どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
10月26日、群馬県太田署は家畜の窃盗が疑われている同市内のベトナム人グループ13人を、ビザ切れなど不法残留(入管難民法違反)の疑いで逮捕しました。
さらに、畜場法違反容疑(県知事の許可を得ていないアパート内で豚を解体した罪)で、22歳から32歳のベトナム人技能実習生の男4人をさらに逮捕。最近、群馬県内や北関東などでは、豚や鶏などの家畜盗難被害が相次ぎ、県警が網を張っていました。
警察の発表では、4人は7月ごろから同居しているアパートの一室で、許可がないまま豚一頭を食肉にする目的で解体したとのこと。4人のうちの数人は一部の容疑を認めているそうです。
なぜ解体が発覚したのか?
なぜ、この事件が表面化したのか。それは逮捕された4人のうち1人が、近隣の畑から瓜を5つ盗んだことで、窃盗容疑の現行犯逮捕。さらに、容疑者が住んでいるアパートを警察が捜索した際に、袋詰めの解体された豚肉14袋と解体に使う牛刀5本などを発見しました。
驚くべきは、彼らのSNSに豚の丸焼きがアップされ、現場がわかるアパートの画像まで上がっていたとのこと。いくら貧しいといえど、本国と同じようなライフスタイルを送る彼らに、警察官も仰天したようです。
ベトナム人技能実習生たちは、そこまで多くはない豚肉を「自分の食用にした」「同じベトナム人に売ったりした」と供述。家畜窃盗に関しては黙秘し、「インターネットで購入した」などと話しているといいます。
捜査関係者は、4人は車や自動車免許を所有していないために、家畜を運ぶ際の“運搬係”など仲間がいるとみて、県内の窃盗事件との関連を調べているといいます。
盗品食品流通ブローカーはかくも語る
ここで、以前取材をしたことのあるヤクザから密猟品の海産物や窃盗品の果物や米などを買い取って日本全国に流通させている《盗品食品流通ブローカー》のG氏(56歳)にベトナム人の窃盗品について話を聞きました。
丸野(以下、丸)「この事件についてどう思われますか?」
G氏「ほとんどの場合、技能実習生や留学生として入国してきているベトナム人。日本人が嫌がる仕事をやらせるために、日本国内に入国させて、待遇は悪いし、ひどい扱いはされるし……可哀想なんだよね」
丸「北関東では、9,000個のも果物窃盗被害が出ているんですが、なにか相談されたことなどはありますか?」
G氏「盗むことでしか食っていけないし、窃盗犯に声をかけたらすぐに人刺しちゃうからね。すぐに“ブスッ!”だから……。自宅に入り込まれて、殺されている一般人なんかも多いって聞くよ。でも、そんな連中とは商売ができないから、自分たちのコミュニティで窃盗品は消費していると思う」
丸「そうですね。近隣の郵便局からリンゴと書いて、日本国内にいる同胞に梨を送っていたということもあったそうです」
G氏「オレたちは、スーパーやドラッグストア、飲食店なんかに販路があるけど、彼らにはない。自分たちのコミュニティをSNSで作って、仲間同士で食べてるだけだと思うよ、ホント。他の地域ではヤギなんかも盗まれているし。でも、日本人は、ヤギは食わないよ(笑)」
丸「SNSですか」
G氏「そう。彼らは、ベトナム料理のうまい店とか、ベトナム人が集まる場所とか、景色のいい観光地とかをその中で情報交換してる。彼らには、SNSがなければ、異国でベトナム人同士のコミュニティを作ることは難しいんだと思うよ。一度見たことがあるけど、“豚肉を安く分けてあげます”とか“果物を安く販売しますよ”とか書いてあるらしい。ベトナム語だから読めなくて、通訳してもらったけど(笑)」
ベトナム人窃盗団からの依頼があったのは、ワタリガニ
丸「買取の依頼があったりしたことというのはありますか?」
G氏「まったくなかったけど、最近ではワタリガニ。今の季節に、ワタリガニの密漁をしたベトナム人から、カニを買い取ってくれないかと……」
丸「ワタリガニですか……」
G氏「そう。それも大量に……」
丸「どうしました?」
G氏「新鮮だったから買い取ってやったよ、それもうんと安く。ベトナム人に正規の卸売価格なんてわからないから」
ベトナム人からのSNS承認は受けない
丸「僕のところには、よくフェイスブックとかでベトナム人らしき人から承認申請がきます」
G氏「ダメ、ダメ。それ新しい手口だから。変わった異文化を知ろうとして、見ず知らずの人間と会って、犯罪に巻き込まれたら世話ないでしょ? 全員が全員そうだとは言わない、マジメに仕事をしているベトナム人もいるんだから。でも、不用意に外国人とSNSで会ったりするのは、オススメしないね」
ベトナム人による犯罪組織などは存在しないというG氏。そのほとんどは、個人的に犯罪を起こしてしまった人間たちだといいます。
日本国内で頑張っている同じベトナム人にも迷惑がかかっているのが現状の中、コロナ禍で困窮した彼らであっても、犯罪に手を染めることは絶対にやめてほしいと思います。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)
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