実力派音楽クリエイターが楽曲提供をしている人気スマホゲーム「Tokyo 7th シスターズ(以下、ナナシス)」は、心を揺さぶる音楽として、ゲームユーザーのみならず、音楽ファンからも熱い注目を集めています。今回は、同作に登場するレジェンドアイドル“セブンスシスターズ”の楽曲を手がけるトップ・クリエイターのkz(livetune)さんのインタビューをお届け。彼がどのようにこのプロジェクトに携わるようになったのか、またナナシスの音楽のエモさの秘密について語ってもらいました。
註:本インタビューは、2月19日発売の『Tokyo 7th シスターズ COMPLETE MUSIC FILE』収録記事の一部を再編集したものになります。
1stライブを観て、やってて良かったと泣いてしまいました
ーーいろんなところで曲を書く中で、ナナシスの音楽に携わっていくわけですが、kzさんにとっては、どういう出会いでしたか?
kz 今でこそ茂木(伸太郎/「Tokyo 7th シスターズ」の総監督・総合音楽プロデューサー)さんとは、わりと会ったり、飯を食べに行ったり、トークイベントで話したりはするんですけど、オファーをいただいたときは、直接お会いして打ち合わせすることもなかったんです。普通にメールでオファーをいただいて、そこに企画書があってという感じでした。そのときは企画の大枠は聞いてたけど、細かいディテールの話までは聞かされていなくて。二次元アイドルもので、ちょっとSF感があるものを作りたいという話でした。そこから作ったのが「Star ☆ Glitter」でしたね。
ーーその企画書から熱さみたいなものが伝わってきたということですか?
kz そうですね。でもその当時は今みたいな狂気性はそんなになかった気がします(笑)。ぶっ飛んだ感じは全然しなかったんですけど、「SEVENTH HAVEN」の前あたりからですかね、「このプロジェクトは、ちょっとおかしいぞ?」って思い始めたのは(笑)。なのでこの当時は、本当に通常のプロジェクトの立ち上げ、みたいな形で関わっていたなと思います。
ーー仕事を受けた理由はあったのですか?
kz その当時、ちょうどアイドルものをやりたいと思っていたんです。今もすごくやりたいというか、やれているんですけど、女の子のグループものの曲をすごく作りたかったんですね。ナナシスそのものというより、アイドルもの、特に二次元のものを作りたい!という欲求があった中でお話をいただいたので、アイドル然としたポジティブな曲を作っていきたいなと思って、最初は作っていたと思います。
ーー二次元アイドルというカテゴリーには何か思い入れがあったんですか?
kz 特に何かがあったというわけではないんですけど、『アイドルマスター』や『ラブライブ!』の音楽を始め、二次元のアイドルもののグループ曲って、すごく好きなんですよね。以前に他のインタビューでもお話ししたことがあるのですが、二次元アイドルってエモさがあるんです。普通には起こり得ない頑張りみたいなものがアニメだとできちゃうじゃないですか。ライブに人がいなかったとか。そういう起こり得ないところを演出できて、かつ良くも悪くも人間らしい生々しい部分を隠せる。エモーショナルな部分だけを取り出せるから、見ていてカタルシスがすごいんですよ。それとやっぱり制作陣に恵まれているなって思うんです。核となるサウンドクリエイターがそれぞれのコンテンツにいて、その方の曲を僕自身がすごく好きだったので、そういったものを作りたいって当時から思っていたし、今もすごいリスペクトがありますね。
ーー憧れもあったところに、プロジェクトの立ち上げから関われる機会があったというのは、力が入りそうです。
kz そうですね。それはすごく大きなことでした。僕もそのときはまだ全然わからなかったんですけど。それがナナシスの1stライブ(2015年5月31日@Zepp Tokyo)を観たときに、やってて良かったなって思いがすごく強くなっちゃって、fu_mou(ナナシスの作品も手がけている音楽クリエイター)の隣で泣くという(笑)。感動して泣いちゃったんですよ、みんな大きくなったなぁって。
ーー立ち上げからだから、余計感慨深さが……(笑)。
kz やっぱり全然違いましたね。関わらせていただいたのが本当にありがたいことだなって思います。
ーーでは、ナナシスの活動の中で一番感動したのは、1stライブ?
kz そうですね。感動したのは1stライブなんですけど、そこからの2ndライブ(2016年8月21日@パシフィコ横浜)も僕はすごく感動したんですよ。1stライブは本当にみんな震えながらやっていた状態で、キャスト(声優)さんも超緊張してて。で、最後の「Star ☆ Glitter」で泣いているキャストさんもいたし、観客も泣いてるし、関係者席では僕らが泣いてるみたいな(笑)。全員が泣いちゃうライブから、2ndの貫禄につながったのがやっぱりすごいなと。2ndライブを観たときは成長度合いに感動したし、3rdライブ(2017年4月22日&23日@幕張メッセ イベントホール)になると、さらにそれを飛び越えて余裕すら感じられた。本当にそれぞれの成長が見られるし、感動が更新されていってますね。
ーー声優さんの面白いところで、それぞれが普段いろいろな活動をしているから、そこでの成長を持ってくるんですよね。
kz そうなんですよ! いろんな現場で修行して帰ってきて、みんなすごくなってるみたいな。少年漫画的な感じがしますよね(笑)。特に水瀬いのりさんは「Star ☆ Glitter」の頃は、まだ高校生で。そこからいろんな作品に出て、今や不動の人気というか。そこまでのストーリーを、同じコンテンツで間近で見られたのはすごくうれしかったです。
ーー3rdライブは、本当にすごかった。
kz ナナシスって演出がカッコいいんですよね。毎回本当にいいライブをしてるなって思えるコンテンツって数少ないと思うので、毎回何かしてくるナナシスのライブに行くのが、本当に楽しみです。
ーー生バンドで、3公演っていうのも前代未聞でしたからね。
kz いやぁ、もうバカだなぁって思いながら観てたんですけど、1曲目からいきなり特効とか、ここでこんなにお金かけるんだ?みたいな感じがあるじゃないですか(笑)。いい意味で頭悪いなぁって思いながら観てます。この人たち、お金のことあまり考えてないんだろうなって(笑)。
『Tokyo 7th シスターズ COMPLETE MUSIC FILE』「Tokyo 7th シスターズ」の音楽をテーマした音楽大全本『Tokyo 7th シスターズ COMPLETE MUSIC FILE』が2月19日に発売になります。ここで紹介しているkz(livetune)さんのインタビューの完全版を始め、総監督・総合音楽プロデューサーの茂木伸太郎さんによる全楽曲&アートワーク解説、豪華クリエイター陣/各キャストのインタビュー、篠田みなみさん(春日部ハル役)と高田憂希さん(天堂寺ムスビ役)の特別対談を収録。表紙には描き下ろしイラストを使用し、インタビューページではキャラクターイラストやCDジャケットイラストも交えて掲載。同作の音楽の世界の魅力に迫る1冊です。
2018年2月19日発売
定価(本体2,500円+税)
発売リットーミュージック
ISBN 978-4-8456-3203-9
―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: Rの広報ガール) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
―― 表現する人、つくる人応援メディア 『ガジェット通信(GetNews)』