『東京国際サメ映画祭』をご存知だろうか。2018年9月に本格開催を目指すこの映画祭は、“サメ映画好きのサメ映画好きによるサメ映画好きのための祭典”だ。
サメ映画といってスピルバーグ監督の『ジョーズ』を思い浮かべる至極真っ当な方のために一応お知らせしておくが、昨今の『シャークネード』シリーズ(サメが竜巻にのって空から降ってくる)や『シャークトパス』シリーズ(上半身サメで下半身タコ)に代表される、“サメでいかにオモロイことやるか”的なB~Z級映画をも愛してやまない、サメ感度の高い人向けのお祭りである。
とはいえ、まだそこまで重度でなくとも「『ジョーズ』しか知らなかったけどなんか気になる」「わたしもそっち方面めざめちゃうかも」とお思いの方は大歓迎であろう。すべての人間は潜在的サメニストである。
『東京国際サメ映画祭』は、2017年12月に“第0回”として『シャークネード5 ワールドタイフーン』を来場者でワイワイしながら鑑賞するプレイベントを行った。そして今年5月29日、2回目の“第0回”イベントとしてトークライブ『第0回東京国際サメ映画祭 春のサメ祭り』が実施されたのである。その模様をレポートでお届けする。
『第0回東京国際サメ映画祭 春のサメ祭り』レポート
シックスヘッド・ジョーズさんがサメ映画祭にいらっしゃいました!だっこできるとのことです! pic.twitter.com/IC7q8rF9zL—サメ映画図鑑@5/29日(火)発売開始! (@Shark_Fes) 2018年5月29日
会場は新宿ロフトプラスワン。司会席のど真ん中には、Anomalo*Kaoさん(@Anomalo_Kao)による6つ頭のサメ“シックスヘッド・ジョーズ”のあみぐるみが飾られた。か、可愛すぎる……。『シックスヘッド・ジョーズ』は双頭のサメを描く『ダブルヘッド・ジョーズ』シリーズの最新作である。多いことはいいことだ。(そうかな?)
居酒屋の季節限定メニューのような趣のこちらのお品書きは、『東京国際サメ映画祭』名物となりつつあるサメフード&サメドリンクメニュー、いわば“サメニュー”である。サメの唐揚げだけで二種類あり、モウカザメよりヨシキリザメのほうがジューシーと紹介され、人気を集めた。サメジャーキーは少し癖のあるお味とのこと。サメに食われる映画の話で盛り上がりながらサメを食べ返すという貴重な体験ができる。
爽やかなブルー…いやディープ・ブルーなサメフロートは、飲み進めると小さなサメが姿を現す。サメ映画好きには常識となりつつあるが、サメは海以外にも現れるものなのである。
まずは最新サメ映画情報から
司会進行は、サメ映画に詳しい映画ライター・中野ダンキチさんと、サメ映画にあまり興味がないが故にサメ映画に対して冷静な視点を持っている中野さん(通称・画伯)の“ダブル中野”なお二人。このイベントの同日に、来日したライアン・レイノルズが登壇する『デッドプール2』ジャパンプレミアも行われていたのだが、同作には『シャークネード』ネタが登場するとの情報も飛び出した。サメ好きは細かいサメ情報も共有する。
イベントはまず最新サメ映画情報からスタート。2018年注目のサメ映画といえば、9月7日公開の『MEG ザ・モンスター』である。制作費150億円を投じた今作は、主演のジェイソン・ステイサムが古代の巨大サメ“メガロドン”に立ち向かう海洋パニック・アクションだ。
そして、1999年公開のサメ映画『ディープ・ブルー』の19年ぶりの続編『ディープ・ブルー2』が9月5日、ワーナー・ブラザースよりブルーレイ&DVDでリリースされることが発表された(初解禁情報)。
両作の予告編が上映されると、いかにもサメが出てきそうな“サメフラグが立つ”シーンで途端に場内はザワつきはじめる。サメの気配に敏感な来場者たちの姿は、“血の匂いに敏感なサメ”の姿を思わせ、人って好きなものに似てくるんだなと思わずにはいられない現象であった。
また、家の中にサメが出現するトンデモ・サメ・ホラー『HOUSE SHARK(ハウス・シャーク)』の日本リリースがこれまた初解禁情報として発表された。今作を買い付けた勇気のある会社は株式会社キュリオスコープさんである。リリースは10月予定。
イベントでは海外版予告編が上映された。トイレで全裸で用を足していた女性が便器内に潜んでいたサメによって尻からミンチにされ、血まみれになった便器からサメの背びれがのぞくという、文章化すると訳がわからないが映像で見るともっと訳がわからない衝撃シーンが見られる。
<『HOUSE SHARK』海外版予告編>
そのほか、クラウドファンディングで多額の制作費が集まったものの、なかなか完成しないナチス×ゾンビ×サメホラー『Sky Sharks』の最新映像が上映されたほか、内田清輝監督による大変独創的なインディペンデント・サメ映画『ヴァーティカル・バトル・シャーク・ヴェンジェンス』の企画発表映像が上映され、『春のサメ祭り』はのっけから大盛り上がりを見せた。
