ノイタミナ初のBLコミックのアニメ化となったキヅナツキ先生原作による『ギヴン』(新書館「シェリプラス」にて連載中)を原作とした、『映画 ギヴン』が8月22日(土)より公開! メインキャストを務める、中澤まさともさん(中山春樹役)、江口拓也さん(梶 秋彦役)、浅沼晋太郎さん(村田雨月役)のインタビューをお届けします。
TVシリーズでは、高校生の真冬と立夏2人の切なくて淡い恋がメインでしたが、『映画 ギヴン』では、大人メンバーである春樹、秋彦、雨月の苦くて熱い恋がメインに描かれます。
「秋彦がここまでグズグズになるのか、と(笑)」
――3人がメインの映画になると聞いたときの感想を教えてください。
中澤:映画になるという話を聞いたときに、驚きと緊張がありました。『ギヴン』は僕の声優人生の中で初めてのことが多くて。でも、これまでTVシリーズで演じてきた春樹という役を演じることについては、あまりプレッシャーを感じずにできたと思います。浅沼さんも江口くんもいて、TVシリーズでも一緒に演じていた3人なので、収録に関しては緊張なくやれました。それだけ頼れる方々だと思っています。
江口:僕は単純に「そこまで描くんだ」と嬉しかったです。高校生の青春恋愛と、ちょっとそこから外れた成長している大人たちの恋愛模様が描かれるというのが楽しみでした。
浅沼:僕はTVシリーズの出演回数としてはそれほど多くなかったので、映画になってこれまで読んだことのないもの、例えば予告編のナレーションを「雨月が読むんだ!」と思いましたし、それだけ力を入れて作ってくださっているエピソードでもあるのかな、と感じて、改めて緊張しました(笑)。
――TVシリーズのラストで3人は真冬の歌を聴いてそれぞれ変化があったと思います。映画ではどのように捉えて演じましたか?
中澤:TVシリーズの方では、春樹はバンドのお世話役で、真冬が音楽を始めるということも本当に軽い気持ちというか、“若者が音楽に興味もってくれるの嬉しいね、頑張ろうね”という感じだったと思うんです。ですが、真冬の持っていた才能であったり、彼の背景であったりが垣間見えたときに、これはもしかしたらとんでもなく恐ろしいことになるんじゃないか、と恐れおののいていたところに、秋彦がさらに火をつけて、“いやいや、どうするんだよ!大変なことになるぞ!”という事態をなんとか下から持ち上げて、最初のライブの成功まで支えていったところはあると思います。
その真冬の歌の影響を受けて、これまで抑えていた、見ないようしていた自分の気持ち、本当の望みみたいなものが湧いてきてしまい、寂しいと思うようになったり、真冬の急成長に焦ったり、コンプレックスが出てきて自分がどんどん情けなくなってきて……というのが、真冬の歌をきっかけに映画版の中で変わっていったところです。TVシリーズと変わらず振り回されているところはあるんですけど、でもその振り幅が非常に大きくなって、最終的に春樹と秋彦と雨月の恋愛の中核の部分を描いて映画になったんだなと感じます。
江口:秋彦はTVシリーズだと要領がいい感じで完璧な雰囲気をまとっているんですけど、映画版だとそれが全部壊れて、ある意味そのままの不器用な等身大の自分みたいなものを吐き出すので、上手く壊せたらと思って臨んでいました。そういった意味でもTVシリーズの歌があったからこそ、真冬の可能性や、成長などと向き合ったときに、じゃあ自分はどうなんだろう?と感じたと思いますし、自分が今まで目を向けてこなかった、決めてこなかったことに対して、向き合う瞬間になったんだろうなと思います。
浅沼:雨月は天才ヴァイオリニストで、天才だからこそ音楽以外のものにあまり目が向かなくなっていたりして、そんな中、真冬というもう1人の天才に何かシンパシーを感じる。同じ天才である2人でも、真冬はけっこう自分の思っていることをスッと言うタイプの男の子だと感じます。雨月は、割と自分が思っていることと裏腹なことを言ったり、あるいは言わなかったりだとか、同じ天才2人でも少し違うところがあるなぁと感じました。真冬の魅力は真っ直ぐさで、雨月の魅力は掴みどころがないところや、人から「ちょっと変わってるよね」と言われちゃうような部分。この2人が映画でどんな関わり方をするのかも見てほしいですね。
――高校生組がメインのTVシリーズから大人組がメインに変わった映画版では、お話の雰囲気もガラッと変わりますね。
中澤:でも僕が読んだ感想では、まぁこうなるんだろうなと思っていました。真冬の歌って誰かしら必ず影響を受けていて、そこの流れがあるので、意外な展開になったなと思ったのは、秋彦がここまでグズグズになるのか、というところくらいですかね(笑)。でも、そういうところをまだ好きだと思えたり、本当にうんざりするけどそのままにしておけないと思えたり、まったく意外なことはなかったかなと思います。
浅沼:恋愛っていろんな形があることは誰しもが当たり前にわかってると思うんですけど、高校生は失うものがなかったり、まだ人生経験が少ないからこそのストレートさだったり、後先を考えなかったりするピュアで可愛い部分がある。でも大人になればなるほどいろんなことを知って、例えば恋愛だけに限らず、努力ではどうしようもないものを知ってしまったり、あるいは壁にぶち当たってしまったり。まさに秋彦なんて雨月に出会って劣等感やコンプレックスみたいなものを知ってしまったからこそ、雨月をまっすぐに見れていないんじゃないか、と感じます。人が生きていく中で経験していくものによって、恋愛だったり成長の仕方も変わっていくと思うので、すごく真っ当というか、まっすぐな描き方だなぁと思いました。よく「大人になっちゃった」って言い方がありますが、まさにそれを描いている感じがします。だからこれは、すごくどこにでもある話なんだと思います。
江口:恋愛のテイストが変わったので、そこでどう心が動いて関わっていくかという、そのいろんな美学みたいなものも見え隠れするし、その上で、“人間て面倒くさいな”とか、“複雑だな”と思うところもあるけど、全部ひっくるめて“人間っていいな”と思わせてくれるような描写がすごく多いと思いました。
――人間的ではありますよね、本能的というか。
江口:それこそ人間だよ、と感じて、いいなと思いました。
――物語の主軸が変わったことで監督から受けたディレクションはありましたか?
