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森崎ウィン『僕と彼女とラリーと』インタビュー「この映画を通して自分の故郷への愛情が深まった」


2021年11月に「FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦フォーラムエイトラリージャパン2021」の開催予定地だった愛知県豊田市・岐阜県恵那市を舞台に、過去の確執と向き合い乗り越えようとする若者の“新たなチャレンジ”と、“故郷の仲間たち”との繋がりを移りゆく自然豊かな美しい四季折々オールロケで描き出す、心あたたまるヒューマンストーリー『僕と彼女とラリーと』。9月24日(金)より愛知・岐阜 一部劇場にて先行公開中の本作が10月1日(金)より遂に全国公開となります。

父親との確執により過去にとらわれ将来に迷う主人公の青年・北村大河を森崎ウィンさん、大河の幼馴じみで自身のアイデンティティーに添い地元で暮らすシングルマザー・美帆を深川麻衣さんが演じた本作。脚本も手掛けた『今日も嫌がらせ弁当』の 塚本連平 監督が、故郷でラリーを通して新たな目標にチャレンジする人々の物語を四季折々の自然とともに紡ぎます。

今回は主演の森崎ウィンさんにお話を伺いました!

ーー作品を見させていただいて、とてもあたたかい気持ちになりました。森崎さんは最初にこのストーリーを知ったときにどう感じられましたか?

本当に、最初に台本を見たときは「ラリー」って書いてあるから、ラリーシーンがもっとあるかなと思ったら意外とないんだなと思いました(笑)。そのまま読んでいくと、なんとなく自分の家族とも重ねている自分がいて。この作品を演じさせてもらう機会が来るってことは、自分の家族ともっとちゃんと向き合えっていうことなのかなと感じました。

ーーどんなところで、ご自分の家族のことを思い出されましたか?

今離れた場所で一人暮らしをしていて、家族全員が集まることって、なかなか無くて。親戚もミャンマーにいて、コロナやミャンマーの情勢的に簡単に会えない状況だからこそ、日々のコミュニケーションってそんなに無いんですよね。「元気?」みたいな短い電話はするんですけど。

自分が生まれる前の“ウィン家”って、どういう感じだったのか意外と知らないなってことが多くて。今回演じさせてもらった、北村大河くんがお父さんのインタビュー映像を見ているときに思ったんですね。俺も自分の親のインタビューを映像で残した方が良いのかなって。すごく面白くて。自分の家族の過去を純粋に知りたくなりました。

ーー大河くんの気持ちの変化を演じる上で、どんなことを工夫しましたか?

毎回作品をやるときに、主人公が山を乗り越えていく、最終的に辿り着いていくっていう波を描くんですけど。今回はある意味、計算じみたことってあんまりしていません。過去パートで高校生時代を演じる時に「高校生か。制服いけんのかな?」「髪型を変えましょうかね?」というのはあったけど、それくらいしかなかったですね。

今回は何かを大きく会得しないといけないキャラクターでは無かったので。現場で、常に柔軟でいること。核となるところで嘘をつきたくなかったので監督に毎回相談しながら大河くんを作り上げていった感じです。

ーー森崎さんご自身は、レースを見たりしますか?

生ではまだ見たことが無いんです。たまにテレビで夜中にF1とかやってるじゃないですか。一回つけたら見ちゃうんですよね。迫力と音がすごく気持ち良くて。ラリーはこの作品に関わるまで知らなくて。色々と調べてみたのですが、ラリーにも興味が湧きました。結局、誰かとは戦っているんですけど、自分との戦いなんだなっていうのが、すごく面白いスポーツだなって。

ーーだからこそ過酷でアツいんですよね。実際、車に触れてみてどうでしたか?

TOYOTAさんの全面協力で、「GRヤリス」を使わせていただいたのですが、意外と座るところ狭いんだなって思いました、ぎゅっと乗り込む感じで。そうじゃないとスピードに振られちゃうので、ピタッと車と一体になるっていう感じは気持ち良かったです。

ーー深川麻衣さんとのシーンもすごく自然なやりとりというか、人間描写が素敵でした。

麻衣ちゃんはタメなんですよ。90年生まれの役者に出会うことってほぼないのに、今回、僕と麻衣ちゃんと田中俊太くん3人ともタメだったので、現場でよく喋ったりして楽しかったですね。深川さんはすごく気さくな方で。トップアイドルだったわけじゃないですか。だから、あんまり近づいちゃいけないのかな…?とか緊張してたんですけど…(笑)。全然そんなことなくて、本当に純粋に人間として魅力的な方でした。

ーー森崎さんもグループでご活躍されていて、田中さんもですよね。

そうなんですよ。「全員グループ出身だね!」って言いながら。そういう経験があったからこそ、今があるんだよね、みたいなお話もしました。

ーー大河さんの役柄は、役者を目指して上手くいかなくて悩みながら夢を追っていると思うんですけど、森崎さんご自身はやりたいことに向かって悩んだりとか、それをどう乗り越えたとかありますか?

