TED式・スーパープレゼンを学べる1冊!
2015年に再生回数が年間10億回を突破したTEDトーク。最近では日本のバラエティ番組でもオマージュされるくらい、その存在は広く知られるようになりました。
TEDとは、テクノロジー、エンタテインメント、デザインの3分野を結び付け、価値あるアイデアを世に広めることを目的として開催されるスーパープレゼン・カンファレンスのこと。
登壇者は著名人ばかりでなくまったく無名の素人もおり、18分という短い時間で観客に自分のアイデアを伝えるべく、みな念入りに準備してくることで知られています。
本書は、そんなTEDの代表兼キュレーターであり、『フリー』や『MAKERS』といったビジネス書のベストセラー作家としても有名なクリス・アンダーソンが著したTEDの公式ガイドです。
起業家のように「アイデアで世の中を変えたい」と思っている人たちにとって、人々の共感を生み、心を動かし、実際の行動にまで移してもらえるようなプレゼンテーションスキルは、身につけなければならない重要な課題です。
世界で注目されるカンファレンスにおける一流プレゼンテーターたちのノウハウについて語られた本書は、まさにプレゼンテーションスキルを学ぶ上で最適な一冊と言えるでしょう。
1. 価値あるアイデアは誰もが持っている!
聴衆の記憶に残るプレゼンをする上で、最も重要なのは「何か価値のあることを、あなたにしかできないやり方で語ること」です。
こういうと「自分には人に聞かせるような特別な経験なんてない」「人前に立って聴衆を感動させるような話などできない」と思われるかもしれません。
しかしパブリックスピーキングで本当に大切なのは、自信でも、存在感でも、口のうまさでもなく、「語る価値のある何か」を持っていることだと著者は言います。そしてその「何か」は、誰もがもっているはずだと。
なぜならあなたのこれまでの人生はあなたしか経験しておらず、そこには人に伝えるべき価値のあるアイデアが眠っている可能性があるからです。
世界中であなただけにしかできないものがひとつある。それはあなた自身の一人称の人生経験だ。昨日あなたが見た一連の出来事と、経験した一連の感情は、文字通りあなただけのものた。70億人の中で、その経験をしたのはあなたしかいない。(P.30)
こうした経験から引き出される洞察は、十分伝える価値のあるアイデアとなり得ます。なぜなら「最高のトークの多くは、個人的なストーリーとそこから引き出される教訓に基づくもの」だからです。
大切なのは、どれにその価値があるかを見極めることです。人はいつも内側からしか自分を見ていないので、他人にはすごいと思えることが、あなた自身には見えていないのかもしれません。
あなたの経験のなかで、他の人が興味を持ったり、誰かの役に立ったりするような「何か」がないか突き詰めて考えてみましょう。
そのアイデアがありきたりなものであっても大丈夫。重要なアイデアであれば、あなただけが経験した新鮮なストーリーで包むことによって、素晴らしいトークにできるからです。
では自分の持つ「価値あるアイデア」を、どのように人に伝えれば、記憶に残るプレゼンになるのでしょうか。
2. スルーラインを明確にしよう!
