世界累計観客動員数8100万人、日本公演通算1万回を記録するなど、世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔「キャッツ」の実写映画が公開中です。『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー監督、ミュージカル界の巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーが制作陣に名を連ね、2020年上半期の注目作として、映画『キャッツ』がココ日本ではヒットしている模様です。
トム・フーパー監督の最終59億円記録した大ヒット映画『レ・ミゼラブル』(12)の初日興収対比111.5%という数字とともに、公開初週の週末映画ランキングで堂々1位の大ヒットスタート。過去のミュージカル作品よりも日本語吹替え版が大好評で、先日の来日イベントでトム・フーパー監督が“力作です!”と日本語でコメントしたほど。そのトム・フーパー監督、そして主演のフランチェスカ・ヘイワードに来日インタビューしました。
■公式サイト:https://cats-movie.jp/
●本作はブロードウェイ版「キャッツ」に忠実な部分と、映画オリジナルの部分が混在していますが、その差は意識しましたか?
トム・フーパー:僕は8歳の頃に舞台を観て衝撃を受けて、本当に大好きな作品なんです。ただ、舞台をそのまま映画にすると<人間である観客に向けて猫役の演者たちが歌い踊りながらストーリーを語る>という部分が、<延々にカメラの前で猫たちが踊る>というものになってしまう。ですので、ジェリクルキャッツたちの暮らす世界に新しくやってくるキャラクターがいたらよいのではないかと思い、ヴィクトリアにその役目を担ってもらいました。その日が特別な夜だということも、彼らのルールも知らない新参者のキャラクターをメインにすれば、観客もヴィクトリアと同じ視点でキャッツの世界に自然に入り込めると思ったんです。
●何が起こっているんだろう?どういう世界なんだろう?とヴィクトリアと同じスピードで理解していく。そういうお話になっていますよね。
トム・フーパー:舞台版は本当に素晴らしいのですが、いろいろな物語が深く埋もれてしまっているので、少し分かりづらい部分もあるなと思っていたんです。ですから、映画化版ではストーリーを明確にする必要があると考えて、初めて観る方でもきちんと理解できるように意識しました。たとえば“はるかなる天上の世界に行く選ばれし者”になるためにジェリクルキャッツたちは歌を歌って競い合いますが、映画ではそこをハッキリ描いています。
●その歌に関しては、フランチェスカさんにとっては今回、大きなチャレンジでしたよね?
フランチェスカ:そうですね、ただでさえプロの歌手ではないわたしが、ジェニファー・ハドソンさんたち素晴らしい歌声の持ち主と一緒に映画で歌声を披露するなんて……という感じでした。歌の収録でも、モニターの後ろにはトム・フーパー監督、アンドリュー・ロイド=ウェバーさんと、テイラー・スウィフトさんもいて。そういう状況で生歌を披露しなければいけなかったので、すごく緊張しました。でも、テイラーさんは仮歌を歌ったあとに「うまく歌えたかしら」って、わたしに聞いてくれて。とても貴重な経験になりました。
●今回の作品、改めて猫たちの社会は人間の社会を反映していますよね。
トム・フーパー:人間であれ猫であれ、コミュニティーに属することでより強くなり、分断した途端に弱くなってしまうと思うんですね。その結果、グリザベラのように堕ちた者、忘れ去られた者、部外者などは社会の片隅に追いやられてしまう。映画では、無垢な主人公ヴィクトリアが、猫たちの偏見を再考するように物語を導いていきます。そういう部分を子どもから大人まで、映画を楽しみながら考えていただきたいです。
■ストーリー
扉の向こうには、 なにが待っているの―?
満月が輝く夜。若く臆病な白猫ヴィクトリアが迷い込んだのはロンドンの片隅のゴミ捨て場。
そこで出会ったのは個性豊かな“ジェリクルキャッツ”たち。ぐうたらな猫、 ワイルドな猫、お金持ちでグルメな猫、勇敢な兄貴肌の猫、不思議な力を持つ長老猫…さまざまな出会いの中でヴィクトリアも自分らしい生き方を見つけていく。
そして今宵は新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜。
一生に一度、 一夜だけの特別な舞踏会の幕が開く。
映画『キャッツ』は、公開中
(執筆者: ときたたかし)
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