日本のサメ映画『ジョーズ・イン・ジャパン』公開裁判
ジョーズインジャパンだ!!!!VFX担当の方を助監督がきてるぞ!!!!どういうことなのか説明してください。 #サメ映画祭pic.twitter.com/ZIjNJ33td7—サメ映画図鑑@5/29日(火)発売開始! (@Shark_Fes) 2018年5月29日
作品によって天と地ほどもクオリティの差がついてしまうサメ映画だが、『ジョーズ・イン・ジャパン』という大層な名前がつけられた日本のサメ映画はなかなか悪名高い。映画のメインは巨乳アイドルの水着シーンで、CGのサメがラストにちょこっと登場して終わりという珍作である。
そんな『ジョーズ・イン・ジャパン』の助監督とVFXスタッフが来場し、今作の裏側を語った。イベントで語られた話をどこまで書いていいのか分からないが、言葉を濁すとどうやら軽めのノリで、CG部分に関してはかなり無茶なスケジュールで作られたようである。なお、制作費は交通費諸々込みで800万ほどかかっているとのこと。意外とかかってる。
助監督さんからは「Amazonなどでは低評価レビューがたくさん書かれているが、手間を掛けてわざわざレビューを書くということはそれだけある意味心が揺さぶられているということ」という前向きな発言もあった。心を揺さぶるにもいろんな方向があるということだ。
ちなみにイベントには現れなかった監督のジョン・ヒジリさんは、今作について触れられるのはあまり好きではないそうである。みんな、そっとしておいてあげような。
第0回サメ映画クイズ大会
休憩をはさみ、イベントは後半戦になだれ込む。“第0回サメ映画クイズ大会”の開催だ。来場者に初級編~上級編にわかれた24問の筆記テストが配られ、上位5名が本戦に進むというスタイル。
筆記テストは後半のあまりの難題ぶりに全問正解者は現れず、24問中20問正解のおーえんさん(@multihmx12)がトップ通過となった。内容はマニアックではあるものの、答え合わせの際に丁寧な解説がなされるため、サメ映画初心者も楽しみながらサメ映画に詳しくなれる良心的な進行になっていた。サメ映画信者を増やそうという心意気が感じられる。
筆記テスト上位5名、通称“サメ映画五賢人”による本戦は、ステージにあがっての早押しクイズである。サメ映画に詳しいからこそ引っ掛かってしまう引っ掛け問題から、サメ映画知識だけでなくサメの生態の知識まで問われる難題の数々が出題され、五賢人を悩ませた。
優勝者は予選をトップ通過したおーえんさんに決定し、“第0回サメ映画クイズ王”の文字が書かれたタスキと、サメに対抗するための弾帯が贈られた。優勝したおーえんさんは夏コミにてサメ映画紹介本を販売する予定とのこと(サークル名は「おレ日和」だそうです)。そそられる方は是非チェックを。
マニアックに、そしてとことんピースフルに幕を閉じた『第0回東京国際サメ映画祭 春のサメ祭り』。会場でしか聞けない他言厳禁の極秘情報もあった。もちろんこの記事には掲載しないが、追って公表されるそうなので、会場に来られなかったサメ好きは続報を待たれよ。『東京国際サメ映画祭』の本番開催については公式SNSなどで追々情報が発表されるとのこと。
『東京国際サメ映画祭』公式サイト:https://shark0687.wixsite.com/shark-film-festival
また、イベントに物販で参加していた株式会社インターフィルムさんよりリリースされている『シャークトパス』一作目のDVDは、権利切れのため近々販売できなくなるそうだ。下半身がタコなせいでサメの上半身が立ち上がり、とても可愛らしいサメの“うなじ”がおがめる『シャークトパス』は、ロジャー・コーマン製作だけあり“割と観れちゃう”オススメのシリーズ。購入される方はお早めにどうぞ。
そしてサメ映画好きは東京国際サメ映画祭事務局がイベントと同日に販売開始した『かわいいサメ映画図鑑』も是非チェックを。現在は電子書籍のみのリリースだが、これが売れれば紙の書籍としてリリースされるのも夢ではないかもしれない。とってもかわいいぞ。
昨日のサメ映画祭はすごかったですね!「楽しかった」「サバト」「クイズがド難問」など飛び交っております。そんなサメ映画祭が作った『かわいいサメ映画図鑑』をよろしくね! ちなみに祭は赤字経営なので図鑑が売れないと弊サメの首が飛びます。https://t.co/EwTzF06CDJpic.twitter.com/qtdqDrkqmM—サメ映画図鑑@5/29日(火)発売開始! (@Shark_Fes) 2018年5月29日
ホラー映画&ホラーエンタメ情報の『ホラー通信』はこちら –http://horror2.jp[リンク]
―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』