2020年4月1日より全面施行される改正健康増進法により、飲食店やオフィスなど多くの場所が原則屋内禁煙となる。この喫煙環境の大きな変化を好機と見ているのが、加熱式たばこ「IQOS」を展開するフィリップ モリス ジャパン(PMJ)だ。
4月の法改正を前に、同社のマーケティング&コミュニケーションズ・マネジャーの長谷川靖氏に2020年上半期の事業戦略を聞いた。
健康増進法の改正で喫煙環境はどうなる?
2014年11月に世界に先駆けて名古屋とミラノで発売、その後、日本では2015年9月に全国展開を開始し、現在は全世界のユーザー数が1400万人を突破した「IQOS」。2019年9月には2本連続で吸えて充電時間が半分に短縮された「IQOS 3 DUO」を国内展開し、常にユーザーのニーズに応えてきた。
「煙のない社会」実現に向けて紙巻たばこから加熱式たばこへの切り替えを推進してきたPMJは、このたびの改正健康増進法の全面施行で、国内の喫煙環境は「新時代に突入する」ととらえている。
4月からは多くの施設において屋内が原則禁煙となり、喫煙するには喫煙室の設置が必須に。小規模店(資本金5000万以下、客席面積100㎡以下)やバーを除く一般の飲食店においては、喫煙専用室での飲食が禁止となる。都道府県や市区町村が独自の喫煙ルールを定めている場合もあり、東京都条例(2020年4月1日施行)では従業員を雇っている飲食店が原則禁煙とさらに厳しい。
しかし、改正健康増進法、東京都条例ともに、経過措置として、加熱式たばこ専用室を設けていれば加熱式たばこと共に飲食を楽しむことが可能だ。
「今回の法改正は望まない受動喫煙を防ぐために厚生労働省が定めたものです。我々は加熱式たばこに関する経過措置を好機ととらえて、全面施行のタイミングで適切な戦略を実行するために準備してきました」。
PMJは健康増進法の改正を見据えて1年ほど前からカフェを中心に喫煙環境の整備を推進してきた。ドトールコーヒーショップ、プロント、上島珈琲店、カフェ・ド・クリエ、エクセルシオールカフェなどの一部店舗で、加熱式たばこ専用室の導入をサポート。4月以降もさらなる環境整備を支援していくという。
「もともと禁煙ルームとして分かれていた部屋を加熱式たばこ専用室に作り替えるサポートなどの、主にコンサルティングのお手伝いをしています。厚生労働省が定める国の法律に加えて、地方自治体によって条例が異なるので、既存店に対して適切なアプローチを一緒に考えています。また、一部のチェーンかつ一部の店舗については、PMJからスタッフを派遣し、IQOSのサンプリングやクリーニングサービスなどを提供しています。加熱式たばこのメリットを分かりやすく実感いただける貴重な機会だと思いますし、実際に食事の場でたばこの煙のニオイがつかない加熱式たばこのみ利用できる(紙巻たばこは利用できない)専用室はIQOSユーザーにとってもありがたい、というお声をいただいています。千葉ロッテマリーンズの本拠地であるZOZOマリンスタジアムや、サマーソニックなどのイベントでも煙のない社会に賛同いただいた実績があるので、カフェに限らず飲食を伴わないような施設についても環境サポートを続けていきたいと考えています」。
加熱式たばこへの切り替えを促進
PMJが成人紙巻たばこ喫煙者(n=313)を対象に意識調査をおこなったところ、およそ7割が法改正後も喫煙を継続するとの結果が。
「禁煙の意向がある人に加熱式たばこを勧めることは決してありません。喫煙継続の意向がある7割の人たちに、加熱式たばこへ切り替えていただく後押しをしたい、というのが我々の思いです」。
同調査では、加熱式たばこに切り替えるうえで重要なポイントとして「自分のスタイルに合うこと(53%が回答)」「自分の好みの味わいがあること(83%が回答)」「手の届く価格帯であること(74%が回答)」が重要だと分かったという。
そこで、それぞれのニーズに応えるべく、デバイスと専用たばこスティックのラインアップを拡充。
「IQOS 3 DUO」の春限定カラーモデル(2種類)を3月17日より順次発売。また、「IQOS 3 DUO」には同日より新色「ルーシッドティール」が仲間入りした。
「春限定カラーモデルはウルトラヴァイオレットとアクアマリンの2種類を展開しています。新色のルーシッドティールをベースに、ドア部分は見る角度によって微妙に色合いが異なる春らしさを表現したモデルです。また、パッケージはグラフィックアーティストの牧かほりさんとのコラボレーションから生まれた特別デザインを採用しています」。
専用たばこスティックにはフレーバー系メンソール銘柄3種類を追加。「ヒーツ」ブランド初のフレーバー系メンソール「ヒーツ・シトラス・グリーン」「ヒーツ・フレッシュ・パープル」が3月9日より、「マールボロ」ブランド4種目のフレーバーとして「マールボロ・ヒートスティック・ブライト・メンソール」が3月16日より発売された。
「加熱式たばこのマーケットにおけるフレーバー系メンソールのシェアは非常に伸びています。特にマールボロ・ヒートスティックはフレーバー系たばこ市場全体で58%のシェアを占めており、さらに違うフレーバーを投入することで、ぴったりの味わいを見つけていただければと思っています」。
さらに、「IQOS」切り替えの後押しとして、新色と春限定カラーモデルを除く「IQOS 3 DUO」が3000円引きで購入できる春の新プログラムを4月5日まで実施中(全国の主要コンビニストア及びスーパーマーケットや鉄道を含む一部のたばこ取扱店は3月23日から開始)。2台目以降は最大40%割引で購入できる会員向けステージプログラムも開始している。従来の14日間無料レンタルや月々の定額プランと合わせて、購入のハードルを下げる。
「我々のビジョンは、一人でも多くの成人喫煙者に紙巻たばこから加熱式たばこに切り替えていただくことです。自分らしさを表現できるガジェットとして携帯したくなること、嗜好品として好みのフレーバーの選択肢が広がることは、IQOSユーザーにとって重要な価値を担います。そのため、新製品や新サービスを常に開発し、定期的に新しいニュースを提供しながら適切なコミュニケーションを続けていきます」。
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