内館牧子さんの小説を原作とし、黒木瞳さんが監督を務めた、映画『十二単衣を着た悪魔』が新宿ピカデリーほか全国公開中。メインキャストである伊藤沙莉さんの撮り下ろしインタビューをお届けします。

多くの名作を生み出してきた脚本家・小説家の内館牧子さんが「源氏物語」を題材に、奔放で強い女性によって成長していく青年の姿を描いた長編小説「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」を元に実写化。誰もが一度は目にする物語と言っても過言ではない源氏物語ですが、光源氏ではなく、桐壺帝の正室で、源氏物語では少ししか登場しない弘徽殿女御(こきでんのにょうご)にスポットを当て、自立した強い女性像が描かれています。

本作は、現代では就職活動に苦戦し、弟に劣等感を抱くフリーターの主人公・伊藤雷(いとうらい/演・伊藤健太郎)が、『源氏物語』の世界にトリップ! 弘徽殿女御(三吉彩花)に出会い陰陽師として活躍し、成長する物語です。

そして、『源氏物語』の世界で雷と出会い、妻となる倫子(りんし)を伊藤沙莉さんが演じます。伊藤沙莉さんに、演じた役柄の見どころや、久々の共演となった伊藤健太郎さんの印象などお話を伺いました。

※この取材は10月に実施したものです。以下、伊藤沙莉さんは名字ではなく下の名前で表記します。

倫子は雷から現代の影響を受けている「倫子にとっては、とても幸せな物語」

――沙莉さんが出演されていたドラマ『いいね!光源氏くん』も観ていたので、今回のご出演を聞いて『源氏物語』にご縁があるなと思いました。

沙莉:ありがとうございます! 実は、『十二単衣の悪魔』の方が撮影時期が早くて。だから『いいね!光源氏くん』で光源氏を演じていた千葉雄大さんに、「大変でしょ、その着物」ってよく言っていました。

――では、先に体験できていたので良かったですね。

沙莉:そうなんですよ。着物の動きの不自由さなどは前もって知れていて良かったなと思いました。

――今作は弘徽殿女御がフィーチャーされているところが珍しいですが、台本を読んだ感想を教えてください。

沙莉:この作品がすごくいいなと思ったのが、光源氏を題材にした作品は結構あるじゃないですか。だけど、またちょっとテイストが違うというか、焦点を当てるところが違うだけで、こんなに異なる世界観になるんだなと感じました。現代でも、すごく勇気をもらえる女性は多いんじゃないかなと思います。あと、この前タイムリーにテレビで(働く女性の成長を描く)映画『プラダを着た悪魔』が放送していて。この作品と関わりはないし全然違うものなんですけど、描かれている女性の立ち位置がリンクして見える部分があって面白いなと思いました。

――黒木監督からどのようなディレクションを受けましたか?

沙莉:密に「こうして」と指示されることはなかったですけど、倫子はシーンによって結構演出が違ったんですよ。倫子という1つのブレない軸はあるんですけど、雷と一緒に過ごす時間が長くなるほど、現代の影響を受けるみたいなところがあるんです。だから、突然普通に歩いたり。「ちょっとずつ雷にもらっているカルチャーみたいなものがあるから」と。現代と平安のハーフみたいになっていくんですよ。そこは狙いだったのかな、と感じました。

――面白いですね。演じた上で、倫子をどのような人物だと捉えていますか?

沙莉:倫子はすごくピュアなので、とても可愛らしい女性だなと思うんですけど、ただ雷と出会ってなかったらと思うと、ちょっとゾッとするくらい自分に自信のない子なので……、だから本当に運命の出会いだったなと思います。短い人生の中で誰か1人、自分の運命を変える人に出会えるって相当な出来事じゃないですか。そういった意味では倫子にとっては、とても幸せな物語なんじゃないかなと感じました。

「無音だと発狂しちゃう(笑)」

――雷は現代の薬を持ってトリップしたので、平安の世で活躍することができましたが、沙莉さんがトリップする時に持っていきたいものは?

沙莉:私は音楽プレイヤー。一生ポータブルで動くやつがあればいいですね。

――ソーラー充電だと良いかもしれないですね(笑)。そんなに音楽が好きなんですか?

沙莉:音楽が好きっていうか、流れてないと無理なんです。無音だと本当に発狂しちゃう(笑)。家でもずっと音楽がかかっています。ずっとクリスマスソングを聴いてます(笑)。

――ずっとクリスマスソングを!?

沙莉:クリスマスソングは一番心の平和を保てるから、ずーっと年中無休で聴いているんです。私はクリスマスソングが聴ければ、とりあえずは心の平和は保たれるので。心が平和じゃないと何も出来ないから、どこに行ってもそういう感じで生きていきます(笑)。

――主演の健太郎さんとのご共演は久々ですか?

