高級なビンテージ(アンティーク)時計は、絶対に“値崩れがない”のが、すごく大切なことです。
趣味の時計であれば、定期的にオーバーホールしてずっと愛用し続ければいいのですが、投資の意味で時計を買う場合にはそうはいきません。
最近では稀少なビンテージ時計を投資目的で買う人も増え、どの時計が価格高騰するのかを予想したり、情報収集したりすることを楽しんでいます。大枚をはたいて買い付けたのに、買い取り価格が二束三文になってしまっては、どうしようもないですよね。
かくいう私も大の時計好きで数本保有しているのですが、ビンテージは現行品よりも枯れ感や味があって、すごく魅力的です。
ビンテージロレックスやパテックフィリップといった資産価値の高い時計を数本持っていれば、時期を見極めて手放すことによって、儲けが出ます。
このオトナの投資シリーズでは、ビンテージ時計の楽しみ方やあまりメジャーではない時計の紹介、これから価格高騰しそうなモデルなどを紹介していきたいと思います。
まずは、ビンテージウォッチを愉しむ
今回はロレックスマニアであり、副業兼趣味でビンテージロレックスの投資ビジネスを行っている神戸製薬株式会社代表の吉田斉彬(なりあきら)さんにお話をお聞きしました。
<写真:吉田斉彬代表>
丸野(以下、丸)「僕はロレックスが一番とか、カルティエが一番とか、もう初めから決めて時計を購入していたんですが、最近ではSEIKOやシチズンなどの国産ブランドやオメガ、フランクミュラーなんかにも興味が出てきて、結局時計自体が好きなんだという結論になりました」
吉田さん「そんなものですよ、時計好きっていうのは。ここには、ビンテージのジャケモナ(JACQUES MONNAT Chronograph 1970s)、カルティエタンクアメリカン、ティファニーを用意しました。あとは、年代物のロレックスを数本持ってきました。このジャケモナは今ではもうデッドストックですね。手巻きのバルジュー7736を搭載したムーブメントは、今高騰しているロレックスデイトナの手巻きモデルの中と同じムーブメントです。すごくコンディションがいいんですよ」
<写真:左からジャケモナ、カルティエタンクアメリカン、ティファニー>
丸「このティファニーも変わってますね」
吉田さん「これ渋いですよ、ジュエリーウォッチばかりのティファニー社がロレックスを意識して作ったといわれているモデルですね」
丸「そうなんですか」
<写真:どちらもデイトジャストで、左がバックリー>
吉田さん「こっちのビンテージロレックスは、ローマ数字に最近ハマって買い付けたんですが、“バックリー”と呼ばれているモデルです。普通のデイトジャストよりも高値で売り買いされています。この当時のローマ数字は文字盤にプリントしてあるので、やはり稀少になります。それと、エンジンターンドベゼルが付いたデイトジャストで60年代に作られたデベソのジュビリーブレスが付いてますね。丸野さんのロレックスプレシジョンにも付いてますよね」
丸「吉田さんに用意してもらったブレスで、いやぁ枯れてますね。このおじさん臭さがいいんですよね」
<写真:ロレックスのエンブレムが飛び出しているから通称・デベソ>
吉田さん「ブレスは、夏場はステンレスにしたり、ちょっと涼しくなれば革にしたり、色を愉しんだりと遊べるんですよね」
丸「この文字盤はなんですか?」
吉田さん「これも稀少な文字盤で、バックリーの黒文字盤というのはなかなかなくて、白針とセットで購入しました。白文字盤に飽きてきたら、こちらに交換です」
丸「本当に、時計キチですね(笑)」
<写真:珍しい黒文字盤>
吉田さん「本当に(笑)」
ロレックス、値上がりの傾向
丸「ビンテージロレックスで、2020年にこれから注目すべきモデルは何になると思われますか?」
吉田さん「そうですね、難しいところですね。2019年に、円高の影響や価格高騰によって在庫が増え、急激に価格が高騰した反動もあり、価格高騰がストップしたあとに若干下落してしまったので、まぁスポーツモデルが青天井で値上がりしすぎたからなんでしょうが……」
丸「そうなんですか」
吉田さん「しかし、ロレックスというのは、非常に買取率と再販価値が高いです。ロレックスは長く使用するために高度な技術力で作られているので、中古品でも実用性があります。これが、値崩れしない大きな要因です。生産終了モデルや型落ちモデルの多くが高額に取引されているんですが、今はやはりスポーツモデルは根強い人気はありますね。下がっているといえば、大量に売り買いされたサブマリーナですかね。本数が多いので、赤サブやシードゥエラー、生産年数が6年と短かったRef.16800などの5ケタの稀少モデルじゃないと高価買取には至りません」
丸「僕もRef.16800の5ケタモデルは持っていたんですが、売っちゃいましたが……。エクスプローラーⅠ以外あまりスポーツモデルは好きではありません。ビジネスシーンにもよく似合うスタンダードモデルは値上がりしないんでしょうか?」
<写真:筆者が保有している時計の一部>
吉田さん「今買うべきは、さっきもお話したドレスウォッチの代名詞であるデイトジャストですね。高値相場で安定していて、むしろ少しずつ値上がりしているモデルがあります。今はまだ買いやすいモデルなので、今のうちに買っておくと、数年で高騰すると思っています。70万円前後で買えるモデルもありますから。ビンテージモデルであれば、50万~60万円で買えるものもあります私見ですが、スポーツモデルは、オーバーホールするときに研磨すると価値が下るんですが、ディトジャストやデイデイトのヴィンテージドレッシーモデルは、マニアがどう言おうと日本ロレックスでのオーバーホールでピカピカに磨きをかけた方が美しさがアップします」
丸「ほほう」
吉田さん「デイトジャストの基本的な区分けは、“サイズ”“デザインコード(エレガンスもしくはスポーティー)”“素材”で、さらに文字盤やインデックスなどの仕様で分かれてきます。でも、今でいえば、コンビモデルよりもシンプルを極めたビンテージのステンレスモデルの相場が上昇していて注目です」
<写真:このようなモデルが値上がりする可能性が高い>
今回のまとめ
2019年に一旦下落傾向を見せたロレックス市場ですが、それはスポーツモデルだけの話だったようです。今注目すべきは、ビンテージのスタンダードモデル。スポーツモデルのように、まだ超高額で取引されているわけではないので、資産として1本購入しておいた方がよさそうです。
では、具体的にどのモデルなら、価格高騰を狙えるのか……は、次の機会に解説していきたいと思います。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)
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