映画関係者・著名人の皆さんに、ホラー映画のオールタイムベスト3作品を選んでいただく、「ホラー通信」恒例企画です。
今回は最新作『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』が公開中のファティ・アキン監督にお伺いしました。ホラー映画愛に溢れるアキン監督、ベスト3ではおさまりきらず4作品選出いただき、ベスト4と相成りました。
人生のホラー映画ベスト4 ファティ・アキン 編
・『ヘンリー』(1986) 監督:ジョン・マクノートン
・『鮮血と絶叫のメロディ/引き裂かれた夜』(1983) 監督:ジェラルド・カーゲル
・『姦婦の生き埋葬(早すぎた埋葬)』(1963) 監督:ロジャー・コーマン
・『血ぬられた墓標』(1960) 監督:マリオ・バーヴァ
<コメント>
ベスト3を選ぶなら、『ヘンリー』と『鮮血と絶叫のメロディ/引き裂かれた夜』、『姦婦の生き埋葬』かな。あ、4つ目も選んでもいい?(笑) マリオ・バーヴァの『血ぬられた墓標』ですね。どれも10代のころに観た映画で、心がザワザワする映画です。すごく怖い思いをしたし、どれも共通してビジュアルが素晴らしく、ある種のリアリズムを持っている作品だと思います。
『ヘンリー』は主演のマイケル・ルーカーの演技が素晴らしかったし、ラストシーンの哀しさも印象的でした。『鮮血と絶叫のメロディ/引き裂かれた夜』に関しては「どうやって撮影したんだ!?」と思うくらい観てて心が乱される。ゴシックメタルなムードもすごくいいし、ヒッチコックっぽいところもあるように感じます。僕の『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』はこの2作品に似ていると言ってもらえるのが褒め言葉なんです。
『姦婦の生き埋葬』はエドガー・アラン・ポーの原作をロジャー・コーマンが映画化したもので、素晴らしいアイデアの詰まった作品。ひとつの絵画のようにすべての部分のピースがぴったりはまっている。映画作りにおいてもすごい作品だったと思うし、ヴィンセント・プライスがスケジュールが合わなくて出演できずに、代わりにレイ・ミランドが出演しているんだけど、それがかえってよかったんじゃないかとも思います。コーマンの中でも際立って好きな作品です。この映画のヘザー・エンジェルは映画史上最高のエロティックなファム・ファタルですね!
『血ぬられた墓標』はテレビでやっていて、怖くて怖くて観てられないけどつい観ちゃう、という感じでした。とはいえ、実は子供の頃は怖くて最後まで観られなくて、結末を知らなかったんです。20年後くらいかな、大人になってDVDを観て、ようやく結末を知りました。この映画のバーバラ・スティールが『姦婦の生き埋葬』のヘザーと同じくらいエロティシズムと危険な匂いを放っていて、彼女もまた素晴らしかったんですよね。
『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
http://www.bitters.co.jp/yaneura/[リンク]
―― 面白い未来、探求メディア 『ガジェット通信(GetNews)』