OTA(Online Travel Agancy)として世界220以上の国と地域に展開し、2900万件以上の宿泊施設のリスティングを誇る「Booking.com」。日本国内でも100万件近くの宿泊施設がリスティングされ、規模を拡大しています。同社はオランダ・アムステルダムの本社に日本のメディアを招いたプレスツアーを実施。Booking.comのサービスや技術、今後の展開についてプレゼンテーションを行いました。
Booking.com本社は、もともと銀行だったビルを改装してオフィスにしたもの。アムステルダム本社だけでも、100か国以上から集まった社員が働いているそうです。全世界の従業員の50%以上は女性で、多様性と多文化を重視。
歴史ある重厚な建物の内部はカラフルでモダンにデザインされ、様々な人種の人たちが働いていました。
プレスツアーで訪問したhttps://t.co/LufBdOwDydのアムステルダム本社、こんなところでした! pic.twitter.com/lrgjFy0YSn
—宮原俊介@getnews.jp (@shnskm) November 8, 2019
宿泊だけでなく文化を体験できる旅に
2019年にはラグビーワールドカップで海外から多くの観光客が訪れ、翌2020年にはオリンピックの開催を控える日本。同社CEOのグレン・フォーゲル氏は「日本は重要な市場」と語り、日本への訪問者にはスポーツイベントだけでなく、日本の自然の美しさや文化を体験してほしいと語ります。中でも力を入れているのが、海外からの来訪者にはユニークな“旅館”への宿泊。
従来は食事付きの旅館への宿泊で食事の内容が選べなかったものを、現在は内容を選べるように改善しています。これは旅館に初めて泊まるユーザーにもリピーターにも有益な機能ですが、ユーザーのためにベストなサービスを提供できていないことをユーザーから学んだ事例とのこと。
日本国内では、旅館の他にも宿坊や町屋などのユニークな宿泊施設への宿泊、観光スポットやアクティビティの予約、交通手段の予約が可能になっています。ホテルの予約だけでなく、モバイルを使って旅行先で交通手段やアクティビティなどを手配して旅をすることを同社は「コネクテッド・トリップ」と呼び、実現に向けた整備を進めているほか、ユーザーが求めるユニークな宿泊体験を提供する取り組みも進めています。
旅の計画から現地の行動までシームレスにつながるコネクテッド・トリップ
グローバル・エクスペリエンス部門バイスプレジデントのラム・パパトラ氏は、旅行の計画を立てる一連の手順を図示します。まず、どこに行くか旅を思い描き、行先を決めたらフライトとホテルを予約。Booking.comでは、ヨーロッパ7か国の航空券予約が可能になっています。空港からホテルまでの交通手段を予約したり、ホテルの近くのコンサートを予約しておき、目的地に到着。創業から約20年、同社はこの領域にフォーカスしてきたと説明します。
今後20年は、目的地に到着した後の過程にフォーカスし、現地での交通手段やコンサート、イベントすべてを把握して予約・計画が可能にするとします。このように、最初の計画から現地での行動までシームレスな体験ができるというコンセプトが“コネクテッド・トリップ”。
たとえば、これまで可能だった現地でのレンタカー予約に加えて、同社は日本でも展開するタクシー配車サービスの「DiDi」、東南アジアで大きなシェアを持つ配車アプリ「Grab」との提携を発表。旅行先でもBooking.comのアプリからそのままDiDiやGrabの配車サービスを利用可能にする予定です。
グルメについても、メニューを他国語に翻訳したり、予約可否を確認できるなどサービスを充実していく方針。
サイトではAIと機械学習を利用してユーザーに関連性が高く、高需要の情報を表示していると説明。たとえば、フランスからイギリスへ旅行する場合、空路を選ぶユーザーと鉄道を利用するユーザーで行動は異なり、それぞれに何をレコメンドすればよいかが分かるとのこと。
現地のアクティビティ“旅ナカ体験”は、43言語に対応し、150以上の旅行先で利用可能。こうしたアトラクション提供者はデジタル化していないケースが多く、空席確認、ダブルブッキングの回避、キャンセル処理が難しいという課題があるものの、ツールやサポートの提供で支援していくとのこと。
筆者はアムステルダム滞在中、Booking.comで予約した“猫の博物館”を訪問してみましたが、メールで発行されたQRコードを受付でスキャンしてもらうだけでスムーズに入場できました。
ユニークな宿泊体験へのニーズに対応
ホームズ&アパートメンツ部門グローバル・ヘッドのエリック・バーガグリア氏は、グローバルの調査で「これまでに滞在したことのない種類の宿泊施設に泊まる計画がある」という回答が43%あり、新しい宿泊体験の需要が高まっていると説明します。旅費を抑えるために中心部から離れた場所に宿泊したり、現地で生活しているようなユニークでローカルな宿泊体験ができる別荘、アパートメントといった宿泊施設に泊まることもトレンドに。
別荘、アパートメントなど非従来型の宿泊施設は全世界で600万件以上のリスティングがあり、ユーザーの40%が、過去12か月のうちにこうした非従来型の宿泊施設を予約しているそうです。
日本でも、水田の隣にある古民家を宿泊施設にした“88ハウス広島”、大阪の卸玩具問屋をホステルにリノベーションした“ホステルみつわ屋大阪”など、ユニークな宿泊施設をラインアップ。
グローバルでは、ユニークで楽しい滞在先として、シドニーのアボカド型コンドミニアム“アボコンド”や、映画「メン・イン・ブラック」をテーマにしたロンドンのホテルなどが予約できました。
日本でも、11月13日から16日の3泊限定で、日本のポップカルチャー「カワイイ文化」の第一人者として活躍するアートディレクターの増田セバスチャン氏とコラボレーションした宿泊施設“KAWAII Japanese Room –Addicted to TOKYO”の提供が予定されています。
プレスツアーでは、Booking.comから予約できるアムステルダムのユニークな宿泊施設2か所を見学することができました。そちらのレポートは別記事でお届けします。
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