられる場所になっていました。
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なんと、白川水源の湧水はきれいなのでそのまま飲料水として飲むこともできるそう。空のペットボトルも販売されていたので、早速購入して飲んでみることにしました。
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水は常温14℃で湧き出ているそうでほんのりと冷たく、体にゆっくりと沁み渡っていきます。実に美味しい。こんな水を使って作る食べ物やお酒は間違いなく美味しいに決まってる。次の興味は自然と食へと向かっていきました。
郷土料理やご当地グルメ、地酒に舌鼓を打つ夜
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そのまま車を高森町方面へと走らせ、向かった先は「高森田楽の里」。築200年以上の歴史を持つ古民家で、囲炉裏を囲んで炭火で食べ物を焼く郷土料理の「田楽」が食べられるお店です。
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店内に入るとまるで江戸時代からそのまま時間が止まっているかのよう。時代劇の世界でしか見たことがないような空間が広がっていました。田舎のおばあちゃんの家のようでもあり、だけどほのかに厳粛な空気が流れているような、独特の空間のなかで囲炉裏を囲み、じっくりと野菜やおにぎりを焼き上げていきます。
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焼き上げた食材は山椒味噌やゆず味噌を塗っていただくのですが、これがまたものすごくいい味。味噌の味自体は濃い目なはずなのに、焼き上がってアツアツになった食材に塗ってみると、不思議と食材そのものの味や炭火焼き独特の香ばしさが主役になるんですよね。
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最後には郷土料理の「だご汁」も。だご汁とは小麦粉を水で練って作っただんごを入れた野菜汁のことなのですが、鶏ガラベースで野菜の旨味も溶け込んだしょうゆスープがたっぷりとだんごに染み込み、これがもうメチャクチャうまい。ボリュームも満点で、これがメインに据えられていても大満足できるレベルでした。
その後も道中ではさまざまなご当地グルメを堪能。特に印象に残っているのは、ミディアムレアで焼き上げた阿蘇の和牛「あか牛」をたっぷり使った「あか牛丼」ですね。旨味が凝縮された赤身肉は感動的な美味しさでした。
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雄大な自然のなかで過ごし、おいしい水を飲んで育った牛の肉が美味しくないわけがありません。脂身はほとんどないのに柔らかく、赤身肉が好きな方にはたまらないであろう逸品です。
そしてもちろん阿蘇のグルメもいいですが、熊本のグルメだって絶品揃い。夜には地元の居酒屋で馬刺しと日本酒という完璧なコンビでほろ酔い気分に。
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シメの熊本ラーメンも旅の疲れを癒やしてくれる優しい味わい。
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やっぱり、自然が豊かな場所の食べ物はうまいんだなあ。
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あとは熊本といえば温泉も名物。阿蘇周辺で少し検索するだけでも魅力的な温泉情報がたくさん出てきて悩んでしまった結果、宿泊したゲストハウスから近かった阿蘇駅前の「夢の湯」へ。
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入湯料400円と格安なのに露天風呂もサウナもあり、泉質もいい感じで大満足でした。次に阿蘇に来るときはもっと温泉巡りをしてみたいですね。
最終日の早朝、神秘的な雲海に感動
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そして迎えた最終日の朝。早起きすればきれいな景色を拝めるかなと期待して宿泊していたゲストハウスの外に出ると、またしても一面曇り空。むしろ標高が高い影響なのか、一帯が霧に包まれているかのようでした。
最初から最後まで天候には恵まれなかったな……と肩を落としていると、「雲が出ているからこそ『大観峰』という阿蘇随一の展望スポットから雲海が見えるかもしれない」と宿主さんからのアドバイスが。
半信半疑のまま、視界が悪いなか車を走らせること約30分。山道を抜けて大観峰に到着すると、目の前には本当に雲海が……!
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すげーーーーーー!! 到着した頃には朝日が昇り、雲海がどんどん蒸発し始めてしまっていたのですが、ギリギリで阿蘇の街が雲海で隠れる神秘的な光景を拝むことができました。
外輪山と内輪山の二重カルデラという特殊地形がもたらす奇跡の光景。ウソみたいにきれいな阿蘇の景色とはこのことか。きれいという言葉で片付けるにはもったいなさすぎるくらいの素晴らしい光景でした。
『阿蘇の不時着』で登場したミステリーサークルも本当に誕生
2泊3日で阿蘇のプロモーションムービー『阿蘇の不時着』をたどる旅をしてきましたが、その上で欠かせない新しい観光スポットがもう1か所だけあります。
『阿蘇の不時着』のラストシーンでは宇宙人が宇宙船で宇宙に帰還する際に「I’m fine! ASO」というメッセージを込めたミステリーサークルを残していくのですが、なんと「俵町交流館 萌の里」付近に直径30mの巨大ミステリーサークルが実際に制作されているのです!
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ドライブしていると突如現れるミステリーサークルのインパクトは絶大。11月下旬まで公開される予定となっていますので、それまでに阿蘇を訪れる機会がある方はぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょう。
ちなみに「俵町交流館 萌の里」には「ONE PIECE 熊本復興プロジェクト」の一環として、「ナミ」の像も展示されていますよ。
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「#USOみたいなASO」ハッシュタグキャンペーン開催中
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すっかり長くなってしまいましたが、それだけ楽しい体験ができた2泊3日の阿蘇旅。天候には恵まれなかったこともあり、すべてが予定通りにはなりませんでしたが、だからこそ余計にまた来たいと思えるというもの。自然のエネルギーに溢れた素敵な場所だなと感じました。
現在Instagramの熊本県観光公式アカウント(@kumamotto.official)では、阿蘇の“ウソ”みたいにきれいな景色や美味しい料理の写真にハッシュタグ「#USOみたいなASO」をつけて投稿すると、抽選で10名様に阿蘇の特産品などのプレゼントが当たるキャンペーンを開催中。
まだまだ新型コロナウイルスの感染拡大状況には留意し、安心・安全に楽しめる時期を選ぶ必要がありますが、熊本や阿蘇へ旅行する機会を作れた方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
(執筆者: ノジーマ)