2016年12月4日にオープンした青森県八戸市の『八戸ブックセンター』。全国でも希少な市営書店で、税金を投入して運営するということもあり、開設当初は賛否両論が巻き起こりました。
とはいえ、本好きとしてはどのような本屋になっているのか気になる存在。筆者も前々から行ってみたいと考えており、この度訪れてみましたのでレポートをお届けします。
JR東日本八戸線本八戸駅から徒歩15分ほど。八戸市役所などがある中心部の複合施設の1Fにある『八戸ブックセンター』。外観がモダンな雰囲気です。
天井が高く、開放的で木製の本棚が落ち着いた雰囲気の空間。至るところにイスが置かれており、“座り読み”ができるようになっていました。また、カウンターではコーヒーやごぼう茶などのドリンクも販売されています。
2016年から八戸市が推進している「本のまち八戸」の中心的な存在のこの市営書店では、「人生」「本を書く」といったテーマごとに棚が作られているほか、地元大学の研究者や岩波書店の編集者などがキュレーターとなって選書した本の棚などが並んでいます。そのうちの一つには、小林眞八戸市長が選んだ本棚も。丸山健二氏の小説『千日の瑠璃』など、なかなか渋いチョイスです。
同じ八戸の南郷名画座で2017年8月18日・19日に上映される成瀬巳喜男(1905-1969)の監督作品『流れる』『晩菊』を選んだ片桐はいりさんの棚も。原作本や片桐さんとゆかりのある本が面陳にされていました。
低めの本棚に挟まれてぶら下げられたハンモック。子どもと一緒に訪れる人にとっては楽しい空間なのではないでしょうか。
八戸ブックセンター主催のイベントや、市民などが読書会を開くためのスペースも。サイトから仮予約できるほか、空き時間はドリンク購入者が使うこともできます。広々とした中、ゆったりと読みたい時によさそうです。
八戸出身の作家で、1961年に『忍ぶ川』で芥川賞を受賞、短編小説の名手として称された三浦哲郎(1931-2010)の書斎を再現したブース。
筆者が訪れた時には、ギャラリーで八戸にも住んでいたことがある寺山修司(1935-1983)の展示が行われていました。
俳優の三上博史さんの朗読による『空には本』の映像が流されていたほか、貴重な直筆原稿の展示も。寺山ファンなら見逃せないところでしょう。企画展示『寺山修司 言葉の森』は2019年9月24日まで。
全体として、雑誌の数は少なめ。当初は「売れない本を売る」という言葉がひとり歩きした感がありましたが、ジャンルわけやキュレーターによる選書が独特で、本好きほど唸らせる書店になっているように感じました。
また「八戸市民作家カード」に登録した人は“カンズメブース”を使えるようになります。集中して本を読みたい時や、実際に執筆するという人にとっては嬉しいサービスなのではないでしょうか。
八戸ブックセンター
住所:八戸市大字六日町16番地2 Garden Terrace 1階
TEL:0178-20-8368
FAX:0178-20-8218
開館時間:11:00〜20:00
休館日:毎週火曜(祝日の場合その翌日)、1月1日および12月29日、30日、31日
八戸ブックセンター(公式サイト)
https://8book.jp/ [リンク]
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