どうもライターの丸野裕行です。
高額のヴィンテージドレスROLEXやスポーツアンティークROLEXの趣味を持つミドル世代に、時計投資の方法や遊び方について解説していく、大好評の《オトナの時計投資シリーズ》。
【連載】『シリーズ:オトナの時計投資』
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今回は「ベゼルを変えるだけでヴィンテージロレックスの印象をガラリと変える」という遊び方の極意をいろいろとご紹介していきたいと思います。
第9回を迎える今回も、マニア垂涎の稀少品ベゼルがどんどん登場! ヴィンテージロレックスが好きだというあなた! この回も大注目です!
前回に引き続き、取材協力いただけるのは、アンティークロレックスコレクターで、副業兼趣味として時計投資ビジネスを行っているという神戸製薬株式会社代表の吉田ナリアキラさんとダブルネームのヴィンテージROLEXにこだわる藤原優さん。いかに少ないアイテム数でROLEXを楽しみまくるか、さらに時計投資の財テク術を綴っていきたいと思います。
そもそも、ベゼル(bezel)とはなんなの?
べゼルとは、本来“額縁”や“外枠”という意味。時計以外にも、スマホなどの外枠部のこともそのように呼称しています。
時計でいえば、ベゼルは腕時計本体のフェイス部にある文字盤の外周にはめ込まれた部分、風防を守るように囲むパーツのことをいいます。役割としては、風防を安定させるもの。しかし、腕時計のデザインや機能の進化に伴って、ベゼル自体の役割が変わっていきます。
ベゼルの種類には、ROLEXコスモグラフデイトナに代表される平均時速を計測する機能を持った『タキメーター』、ROLEXサブマリーナなどにはめ込まれた潜水時にベゼルが回転しないように一方向にしか回らない『逆回転防止ベゼル』、ROLEXデイトジャストターノグラフなどに採用されている目盛と時分針を合わせて経過した時間を読み取れる『両方向回転ベゼル』、ROLEXGMTマスターに搭載された24時間針との組み合わせで第2の時間帯を読み取れる『GMTベゼル』などが代表的です。
今回は、最後にご紹介した『GMTベゼル』について、取り換えただけでフェイスが様変わりし、自分が保有しているアンティークロレックスを2倍も3倍も楽しめる極意について触れていきましょう。
現行品にはない時計が育つ“熟成感”があるヴィンレージロレックス
丸野(以下、丸)「なぜ、ベゼルというものができたのでしょうか?」
吉田さん「起源をさかのぼると、デイトジャストターノグラフに付いたことがはじまりですね。厳密にいえば、“ベゼルインサート”というもので、これは取りつけるためのワンセット。サブマリーナは酸素ボンベの残量を計ったりするときに使用するベゼルになります。用途用途によって、ベゼルは変わっていくわけですね」
丸「これ、見せていただくと、すごく味があるものがありますね」
吉田さん「経年劣化によって、いい味が出てくると価値が上がるわけです。昔のROLEXのベゼルは“色落ちしてきた”なんてクレームがついたりしていたので、現行品のベゼルになって、ロレックス側も塗料を改良し、色落ちしにくくなっていますよね。本当はそれって味も出ないし、時計自体が面白く“育ってくれない”ことにつながるんですけど……」
丸「僕もアンティークロレックスが好きですけど、ワインやスコッチウイスキーと同じで“熟成感”がある時計が好きですね」
ベイクライト製がステンレス製に推移
丸「やはり値打ちがあがるベゼルというものもあると思うのですが。以前、『中野ブロードウェイ』でベゼルのみを取り扱っているお店に行ったことがあるんですが、値段が高かったですね」
吉田さん「昔の太字ベゼルの文字がキレイに残っているものが【Ref.1675】で現存していれば、かなりの価値がありますね。昔のものは勝手に色落ちするものですから。太字フォントは初期のⅠ型になります。そして、これはGMT初号機【Ref.6542】についていたベイクライトベゼルといって、アクリル樹脂でできていて、これだけで数百万円の価値になっているようです」
<写真:6542プラスチック製ベゼルは脆い>
藤原さん「6542のアクリル樹脂のベゼルは、気をつけないと、すぐに割れてしまうんですよね。怖くて付けてられないです(笑) 吉田さんは普段使いしていますよね。そのあと後期になるとステンレス製に変わっていくのですが、それでも高いですけどね。後期のアルミの【Ref.1675兼用】のベゼルでも、“フクシア”といって、本来の赤色部分がバイオレットに変色しているもの。これも、相当の価値があり、ついているだけで時計の価値もあがります。自然に退色したベゼルなんか、かなり高額です」
<写真:フクシアベゼルは色落ちした感じが芸術品>
丸「ほほう。そうなんですか」
吉田さん「1675のコンビなんかは、王冠クラウンや、インデックス(※文字盤の数字をのこと)がボコリと出ているフジツボ(※外国ではニップル=乳首といわれる)は稀少です。映画では『シークレット・サービス』でクリントイーストウッドや『検察側の罪人』では木村拓哉さんがつけていたモデルですね」
人為的に色落ちさせることもできる
丸「この色落ちって人為的にはできない芸当ですよね?」
<写真:手前のベゼルの色落ちはマニアにはたまらない>
吉田さん「吉田さん「いや、ベゼルインサートに関しては、Ⅰ、Ⅱ型くらいまでの古さのベゼルであれば、漂白剤に浸すなどすることで色落ちさせることが可能です。私はやったことがありませんが……」
藤原さん「よくスーツの素材やジーンズ素材でこすったりして色落ちさせてる業者もいますよね」
丸「そうすれば、人工的に色落ちさせて、味を出すことができると……。なるほど」
本当に時計の印象が変わる
丸「ちょっと、ベゼルだけで印象が変わったとわかるところも見たいんですが……」
吉田さん「では、ちょっと印象を変えてみましょうか。道具はコチラを使います」
丸「へぇ」
吉田さん「ベゼルを外していきますね」
丸「こうやって外すんですね」
吉田さん「こちらのブラックフェイスのGMTマスターであれば、例えばこんな感じですね」
丸「ホントだ、全然違う!」
藤原さん「面白いでしょ? そこにベイクライトをつけると……」
吉田さん「こんな感じです」
丸「ホント、全然違いますね」
藤原さん「僕らはこうしてひとつの時計で何フェイスも楽しんでいるわけです。オーバーホールの料金もひとつで済むし、ベゼルさえ揃えれば、毎日違う時計ができるわけですよね。しかも、売るときにも替えベゼルがあれば、その分値段が上乗せされます」
【オトナの時計投資:ベゼルで楽しむヴィンテージROLEX】
丸「なるほど、時計投資にもつながると……。今日は勉強になりました」
アンティークロレックスの奥深い世界。次回もマニアックなディティールについて、綴っていきたいと思っています。
取材協力:神戸製薬株式会社
https://www.kobe-seiyaku.co.jp/ [リンク]
≫≫次回は、『世代別GMTマスターのディープな遷移』
※ビンテージROLEXへの投資はあくまで自己責任でよろしくお願いいたします。
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(執筆者: 丸野裕行)
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