映画と舞台を完全連動させるプロジェクト【東映ムビ×ステ】の新作、映画『死神遣いの事件帖 -傀儡夜曲(くぐつやきょく)-』が6月12日より劇場公開。映画版の主演を務める鈴木拡樹さんのインタビューをお届けします。
本作は、江戸を舞台に“死神遣い”の探偵・久坂幻士郎(鈴木拡樹)が、契約している死神・十蘭(安井謙太郎)と共に舞い込む依頼を解決していく物語。そして7月・8月には、映画と連動した舞台作品『死神遣いの事件帖 -鎮魂侠曲(ちんこんきょうきょく)-』が上演されます。
自分の寿命の一部と引き換えに、死神・十蘭の不思議な能力を使い戦う“死神遣い”の探偵・久坂幻士郎を演じるのは、人気俳優の鈴木拡樹さん。
映画の見どころから共演者の安井謙太郎さん、崎山つばささんの印象、さらに今チャレンジしたいことなど、たっぷりとお話を伺いました。撮り下ろしのお写真とあわせてご覧ください!
大人の魅力を持つあのキャラクターの雰囲気に近く「自分とかけ離れている」
――今回オリジナル作品ということで、演じられる役柄について教えてください。
鈴木:久坂幻士郎(くさかげんしろう)は傀儡子(くぐつし)の家系で死神の遣い手なんですが、すごくちゃらんぽらんな男性です。全編通してちゃらんぽらんな行動をとっていて、死神の十蘭(じゅうらん)に迷惑をかけている状態なんですけど、やる時はやるタイプで、そのギャップを楽しんでもらえたらなと思います。
――物語の舞台となる江戸時代にはあまり見かけないような長髪のビジュアルですね。
鈴木:そこがまた世界観を不思議にしている気がします。
――みなさん派手ですが、特に死神の十蘭は奇抜なビジュアルです。
鈴木:そうですね。そこは安井くん本人も気にしていました。京都の撮影所だったので、現場では他の作品の撮影もされているじゃないですか。他の現場の人に会うたびに、自分だけ死神衣装でカラーコンタクトもしているし髪色も派手だし、「これ何の撮影なんだろう?」と思われながら現場を移動していた、とは言っていました(笑)。死神だけじゃなく、僕たちも派手な方でしたけどね~。なので、そういう目で見られがちでしたけど、確かに安井くんは一番そう思われるだろうな、とは思います(笑)。
――幻士郎に関して、監督から受けたディレクションはありますか?
鈴木:撮影中もそうだったんですけど、「“ルパン三世”に近いような」というオーダーをいただきました。
――それは難しそうですね……。
鈴木:難しいですね。確かに、ちゃらんぽらんな感じを持っていつつ、でも男の魅力があるようなタイプ。ちょっと普段の自分とかけ離れていると思うので、そこは難しかったです。大人の男の魅力みたいな色気もあったり、でもやっていることは適当な感じ。そこは最後の最後まで考えながらトライしていました。
――メリハリがある役ですよね。ファンの方は、鈴木さんの新たな魅力を発見できる役なのではないかなと思います。
鈴木:そうですね。伝わるといいです(笑)。
また一番不安だったのは、十蘭演じる安井くんとは初めての共演だったので、撮影現場で会うまではどういうタイプなんだろう?とドキドキしていたんですけど、撮影までお話をする時間が少しあったので、その間に喋って馴染んだ状態でスタートできました。なにせバディものなので、その時間が本当に有効に作れて良かったなと感じました。
男性から見ても色気が漂う、崎山つばさの着物姿
――初共演された安井さんの印象は?
鈴木:本当に誰に対してもフランクに話しかけて、すごくその場に馴染めるタイプなので、僕からしてみたら羨ましいな、とずっと思っていました(笑)。現場でみんなに第一声をかけてくれるのは安井くんだったりしたので。基本的に僕たち2人が現場にはほぼ常にいて、この現場への迎え入れるムードを作ったのは安井くんみたいなところはあるかもしれないですね。
――今回共闘もする庄司新之助役の崎山つばささんの印象を教えてください。
鈴木:以前にも時代劇を一緒にやったことがあって、そのときもつばさくんは着流しの衣装を着ていたんです。着物を着た瞬間になんというのか、それこそ大人の男性の色気というか、男性から見てもちょっと色っぽく見える、そういう魅力を感じてすごいなと思いますね。僕はつばさくんはどんどん着物を着る芝居に出てほしいなって思いますね(笑)。
――鈴木さんが認める着物が似合う俳優!
鈴木:着物が似合う男性は誰ですか?と聞かれたら、今はつばさくんと答えるかもしれないです。
戦闘モードのときの十蘭に注目!「僕が非常にかわいいなと思う瞬間」
――今回、殺陣もとても多いですが、苦労した部分はどんなところですか?
