心配性な人の方が成功できる理由とは?
あれやこれや悩んでいるうちに、チャンスを逃してしまった経験はないでしょうか。私自身、心配性なところがあって、不安なあまり一歩が踏み出せず、後から「ああしていればよかった」と考えたことが幾度となくあります。
実際、心配性はマイナス要素だと考えられることが多いと思います。しかし本書では、「不安になるのは “先読み”ができる証拠」「心配性の人はIQが高く、クリエイティブ」など、心配性であることをポジティブに捉えています。
イチローやジョブズといった著名な成功者の多くが、病的なまでに心配性であったことを例に、「心配症であることは成功するための条件」とまで言っています。
心配性とは具体的にどのような状態なのか、「不安」をコントロールして「行動力」に変えるにはどうすればいいのかなど、脳神経外科医である著者の立場から、”科学的な”方法を紹介しています。
心配性であることをネガティブに捉えていた人にとって、一歩踏み出すためのヒントを与えてくれるでしょう。
心配性の人は「欲求」を曖昧にせよ
心配性の人は完璧主義者が多く、極端で不合理な欲求にとらわれがちだと著者はいいます。
以下であげる欲求について、ひとつでも当てはまる人は注意が必要です。
- 「完璧にやり遂げたい欲求」…やるなら完璧でなければならない
- 「勝ち続けたい欲求」…常に人より高い成績を上げなければならない
- 「報われたい欲求」…努力は必ず報われるべきだ
- 「愛されたい欲求」…他人に愛される自分でなければ生きている価値がない
- 「認められたい欲求」…誰かに認められる自分でなければ生きている価値がない
- 「コントロール欲求」…すべてを自分の思い通りにしたい
こういった不合理な欲求にとらわれると、リスクにばかり気を取られてしまい、チャレンジすることに奥手になったり、自分自身を精神的に追い詰めてしまったりします。
ではどうすればいいのか。著者は欲求をあいまいにすることを勧めています。
欲求が極端でなくあいまいで、目標設定が合理的で実現可能だから、前に踏み出すことができるのです。
たとえば「完璧は無理だけど、一歩でも自分の理想に近づけたらいいな」「常に高い成績を上げるのは無理だけど、今回だけは高い成績を上げられればいいな」のように、欲求に「あいまいさ」を加えることで、新しいことに挑戦しやすくなります。
心配性の人が陥りやすい考え方の癖
心配性の人は自分の「考え方の癖」によって、根拠のない思い込みを持ち、自ら視野を狭めてしまっています。
- ものごとをネガティブに極端化する
- 自分なりの常識にこだわる癖
- 空気を読みすぎる癖
たとえば①では、「全か無か」「0か100か」など極端に考えてしまう「白黒思考」や、ひとつでもよくない出来事があると、それを拡大解釈して一般化する「一般化のしすぎ」といった考え方の癖が紹介されています。
心配性の人が、どんな「欲求」や「考え方の癖」にとらわれているかを知ることで、自分の思考を整理し、視野を広げることができるはずです。
他にも多くの癖が紹介されているので、ぜひ本書でチェックしてみてください。
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考えるより前に行動すればやる気が湧く
心配性の人は「やるならきっちりやりたいから、これは時間のあるときに…」のように、重要な仕事ほど後回しにしてしまう傾向があります。面倒が溜まれば溜まるほどやる気は失われてしまうので、先延ばしにすることが増えてしまいます。
こういった先延ばし癖は、脳の「側坐核」という部分を刺激することで防ぐことができると言います。
「側坐核」は「やる気スイッチ」と呼ばれる器官で、ここに刺激を伝えることでやる気が発生するのです。
では、どうすれば「側坐核」を刺激することができるのか。著者は、「考えるよりも前に体を動かすこと」が重要だといいます。
これは「作業興奮」といわれ、まず体を動かし始めることで側坐核が刺激され、やる気が湧いてくるのです。たとえば、掃除を始める前はめんどくさい気持ちに支配されていたのに、いざ作業を始めてみるとすんなり終わって、なぜもっと早くやらなかったんだろうと思った経験はないでしょうか。
心の中でいくら念じてもやる気は出ません。面倒なことほど、考えるより先に、身体を動かして、作業興奮を呼び起こすことが重要なのです。
とにかく、体を動かせば、やる気は勝手に出ます。やる気は待っていてもやって来ませんが、自分から迎えにいけばすぐにやってきてくれるのです。
完璧を目指すなら「質」より「量」を
陶芸クラスを「質」を重視するAグループと、「量」を重視するBグループに分けて、最も「質」の高い作品はどちらのグループか生み出すのか、実証実験が行われました。(Bのグループには、全作品の総量で評価されると伝えています)
結果、最も質が高かったのは「量」を重視したBグループだったそうです。Bでは量をこなす過程で試行錯誤を重ねることで、作品の質が向上していったのに対し、「質」を求められたAグループでは、最初から完璧な作品を作ろうとするあまり、頭で考えることに時間をかけすぎてしまい、量をこなすことができなかったのです。
心配性の人は「じっくりと時間をかけて丁寧にやったほうが、良いものができる」と思いがちです。しかしこの実験から分かるように、ある程度の「量」をこなさなければ、「質」を高めることはできません。
つまり、たとえ中途半端な出来であっても、とにかくたくさんの「完成品」をつくりあげること、慎重さを大事にしながら「こまめなチャレンジ」を繰り返すことが重要なのです。
成功する人は何事にも挑戦していく「アグレッシブさ」と、冷静にリスクマネジメントできる「ネガティブシンキング」の2つを兼ね備えていると著者は言います。
まとめ
まえがきで、
心配性であることを、人生目標を叶えるための力に変えるのです。
と著者が述べるように、本書では心配性を「力」に変える方法が紹介されています。
心配性の人は良い意味で、ネガティブシンキングすることでリスクを察知する能力に長けているといえます。あとは自分自身がとらわれている癖や考え方を自覚することができれば、目標にグッと近づけられるでしょう。
楽観的に考えることができない、最初の一歩が踏み出せない、ネガティブな考えに囚われてしまう、そういった方々にオススメの本です。
執筆者プロフィール
東京都在住の20代男性。IT関連からサブカルチャーや起業、哲学、ラノベまで興味の赴くままに幅広く読んでいます。
ここ数年、本をたくさん読むようになり、それが高じて書評ブログを始めました。基本的には新しく刊行された話題の本を書評としてまとめるようにしています。
同時に始めたTwitterでブログの更新情報や読書で得た気づきをつぶやいているので、こちらもチェックしてみて下さい。