『えが ない えほん』―― まるで意味不明なタイトルが付けられたこの“絵本”、読むと―― いや、読み聞かせると「子どもが絶対に笑う本」なのだとか。
この時点で、色々ツッコミどころがあるこの書籍、原著は2014年にアメリカで発表されるや、その年のニューヨークタイムズのベストセラーとなり70万部超の売り上げとなりました。
それにしたって「“絶対”はないだろう、絶対は」。そう思うのも無理は無いです。
気になる中身を見てみましょう。
「この ほんの ルールを せつめいします」
「かかれている ことばは ぜんぶ こえに だして よむこと」
「それが きまり やくそくね」
……本当に、文字だけ。そんな前置きを経て、飛び出してくるのは……
「ぶりぶりぶ~!」
「ぼくは サルの ロボット デス」
「おしり ブー ブー」
「本当にこんなので笑うの?」と思った方、この動画を見てみてください。
■子どもが絶対にわらう本!?『えがないえほん』読み聞かせ
https://youtu.be/QUFOb41pQCo
そう、まさしく“ドッカン、ドッカン”のスベりなし。ずーっと子供たち、笑いっぱなしです。
この動画はこの本の訳者である大友剛さんが『えの ない えほん』発売前に保育園の年中・年長組に“読み聞かせ”している様子。
先の「ルール」にもありましたように、朗読者である大人は「バカで意味不明なセリフ」も絶対に読まなければいけません。そのおかしなセリフのみならず、“読まされている”大人にも子供たちは大ウケなのです。
また、よくよく見ればこの本、余白たっぷりのページ構成。笑いどころでは、わかりやすくも意味不明のテキストが特大サイズのフォントでちりばめられています。そう、これはまるで“パワポ芸”であり、昔懐かし“テキストサイト”で流行った“フォントいじり”じゃないですか。
※「パワポ芸」:パワーポイントを使った演芸的要素の高いプレゼンテーション。テキストのみで行うタイプのものは、余白を生かしたテンポの良い前置きと笑いどころでの特大フォントが基本。
※「テキストサイトのフォントいじり」:個人ホームページ作成が流行した2000年頃、のちにブログの元となる「テキストサイト」の一部が用いたWEB上のテクニックの一つ。
こちらも余白(改行)多めのレイアウトで前置きをしながら、オチや笑いどころの部分でフォントサイズを目いっぱい大きくし、視覚的にも強くメッセージを送り込む。フォントをいじる手法は『A_prompt』というサイトが発祥で、それを『ファーニーゲーマーズヘブン』が進化させたと言われる。そしてフォントいじりと言えば、超人気テキストサイト『侍魂』が用いていた事でも有名。
適度な余白を加えながら、ふざけた擬音のオンパレード。 そう言えば子どもの頃ってこんな擬音の連発で、意味もなく爆笑してました! そんなことを忘れてしまった僕らは笑えなかったとしても、純真な子供たちはゲラゲラとしっかり笑ってくれるのです。
『えが ない えほん』の原著『The Book With No Pictures』の著者であるB.J.ノヴァクは俳優でありコメディアン。実はクエンティン・タランティーノ監督の映画『イングロリアス・バスターズ』や『アメイジング・スパイダーマン2』にも出演しているのです。
そんなB.J.ノヴァク自身が読み聞かせをしている動画もありました。先ほどと同じく子供たちのゲラな動画は、既に350万回再生されています。
The Book With No Pictures by B.J. Novak
https://youtu.be/cREyQJO9EPs
この本がすごいのは、本職のコメディアンではなく保母さんやお父さん、お母さんたちが読んでも、もれなく子どもたちが大爆笑するところ。読み聞かせに慣れていなくても、ページをめくるテンポと文字の量、大きさが、子供たちの笑いまでをきちんと演出してくれるのです。
『えが ない えほん』(早川書房)の発売は2017年11月21日予定。もし手に入れたら、本当に子どもたちが笑うのか、是非試してみてください。
『えがない えほん』(早川書房)
B・J・ノヴァク/著
大友 剛/訳
11/21発売予定
写真:新潟県 むいかまちこども園
―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』