今回は はがくんの『note』からご寄稿いただきました。
健康に悪いとかいうレベルじゃない。死亡リスクを59%も引き上げる”ジュース死”って…?(note)
ハイライト
・2019年9月の45.2万人の追跡研究によるデータ
・ジュースは体に悪いどころか”死”に誘う悪魔の飲み物かもしれない。
・ジュースは死亡リスクを59%も増加する
・人工甘味料入りジュースは循環器疾患リスクを52%、発がんリスクを10%UPする。
・ただし、100%フルーツジュースは除く。
ジュースをなんとなく手に取ってしまう
コンビニやスーパーにいくと色んなジュースが売っています。中にはジュースが大好きでたまらん!!ってヒトもいるかもしれませんが、水を買うのもなんとなく癪だし、別にそんなに高いモノでないので、つい手に取ってしまいがち。
別に体に良くない、というか体に悪いモノってことは日本で教育を受けたことのある人なら誰でも知っています。小学生だって知っているのですが、その甘い誘惑には勝てないですよね。というか、別に1日1本くらいでどうってことないでしょ。別にジュースで死んだヒトなんて聞いたことないし。
『ジュース死』
なんて病名なんてありませんから、それも当然。体に悪いとか、太りやすいことなんて誰でも知ってますが、ジュースで死ぬなんてありえないでしょ(笑)
と思うのは当然。ですが、『ジュース死。意外とスグそこまで迫ってる…?』という事を示す論文が2019年9月にJAMA誌にてリリースされたので、今回はそれをご紹介します。
税金を取れるもの=体に悪い・・・?
例えば、タバコの62.6%は税金です。しかし、世間的には許されています。その証拠に、その税金設定でもたくさんの人がタバコにお金を使っています。
しかし、普通の食品だったらどうでしょう?
例えば、アナタの作ったリンゴに今年から”62%の税金をかけます”と言われたらどう思います? 1個=100円で売っていたリンゴが162円になります。消費者は買ってくれなくなると思いますよね?
私だったら猛烈に反発します。農協団体に抗議して、リンゴの税金を上げた政治家や政党をめちゃくちゃに非難しますし、デモを起こすかもしれません。絶対に次の当選は無いよう努力をしていきます。
だって自分の行く末がかかってますもの。
したがって普通は、”食品や趣向品に高い税金をかけることは、ほぼ不可能”なんです。それをつくっている農家、メーカーから絶対に強い反発が来ます。政治家も自分の支持団体の利益に直接反することを大っぴらにすることはできないんです。
でも、それが許される場合があります。
それは、”明らかに体に悪い”ことが判明している場合です。その場合はいくら農家やメーカーといえど強く反発することが難しいです。さらに、政治家は別の支持団体や、世論を味方につけて政治家を続けることが出来るでしょう。
したがって、高い税金がかかっている食べ物や趣向品は体に悪いモノという理屈は結構成り立ちます。代表的な税は、たばこ税や酒税です。どちらも身体に悪いことを誰でも知っているモノですね。
砂糖税はヨーロッパだけでなく東南アジアにも
欧米では砂糖税が徴収されています。始まりはイギリス。2018年4月から始まった砂糖税はノルウェーやアイルランドのほか、アメリカなどの先進国に一気に広がりを見せました。先進国はやっぱすごいなーと思っている場合ではありませんよ!!
インドネシア、フィリピン、マレーシアなどの東南アジア各国も続々と砂糖税をかけ始めたのです。
*1901年には砂糖が贅沢品だった為、砂糖消費税というモノが設定されていたものの、1999年には砂糖が一般化していたこともあり撤廃されています。
なぜ、砂糖税が各国で採用されるのか?それは、”体に悪いから”です。
WHOの調査によると、全世界の20億人が太りすぎであり、6億5千万人が肥満であるとされており、さらに5〜19歳の年代の3人に1人が減量が必要だと言われています。
肥満が原因の疾患といえば、糖尿病を代表に、その他の代謝性疾患や心臓病、脳血管疾患などの循環器疾患など、挙げればキリがありません。要するに、痩せてればこれらの疾患にはかかりにくいから、砂糖税かけて消費しないでねーってコト。東南アジアでも、来たる慢性疾患による医療費抑制の為、早急に対応を始めたというワケ。
肥満の代表的な原因とされているのが『砂糖』です。そして、砂糖の主な摂取源として知られているのが『砂糖入りのジュース』という事を考えてみてください。ジュースって、どう考えても身体に悪いですよね・・・(笑)
これほどまでに体に悪いことが強く確定している砂糖を含むジュースによる詳細な悪影響は様々な研究で証明されていますが、今回は、45.2万人を4年間もの間追跡した大規模調査の結果で、『ジュース死』の真相を深堀りしていきます。
45.2万人を9年追跡する執念の調査により導き出されるジュース死とは
研究チームは45.2万人の協力を得て、4年間の追跡調査を行いました。文章にするとサラッとしたもんですが、ジュースの消費と死亡率の調査の中では過去最大規模の研究です。
(1) 砂糖入りのジュース :コーラやスポーツドリンクなど。
(2) 人工甘味料入りのジュース:ゼロカロリー飲料など。
(1) 、(2)に分けてそれぞれどのくらいの量を飲むか調査し、4年以内に死亡するかどうか?様々な疾患にかかるかどうか?を確認していきました。
注意点は、100%フルーツジュースは含まれていないこと。体に良い影響を与える研究がいくつも出ているため、除外されました。
ジュース、割と深刻に体に悪いんじゃね…??