沙莉:久々でしたね!

――ドラマ『ドランジットガールズ』(2015)以来?

沙莉:そうですね。当時は18歳(健太郎さん)と、21歳(沙莉さん)だったので、もう5年前。

――久々に共演されて、印象の変化はありましたか?

沙莉:元々健太郎のお芝居がすごく好きで。お互いガチガチに決めて入るタイプじゃなくて、投げて返ってくるものがリアルなリアクションだから、そういうお芝居の場が私は一番楽しいと思えるので、そこは現場の中心に健太郎が居てくれて良かったです。倫子は途中から登場するので、現場には3日間くらいしか居なかったんですけど、とても心強かったです。何より、やっぱり5年という月日はすごいなと感じたのは、(健太郎さんの雰囲気が)とてもどっしりしたな、と思いました。

なんかすごく人間臭い人じゃないですか。ちゃんと地に足がついてるから、それがとても魅力的だと思うし、その中ですごく自由にお芝居をされるので、見ていて面白いし、相変わらずとても素敵な役者さんだなと思いました。

伊藤健太郎の熱演に「私のおかげだったんですね(笑)!」

――本作は『源氏物語』の世界にトリップするお話ですが、沙莉さんが今トリップしたい場所はどこですか?

沙莉:私は人生で初めて行った外国がイタリアのウディネで、映画祭で行ったんです。去年くらいから初めてプライベートでの海外旅行に挑戦していて、フロリダから始めて、次はニューヨークとか王道なところに行こうと思っていた時に、こういった状況(コロナ禍)になってしまって。そうなると、じゃあまた一から始めたいなと思って、原点のウディネに行きたいなと思っています。

――本作の見どころについて、健太郎さんが後半の沙莉さんのお芝居が素晴らしくて、その後の熱演シーンに感情が入り、とても助けられたとおっしゃっていました。

沙莉:今の話を聞く前から思っていたんですけど、現代に戻った雷の胸の苦しさの表現が本当に素晴らしいなと思っていたんです。私のおかげだったんですね(笑)!

スタッフ一同:あはははは!

沙莉:でも本当に、「あ、素敵だな」と思ったんです。あそこは微妙な感じだと、ただの未練だったり、あまりこういう表現は好きじゃないですけど、男らしくない、みたいな方向性に見えてもおかしくない。でも、苦しいという感情の表現が、むしろ男らしかったんです。それは特に言葉にするわけでもなく、表情と泣き方だったり、全身から辛さやマイナスな方向の気持ちが溢れ出ちゃってる。感情を“出す”んじゃなくて、“溢れる”というのはすごく難しいと思っていて。それをこちらに押し付けるわけでもなく、ただただ漏れているというのが、私はスクリーンで観てとても素敵だなと思っていたので、そこに何かお力添えできていたのなら良かったです。

――お二人の熱演をぜひスクリーンで確かめていただきたいです。ありがとうございました!

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『十二単衣を着た悪魔』11月6日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開中
【あらすじ】
現在、就職試験59連敗中!フリーターの伊藤 雷は文武両道な弟に引け目を感じていた。そんなある日、『源氏物語』に関するイベント設営のバイト帰りに、家の付近で激しい雷雨に見舞われ、バイト先でも目撃した不思議な光に吸い込まれて気を失った。目が覚めるとそこは何と平安時代、あの紫式部によって書かれた『源氏物語』の世界だった!タイムスリップしてしまった雷は、皇妃・弘徽殿女御と息子の一宮に出会う。口から出まかせで陰陽師“雷鳴”を名乗り、息子を帝にしようと野心に燃える弘徽殿女御に翻弄されながらも次第に触発され、一念発起する─。

伊藤健太郎 三吉彩花
伊藤沙莉 田中偉登 沖門和玖 MIO YAE 手塚真生 / 細田佳央太 LiLiCo 村井良大 兼近大樹(EXIT)
戸田菜穂 ラサール石井 伊勢谷友介 / 山村紅葉 笹野高史
監督:黒木瞳 内館牧子「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」(幻冬舎文庫) 脚本:多和田久美 音楽:山下康介 雅楽監修:東儀秀樹
主題歌:OKAMOTO’S 「History」 (Sony Music Labels)
制作・配給:キノフィルムズ 制作:木下グループ
(C)2019「十二単衣を着た悪魔」フィルムパートナー
公式サイト:juni-hitoe.jp[リンク]

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情報提供元:ガジェット通信
記事名:「「現代と平安のハーフみたいに」伊藤沙莉 映画『十二単衣を着た悪魔』インタビュー 無音だと発狂!?「クリスマスソングを年中無休で聴いています(笑)」