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東京・蒲田といえば、知る人ぞ知る餃子の街。中でも「御三家」と呼ばれる名店3店は、蒲田のレジェンドだが、この3店の餃子をリアルに形どった食品用トレーが蒲田の町工場から発売されて話題となっている。
題して「“餃子の街蒲田御三家”超リアル餃子トレー」。製造・販売するのは、蒲田本町に本社を構える町工場、株式会社城南村田だ。
この城南村田は以前にも「おじさんの手がきゅんポーズをするのをリアルに再現したチョコトレー」を発売し、気持ち悪がられながらも世間をザワつかせたことはすでにお伝えした。
一体誰が買うの? 蒲田の町工場が作った「斜め上すぎるホワイトデーグッズ」とは?
https://getnews.jp/archives/2953430[リンク]
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今回は「餃子の超リアルなトレー」という、恐らくこれまで誰も挑戦しなかった(というか、挑戦しようともしなかった)謎の課題に挑んだわけだが、城南村田いわく「町工場の威信をかけて、技術の総力を結集して製作に臨んだ」というその製造過程が、なかなかスゴイので取材し、全容を明らかにしてみた。
工程1:餃子をひっそりテイクアウトして冷凍
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プロジェクトが始動したのは、なんと去年の年末。城南村田の社内に秘密裏に結成された“面白トレー開発委員会”が、とある夕暮れに、蒲田御三家の餃子をこっそりテイクアウトし、冷凍。
凍らせることによって餃子の形状を安定させることから“超リアル餃子トレー”の製造工程は始まったのだという。
工程2:餃子を3Dスキャンして3Dデータ化
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冷凍した餃子には、まず石灰スプレーを吹き付ける。こうすることによって、餃子をスキャンしやすくするのだという。
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餃子はひとつずつ、設計担当者の手によって3Dスキャンされる。餃子を乗せた回転台を少しずつ回し、あらゆる方向からスキャンしていくことによってデータ化されていく。
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この3Dデータを基に図面を設計し、いよいよ原型の製作に進むのだ。
工程3:マシニングセンタでケミカルウッドを切削
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図面を元に、マシニングセンタにセットされたケミカルウッド(人工木材)を切削していくと……。
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およそ半日で真空成型用の原型がおおよそ出来上がる。しかしまだ完成ではない。
工程4:木型師が細かい調整を行い原型完成
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3Dデータにはどうしても細かい“死角”ができてしまうという。その死角によって原型の細部に再現されていない箇所がどうしても出てしまうのだ。その“細かいバグ”は、高度な技術を持つ木型師が目視で餃子を確認しながら、彫刻刀・パテ・紙やすりなどを使って調整し、緻密にリアルな餃子の形状に近づけ、再現していく。
工程5:テスト版を真空成型する
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こうして完成した原型を使い、テスト版を真空成型する。精度はどうだろうか……。
工程6:餃子がピッタリはまって嬉しい
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餃子を合わせてみるとホラ、ピッタリ。……ということで黒色PS樹脂を真空成型し、トレーを量産する。
工程7:箔押し機を使い、店名を金文字で箔押し
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箔押し機を使ってトレーに金文字で店名を入れれば……。
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はい! 出来上がりです!
“黒と金”の“やんらしい配色”が、ベテラン演歌歌手のような暑苦しい大人の魅力を醸し出します。
工程8:営業担当の浅井さんが満面の笑みで記念撮影
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こうして見事に「“餃子の街蒲田御三家”超リアル餃子トレー」が出来上がって、めでたしめでたし! ではあるが、そんなにめでたいのかどうか私にはまあまあ疑問が残る。
というのも、このトレーには実用性がほとんどないのだ。城南村田も商品サイトで「“でも餃子ってひとつひとつ形が違うから、リアルに型を取ってもそんなトレーに使い道は特にないよね?”という厳粛な事実に気がついてしまったアナタ! さすがです。お願いですからその話はナイショにしてください」と自らぶっちゃけてしまっているくらいだ。
値段は3枚セットで「餃子ジュージュー」の語呂合わせで1010円(税込・送料別)。
城南村田は強気にも「あなたもご自宅で名店の餃子を穴が開くほど見比べて“餃子王”の気分を満喫しませんか?」とするばかりか「大田区のお土産としても最高にクール! 羽田空港や区内のお土産物店のみなさんからの販売希望のお話も絶賛募集中」と豪語しているが、果たしてどのくらい売れるのだろうか? 心配になるところだ。
ちなみに城南村田の「面白トレー開発委員会」(筆者も実はそのメンバーである)は、今後も可能なら月イチのペースで「面白トレー」を開発していきたいとしている。
いつの日か、ヒット作は生まれるのか。また報告するので期待しておいてほしい。
城南村田BASEショップ
https://jonanmurata.thebase.in
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(執筆者: 鎮目博道)