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シリーズ・細かすぎる刑務所の話:「仮釈放前」ってどんな感じで何をするの?



どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。


堀江貴文さんの著書『刑務所なう』や『刑務所わず』、『刑務所にいたけど何か質問ある?』は裏社会ライターとしても非常に面白く読ませていただきました。


筆者は職業柄、刑務所に入った経験のある人に何度か取材をさせてもらった経験はあるのですが、正直なところ、詳しい部分は原稿の文字数の関係で割愛してしまうことが多々あります。ですから、刑務所関連のレポートでは、刑務所メシや人間関係、刑務作業の話などの比重がおのずと高くなってしまうのです。


そこで、この《シリーズ刑務所》では、「あまり語られることがない刑務所の詳細」を綴っていきたいと思います。



第1回目となる今回は、「仮釈放前」の流れについて! では、解説していきましょう。


仮釈放の条件とは?


刑期の満期を迎えずに出所することを、仮釈放といいます。仮釈放を叶えるためには様々な条件があり、凶悪犯罪を起こしてはいない初犯者は比較的簡単に叶い、再犯者は難しいと言われているそうです。


<主な条件>

1.身元引き受人がちゃんといる……主な身元引受人は身内や家族など。引受人がいないときは、保護会(更生保護施設)が引受人になってくれる場合もある

2.受刑態度が良い……懲罰などの処分を受けてはおらず、受刑態度は良い場合は仮釈放になる可能性が多い。もし受けている場合は短縮されて認められることもある

3.仮釈に被害者が同意……殺人、過失致死、性犯罪など重犯罪では被害者の同意が必要

4.刑期の3/1を経過……法律としては刑期の3/1と決まっているが、実際は仮釈放の審査を開始して、初犯者の仮釈放なら刑期の4/1から3/1程度しか認めてもらえない

5.起こした事件に反省がみられる……仮面接と本面接で反省の度合いを観察される

6.再犯の恐れがない……初犯者で反省しているとみなされた場合、再犯の恐れがないと理解される

7.受刑者自身が仮釈放を望んでいる……本人の希望は仮面接のときに聞かれる



ちなみに、保護会が身元引受人の代わりをしてくれる制度は、6ヵ月間が限度です。その間に長く就ける仕事を探し、貯金をして自分が住む部屋を借りる、入寮する、知人の家に住むなど決めないといけません。


所持金は保護会にしっかりと管理されますが、部屋代や食事代などは一切かかりません。しかし、外出では部屋のカギを預ける、外泊NG、門限が午後10時、飲酒禁止、麻薬依存症の元受刑者には任意の尿検査、スケジュール管理されるなど、ある程度厳しい規則があります。


仮釈放への道のり


刑期の3/1が経過した後の翌月に、仮釈放の審査(パロール)がはじまります。まず初めに、事件を起こしたことに対する反省の度合いや身元引受人(予定)の連絡先など、指導票として提出します。



受刑者の申告に従い、保護観察所より保護司に連絡が入り、身元引受人に対する意思確認と引受人として一定の条件を満たしているかどうかの面談に出向くのです。


身元引受人の要件としては、社会に出てきた受刑者を監督・指導する意思があるのか、仮釈放後の生活を看るための経済力があるか、引受人自身の健康に問題はないか、居住する住居は確保されているか、といった点について調査・判断されます。身元引受人にまったく問題がなければ、本格的に仮釈放の審査に入り、確定します。



仮釈放審査以前に懲罰などの処分を受けていても影響はあまりないのですが、審査期間のあいだに懲罰などを受けると仮釈放は、半年~8ヵ月ほど遅れるといいます。特に、面接後に問題を起こすと、最大で10ヶ月間仮釈が遅れるようです。懲罰を受けてしまうと、すべての審査が取り消しになり、懲罰が終了してから3ヵ月間は、仮釈放の申請手続きですらできません。



順調に審査が進めば、仮釈放が予定される6ヵ月ほど前に仮面接を実施。その後、3ヵ月~4ヵ月後に本面接が実施され、問題がなければそれから2ヵ月~3ヵ月後に仮釈放というのが、一般的な流れです。


仮面接とは?


ステップ1の仮面接では、初めに仮釈放の処遇を受けたいのかどうかを確認されることからはじまります。仮釈放を受けたくない場合はその場で面接は終了、受けたいというのであれば、指導票に基づきながら面接官から質問されていきます。


受刑者がいい加減な指導票を書いていると仮面接での受け答えに食い違いがでるので、面接官の口調も厳しいものになります。叱責されたりした場合は、面接を中断されることすらあるので、しっかりと書かなければならないそう。しかし、指導票はかなり前の段階で受刑者本人が書くものなので、その時点で書き記した内容をノートなどに写しておく、というのが受刑者の中では脈々と受け継がれているそうです。



仮面接でも本面接でもそうですが、面接官はわざと受刑者を怒らせるように挑発的な言葉遣いをしてくることもあります。このとき、挑発に乗って、感情的になってしまうと仮釈放は認められません。


プライドが傷ついたとしても、仮釈放という処遇を勝ち取るために割り切り、歯を食いしばって辛抱することを心掛けなければいけません。判決を真摯に受け止め、深い反省の意を伝え、「自分は絶対に再犯しない!」という決意と態度を見せなければ、仮釈放は認められません。



面接官からの質問の内容は、自分が起こした事件への想い、被害者への賠償、出所した後の仕事のこと、共犯者がいる場合はその人物との決別などに及びます。


本面接とは?


一応、念には念を入れて、しっかりと受刑者の人格を見極めるために本面接と仮面接は違う面接官が行います。どちらもその刑務所があるエリアの更生保護委員会に属する面接官が担当するそうです。


ステップ2の本面接もまた、内容的に克明にそのときの様子がメモされた仮面接での受け答えとの食い違いをみられるとのこと。わずかなミスも許されない、緊迫感のある現場なんですね。


そして、本面接で仮釈放の許可が出れば、社会復帰のために髪を伸ばせるようになります。そののちに処遇本部に呼び出しがあり、晴れて仮釈放の日程が決定となります。特に問題を起こさなければ、いよいよシャバに解放されるわけです。



いやはや、簡単に仮釈放と言っても、一筋縄ではいかないことがわかっていただけたでしょうか?


次回も、あまり知られていない刑務所の真実をお伝えしたいと思います。


(C)写真AC


(執筆者: 丸野裕行)


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