*フルーツジュースと区別する為、普通のジュースを”砂糖入りジュース”と書きます。
ジュースを飲む人の死亡率は35%高い。
1カ月に1杯以下の人と比べたとき、死亡率がどのくらい高いか
・1日に人工甘味料入りジュース500mL以上=死亡率35%UP
・1日に砂糖入りジュース500mL以上=死亡率16%UP
うーん、エグいですねぇ。特に人工甘味料入りジュースは死亡率上がりすぎ。ゼロカロリー飲料絶対飲みたくないです。
4年の死亡率を35%低くするためにどれだけの運動や食生活のコントロールをしなくちゃいけないのかと思うと、1日500mLのジュース摂取は過剰摂取(オーバードーズ)なのかもしれません。
ちなみに、
・消化器関連の死亡=砂糖入りジュース1日500mL以上のグループで59%UP
・循環器関連の死亡=人工甘味料入りジュース1日500mL以上のグループで52%UP
などなど、砂糖と人工甘味料それぞれのジュースで病気になりやすい部分が異なるようです。ちなみに、消化器は胃や腸のこと。循環器は心臓や血管系の事を指します。
まぁ、消化器だろうが循環器だろうが死に関わる病気になんてなりたくないですから、私は絶対に1日500mLもジュースを飲まないようにしようと思いますね。
健康診断の前にちょっと努力したってムダです。
もってる時は全然わからないのに、無くすと大切だったことに気付くことってありますよね。健康がまさにソレなんです。
定年したら
・1年に1回くらい旅行に行こう → 重病なら無理。
・趣味や資格をとって、やりたいことやろう→重病なら無理。
・お店でも開いて友達よんで楽しくやろう→重病なら無理。
年を取れば、確実に体は老いていきますが、そのスピードは自分である程度コントロールできます。ジュースが身体に悪いなら、摂らない方が良いに決まっています。もちろん、”飲んだ方が自分は幸せだ!”と断言できるヒトの行動を邪魔したりするつもりはありません。
でもそもそも、ほとんどの人にとって、命かけて飲みたい!ってほどのモノでもないですよね?
将来は現実の延長線上にしかありません。『はい、老後です』なんてシチュエーションは100%あり得ないんです。だからこそ、積み重ねが必要なんです。
”1本くらいいっか”という良い訳は、たしかにしょうがないかもしれません。私だってどうしても我慢できないことがたくさんあります。
でも、体の衰えを感じる年齢までに、いったい何本のジュースを消費すると思いますか?負の積み重ねはどう考えたって有害です。
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「禁煙しなければ」「過食をやめないと」「運動しなきゃ」
誰だってそんなことわかってるんです。でも、緊急ではないから先延ばししてしまう。それは当たり前、アナタが悪いわけではありません。
どうしたって私たちは差し迫った健康診断や人間ドックに備えてその場しのぎのダイエットに終始してしまいます。
しかし、それでは全く意味がありません。この本は、医師である著者が過去の自分の至らなかった点を率直に認め、”自分主体で習慣をどうやって変えていけば良いか”について本気で考え、執筆されています。
医師の本というのは結構独りよがりというか、『これが身体に良いってよ!』の羅列が多い中で、この本は自分の健康をマネジメントするという意味では一番大切なことが書いてある本だと思います。
自分を変えたいと思う方は読んでみても損はありませんよ!
引用
Mullee, Amy, et al. “Association Between Soft Drink Consumption and Mortality in 10 European Countries.”JAMA internal medicine (2019).
はがくん@一歩踏み出す薬剤師
日本人は『信じるもの』が無い人が多い。 でも、宗教や権力者に従うだけの人生は面白くない。 科学は客観性を大切にする、みんなのモノです。 古典的な概念に縛られずアップデートもできます。 僕はそれを『信じて』生きていきます。 成果の出ない毎日から、一歩進み出しませんか?
https://note.mu/our_evidence
執筆: この記事は はがくんの『note』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2019年10月2日時点のものです。
―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』