悩んだりすることは今も常にあります。役に対する悩みって、常にどんな役だろうとあって。だけど、正解がないから途中から分からなくなってくるんですね。「あれ?」みたいな。そこから、監督が導くゴールに信頼を置くことは、それを乗り越えることの秘訣なのかなって思います。なので信頼できる脚本に巡りあえることがありがたいですね。

ーーやっぱり脚本とか監督さんとの出会いで悩みを乗り越えていく、と?

そうですね。だから、自分で乗り越えるんじゃなくて、純粋に自分で相談しにいくことの大事さっていうのを改めてこの作品で感じました。もちろん僕にはない感覚を大河くんは持っているので、監督に「これはどういうゴールに向かっていったらいいんですかね?」っていうのを常に相談しながら、現場でやっていました。

ーー素敵なお話をありがとうございます。完成された作品をご覧になって、この作品の、こういうところがいいなって、改めて思ったことを教えてください。

なんか俺、すごい良い顔してたんです。意外とアップも耐えられるな、俺!と思いました。

そういう冗談は置いておいて(笑)、純粋に「帰る場所がある」って素敵だなと思いました。自分の出発地点に戻るというか、それこそラリーっていう言葉に繋がってくるんですけど。特に僕なんか、帰る場所からすごく離れているから思うんですけど。

僕は豊田出身ではないんですけど、ミャンマーにも美しいところってたくさんあって。なので、映画を観ながら「あ、良いな。故郷に帰りたいな」って思わせてくれるような作品で。この作品を通して、自分の故郷への愛情が深まったように感じました。

ーーストーリーを楽しみながら、ほっと心が休まる様な、そんな映画ですよね。今、森崎さんが一番休める時って、どんな時ですか?

家でアニメ見ながらお酒を飲む時間ですかね。今、ミュージカルやっているので(※取材時)本当は休演日前になったら皆で飲みに行きたいなと思いつつ行けないので。終わって家に帰って、片付けをして、お酒を飲みながら、アニメを観ています。

ーー最近のおすすめアニメは何ですか?

『アルスラーン戦記』です。壮大な話なのに自分にも染みる言葉がたくさんあって。アルスラーン殿下の「何もできないけど人がついてくる」というキャラクターが、自分に置き換えるのは、すごくおこがましい話ですけど、憧れます。こういう人が人の心を掴んでいくんだなっていうのを感じました。

僕がやっている音楽活動で考えた時に、僕がフロントマンで、周りに支える人たちがいて、支える人たちも仕事だからじゃなくて「この人についていきたい」って思ってくれたら嬉しいなというか。

ーー先日森崎さんの配信ライブを観させていただいて、個人的にも宮野弦士さんの曲がすごく好きなので、森崎さんの歌声とマッチしていてすごくカッコ良かったです。

ゲンティー!すごいですよね。ありがとうございます。音楽活動は「自分とは?」というのを紐解いていく作業のような気がしていて、すごく面白いです。自分と向き合うことは役者もそうなんですけど、演じるキャラクターがある分フィルターを挟んでいる感じがして。音楽とお芝居は違う向き合い方なのかもしれないです。結局、自分と向き合うという面に変わりはないと思うんですけど、純粋に楽しくやりたいことをやれているっていう印象です。

【動画】MORISAKI WIN (森崎ウィン) /「WonderLand」
https://www.youtube.com/watch?v=_mluL8YkWrk

ーー俳優で森崎さんを知った方も、音楽を聴いたらカッコいいので多分、感動すると思いますし。音楽活動の方も、今後も楽しみにしています。

ありがとうございます!カッコいいのを出し続けられたらと思います。

そうだ、逆に、アニメのおすすめを聞いても良いですか?

ーー最近だと『オッドタクシー』が伏線回収系というか、すごく面白かったです!

(マネージャーさん:面白いですよね!)
まじっすか。伏線回収されるの大好きなので、絶対観ます。
楽しみが出来た!

ーーぜひ観てみてください! 今日は楽しいお話をどうもありがとうございました。

撮影:オサダコウジ

[キャスト]
森崎ウィン 深川麻衣
佐藤隆太、⽥中俊介、⼩林きな⼦、有福正志、 ⼩林涼⼦、よしこ(ガンバレルーヤ)、⽵内⼒、⻄村まさ彦
[監督・脚本]塚本連平
[主 題 歌]JOYRIDE / 加藤ミリヤ
[公 開] 10 月1 日(⾦)全国ロードショー 9月24 日(⾦)愛知・岐⾩ 一部劇場 先⾏公開
製 作︓『僕と彼⼥とラリーと』製作委員会 / 制作︓RIKI プロジェクト
配 給︓イオンエンターテイメント / スターキャット

(C)2021「僕と彼女とラリーと」製作委員会

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