中澤:僕ら3人ではないんですけど、真冬のディレクションで、「今回は映画での公開になるので、いつもよりちょっとセリフに輪郭を持たせてほしい。ふわっとしている性格は変わらないし、TVシリーズを経て自分の気持ちをちゃんと話すということに自信を持てるようになったという変化もあるけれども、少し意識してセリフに輪郭を持たせてくれるといいな」というディレクションを受けているのを見ていて、「ああ、なるほど」と思いました。それは、たぶん真冬の変化もあると思うんですけど、映画という作品としての変化もあるんだろうなと思いました。
江口拓也「浅沼さんは“天才のまとい方”がすごい」
――「ギヴン」というタイトルにちなんで、お互い才能を感じた瞬間は?
浅沼:とにかく中澤くんが包容力がある。キャラもそうですし、本当に春樹だと思うんです。きっと「困らせてみたい」って思う人が周りに寄ってきちゃうんじゃないかな(笑)。困らせたいというか、甘えたい、この人だったら温かく包んでくれるだろう感がすごいです。
中澤:あはは! ありがとうございます(笑)。
浅沼:僕はBL作品に初めて出演させていただいたので、お相手が江口くんと聞いたときに、めちゃくちゃ安心したというか。“精神的ボディガード”と言っているんですけど、「あ、なんか大丈夫だ」と思いました。
――浅沼さんの才能は?
江口:浅沼さん自体がもう才能の塊みたいな印象があって、いろいろな顔を持っていらっしゃる。その上で、やっぱり今回雨月というキャラクターを通して演じられたときの“天才のまとい方”がすごい。そういう解釈を持って挑まれるんだなって。いろんなキャラクターを「自分が演じるんだったら……」と考えますけど、もっていき方がすごい。みなさん、やっぱりその人じゃないと、という何かを持っていらっしゃるんですけど、浅沼さんは“天才のまとい方”がすごいなと思いました(笑)。
――浅沼さんの表現する天才感含め、楽しみにしています! ありがとうございました!
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『映画 ギヴン』2020年8月22日(土)公開
【イントロダクション】
高校生の上ノ山立夏は、佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶秋彦と組んでいるバンドにボーカルとして真冬を加入させる。真冬加入後初のライブを成功させ、バンド「ギヴン」の活動が始動する中、立夏は真冬への想いを自覚し、ふたりは付き合い始める。一方、春樹は長年密かに秋彦に想いを寄せていたが、秋彦は同居人のヴァイオリニスト・村田雨月との関係を続けていて・・・。スクリーンで、春樹と秋彦、雨月の恋が軋んで動き出すーー!
【STAFF】
原作:「ギヴン」キヅナツキ(新書館「シェリプラス」連載中)
監督:山口ひかる
脚本:綾奈ゆにこ
キャラクターデザイン:大沢美奈
総作画監督:永田陽菜/二宮奈那子
美術設定:綱頭瑛子
美術監督:岡本綾乃/大西達朗
色彩設計:加口大朗
撮影監督:芹澤直樹
CG 監督:水野朋也
編集:伊藤利恵
音響監督:菊田浩巳
音楽:未知瑠
アニメーションプロデューサー:比嘉勇二/秋田信人
アニメーション制作:Lerche
主題歌:センチミリメンタル「僕らだけの主題歌」
【CAST】
佐藤真冬:矢野奨吾/上ノ山立夏:内田雄馬/中山春樹:中澤まさとも/梶 秋彦:江口拓也/村田雨月:浅沼晋太郎
配給:アニプレックス
【公式サイト】given-anime.com[リンク]
(C)キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会
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