鈴木:事前に稽古をしていましたが合わせたのは撮影当日で、もっと苦労するかなと思ったんですけど、みなさんずっとアクションされている方ばかりだったり、(水野九郎左衛門役の)山口馬木也さんもいろいろな作品で殺陣をやってらっしゃるので不自由なく、という感じでした。山口さんがリードして引っ張ってくださって、とってもやりやすかったですね。「OKカットにしたいから、ここはグイッと来て大丈夫」とか、「この瞬間は絶対にかわすから」みたいに細かく言ってくださって、かなり信頼関係を築けてできました。
――殺陣やアクションシーンの尺がたっぷりあると感じたのですが、スムーズだったんですね。
鈴木:確かに長めだったので、合計2日間くらいかけて撮影しました。スピードもしっかり出ていて、アクションシーンはカッコよく仕上がっているんじゃないかなと思います。
――アクション監督の栗田政明さんは、『最遊記歌劇伝』や舞台『刀剣乱舞』からご一緒されていますが、今回ならではだと感じたことはありますか?
鈴木:栗田さんのアクションはいつも速い中にも道筋がしっかりあって、刀で受けて流す、だから体制が崩れる、みたいなすごく緻密な計算のもとやっているので、まるで組手でもやっているかのような感じです。今作も速い流れの中ですが、2対1とかだとわかりやすいんですけど、2人に攻められているところのギリギリ感の演出だったりとか、そういう部分は栗田さんのセンスを感じますね。今回は銃も入っていたり、栗田さんはあらゆるアクションに精通されている方なので、どんな武器を使わせても、カッコいいアクションになるなと思いました。
――舞台と映像作品での殺陣の違いや難しいと感じる部分はどんなところですか?
鈴木:刀の被りなどですかね。舞台だとお客さんが居る側だけ考えればいいんですけど、映像作品における殺陣の被せというのは、固定カメラというわけではないので、カメラ自体も動いていることをしっかり把握していなければならないとすごく感じますね。なので、ドライの時点で自分の動きの確認だけではなく、カメラがどういう風に回り込んで撮っているかをしっかり把握して動かなければいけないなと思います。
――今作での鈴木さんの殺陣の見どころは?
鈴木:いつもより、戦っているだけで疲弊していくという設定は、僕は初めて表現したかなと思います。十蘭を刀に変化させるために自分の寿命を支払うことによって、疲弊した状態で戦い続けているところは特徴的だと思います。
――疲れていっている中での必死感も見どころですね! 映画全体で好きなシーンや印象的だったシーンはどこですか?
鈴木:この作品自体がジャンルでいうと難しいんですけど、時代劇であったり、特撮であったりといろんな要素があるんですが、サスペンスの部分もあることがとても面白いなと思っていて。探偵としてはポンコツな幻士郎なんですけど、それでも一生懸命に謎解きをしている瞬間というのは楽しんでほしいなと思いますし、僕も大好きなシーンですね。
――では、1回観ただけでは気付かないようなポイントを教えてください。
鈴木:僕が非常にかわいいなと思う瞬間なんですけど、十蘭人形が長刀に変化して戦うモードになると、幻士郎の懐の中に潜り込んで、しっぽしか見えていないんです。戦いモードのときは危ないので懐に入るんです(笑)。そういうかわいいところがあるのを観てほしいです。
――それは気付きませんでした!
鈴木:真面目な顔をして戦っていますけど、ちょこっと見えている十蘭のしっぽがとってもかわいいので、ぜひ注目してください。ちなみに、そのときはアクション用と言われる、通常の人形より柔らかい材質で作られた十蘭の人形を懐に入れているんですが、それは柴﨑監督が作りました。
――え!!監督すごく器用ですね。
鈴木:監督お手製です(笑)。「似た感じで作れないかな?」と言ってご自身で作られたらしく。監督もすごく気に入っていました。
今は少女漫画を読みたい!?
――6月4日に35歳のお誕生日を迎えられましたが、34歳のうちにできてよかったことはどのようなことでしょうか?
鈴木:お仕事で作品の立ち上げにとても多く関わらせていただけたことが嬉しいですね。近年では特にシリーズものとして第1弾から携わらせていただくことなども多くなって、作品のことをとても考えるようになりましたし、そういう機会を与えてくれたことは嬉しいなと思います。
――作品にメインキャストとして入られることも多いと思いますが、メインで入るときに心がけていることはありますか?
鈴木:原点で言うと、演劇が楽しいと思ってスタートしたのが原点で、その“楽しい”を届けられたらな、というのを常に考えています。楽しいだけじゃない作品もたくさんありますけど、その中でも観終わったあとに「楽しい時間だったな」と思ってもらえるものを目指して、常に頑張っていますね。
――メインで入る作品が増えて、自分の中で変化してきたことはありますか?
鈴木:最初ってあまり深く考えてなかった気がするんです。参加して、とりあえずこの作品を自分でしっかり楽しんで、みなさんに楽しんでもらおう、という感じだったんですけど、続けていくためには次のことも考えなきゃいけないんだな、ということを感じさせられましたね。第2弾などが難しかったりすることも知ったりして、“興味を持ち続けてもらうということの難しさ”を痛感しました。そこからは、“次に向けて”ということをすごく考えるようになりました。
――では、35歳を迎えての抱負をお聞かせください。
鈴木:なんだか本当に30歳を過ぎてから早いんだな、って感じがすごくします(笑)。気付いたらもう35歳だったので。でもそれだけ、自分の年齢を忘れるくらい、いろいろなことをやらせてもらっていたんだなと思いますね。5年後には40歳という自分の中ではまた未知の世界になるわけですけど、きっとすぐになっているんだろうな、と思うんです。でも、そういう感覚になってくれたら嬉しいなと。やることや考えることがたくさんあって、気付いたら歳を重ねていた、という状況になるくらい、いろいろなものに携わっていきたいなと思いますね。
――今、チャレンジしたい事はありますか?
鈴木:とりあえず、40巻以上出ている漫画を一気に読む。普段だとなかなかかなわないので。90年代とか、年代別に読んでみたいなと思いますね。
――どんなジャンルの作品が好きなんですか?
鈴木:ジャンルはあまりこだわっていないんですけど、「ジャンプ」「マガジン」「サンデー」とか少年誌の作品はけっこう読んだりするので、逆に少女漫画系にチャレンジしてみたいなと思います。お姉ちゃんがいるので昔は読んでいたんですよ(笑)。
――そうなんですね! 少女漫画で心に残っている作品はありますか?
鈴木:『マーマレード・ボーイ』とかは読みましたね。その年代くらいの少女漫画しか知らなくて、最近の作品は知らないので何か読んでみたいです。みなさんのオススメを教えてほしいです。
――では、最後に映画を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
鈴木:公開は少し延びてしまいましたが、とても楽しい作品を届けられるように、みんなで一生懸命作りました。本当に不思議な作品になっています。ジャンルは……わからないです(笑)、いろいろなものが足されています。そんなワクワクする作品をまずは映画館で観ていただけたらな、と思います。そして、この作品の見どころはやっぱり舞台に繋がるというところなので、舞台の方にも足を運んでください。よろしくお願いします。
――ありがとうございました!
みなさん、ぜひ鈴木さんにオススメの少女漫画を教えてあげてください!
[撮影:周二郎]
映画『死神遣いの事件帖 -傀儡夜曲-』は劇場公開中。舞台『死神遣いの事件帖 -鎮魂侠曲-』は7月23日より上演予定です。
※映画版と舞台版キャストは異なるのでご注意ください。
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映画『死神遣いの事件帖 -傀儡夜曲-』
【あらすじ】
三代将軍・家光の時代。江戸に、“死神遣い”の探偵・久坂幻士郎という男がいた。幻士郎は、十蘭という“死神”と契約しており、自分の寿命の一部と引き換えに、不思議な能力を使うことができるのだ。そんな幻士郎と十蘭のもとに、ある女の行方を捜してほしいという依頼が舞い込んだ。手掛かりは「右目の端に黒子(ほくろ)」「桐紋の短剣」のみ。破格の手付金を受け取り、気を良くした幻士郎は早速、調査を開始。
そんな折、吉原遊郭の惣名主・庄司甚右衛門は頭を抱えていた。大門が閉まれば出入り不可能な吉原で、真夜中、遊女が大門の外に連れ出され、次々に殺されていたのだ。
幻士郎が追う「黒子の女」と「遊女連続殺人」の関係は? 吉原遊廓の惣名主を父にもつ侠客の新之助や、その姉・お藤も巻き込んで、やがて明らかになる、驚きの真相!
三枚目ヒーロー・幻士郎! 命を賭して、何守る?! いざ、今日も三途で鬼退治!【映画 2020年 6月12日 (金) 公開】
出演:
鈴木拡樹
安井謙太郎 崎山つばさ / 鈴木絢音(乃木坂46)
押田 岳 松浦 司 松本寛也 北川尚弥
高田里穂 田邉幸太郎 萩野 崇 陳内 将
山口馬木也 堀内正美 高田聖子
脚本:須藤泰司 監督:柴﨑貴行【舞台 2020年 7・8月 上演】
出演:
崎山つばさ 安井謙太郎
陳内 将 松浦 司 松本寛也 北川尚弥
櫻井圭登 エリザベス・マリー 田邉幸太郎
輝馬 谷口賢志 / 山崎銀之丞
原案:須藤泰司 脚本・演出:毛利亘宏(少年社中)公式HP shinitsuka.com[リンク]
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