最優先すべきは「スルーライン」を明確にすることです。
「スルーライン」とは演劇や映画や小説の分析に使われる言葉で、一つひとつの物語の要素をひとつにまとめる「一貫したテーマ」のこと。
優れたトークは「話し手が案内人に人となって、聞き手と一緒にたどる旅のようなもの」だと著者は言います。
どこに向かっているかがわかっていれば、観客はついて行きやすくなります。
スルーラインは、話し手が築こうとするアイデアのすべての要素を強く結びつけるひもか縄のようなものだと思ってほしい。(P.51)
たとえば、TEDの人気トークとそのスルーラインとして下記のものが紹介されています。
- ・選択肢が増えると幸福度は下がる
- ・弱さは大切な宝物で、隠さなくていい
- ・子供のものすごい(おもしろい)創造性に目を向ければ、教育の可能性が一変する
- ・ふりをしていると本物になれる
- ・オンライン動画が学校をより人間的にし、教育に革命を起こす
スルーラインをきちんと描き、伝えるべきことの的を絞ることで、インパクトは格段に強まります。
その際、著者はスルーラインを15ワード以内でまとめてみることを勧めています。「聞き手の中に植え付けたい具体的なアイデアはなにか?」「観客に覚えてほしいポイントはなにか?」を考え抜き、15ワードでしっかりと内容を伝わるスルーラインを作りましょう。
ベストセラー作家のエリザベス・ギルバートは、いちばん大切なのは自分の中に深く根を下ろしたトピックを選ぶことだと言います。
あなたが知っていることを話さないとだめ。よく知っていて心から愛していることを。あなたの人生でいちばん大切なことを聞きたいの。これから流行りそうななにかじゃなくてね。どこかから持ってきた斬新で過激な仕掛けなんかじゃなくて、あなたが長年温めてきた情熱を教えてほしい。私はきっと虜になると思う。(P.68)
尚、本書では「スルーラインをつくる際のチェックリスト」として以下の10個が記されています。仕事のプレゼンテーションでも活用できるチェックリストなので、ぜひ参考にしてみてください。
□ それは自分が情熱を持っているトピックか?
□ 好奇心を刺激するか?
□ この知識は観客にとって大切か?
□ このトークは贈り物か、それとも頼み事か?
□ 情報は新鮮か? すでに知られているものか?
□ 与えられた時間に、必要な事例を上げてそのトピックを十分に説明できるか?
□ 観客の時間を無駄にしないだけの知識を持っているか?
□ そのトピックを語るだけの信用が自分にあるか?
□ そのトークを15ワードにまとめたらどうなるか?
□ その15ワードで、自分のトークに興味を持ってもらえるか?
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3. アイデアが伝わる「構成」を考えよう!
スルーライン同様に重要なのが「構成」です。構成とは、柱となるスルーラインをどのような話の流れで、どのような実例や逸話、事実によって肉付けするかを考えることです。
以下は、本書執筆時点でもっとも再生回数の多いTED登壇者であるケン・ロビンソン卿が採用している構成です。
- A イントロダクションーこれからなにを話すかを紹介する
- B 背景ーなぜこの問題が大切なのかを説明する
- C 中心になるコンセプトを語る
- D 実際にどんな影響が考えられるかを予想する
- E 結論で締める
もちろんどのように構成するかは当然トークによって異るので、この構成にすれば大丈夫というものではありません。
優れたトークにこれというひとつの型はない、ということだ。(中略)ひとつの方程式をあてはめようとすれば、おそらく逆効果になる。聞き手はそれを見抜き、操られていると感じてしまう。
実際、一度うまくいった方程式があっても、いつまでもうまくいくとは限らない。なぜなら、新鮮さこそ、優れたトークの魅力だからだ。(P.2)
「スルーライン」を作ったら、すべての要素がはっきりとそこにつながっているような最適な「構成」を考え抜くことが大切です。
まとめ
本書はTED式のプレゼンテーションノウハウを学べる一冊ですが、その学びはビジネスプレゼンの現場だけではなく、Webメディア運営者や編集者・ライターにとっても有益です。
なぜなら「聴衆に伝えるべき価値ある情報とは何か?」「どのように伝えればわかりやすく、記憶に残りやすくなるのか?」といったノウハウは、そのまま書籍や記事コンテンツの「読者」に対しても当てはめることができるからです。
その有効性は、本書の冒頭を読むだけで実感できるでしょう。なぜならほぼ全てのセンテンスにマーカーを引きたくなるほど、心が揺さぶられてモチベーションが高まるような言葉が詰まっているからです。
気になる方はぜひ、冒頭文だけでも目を通してみてください。
モデルプロフィール
・名前 :吉田ももみ
・生年月日 :1995.09.21
・出身 :大阪府
・職業 :大学生
将来の夢 :IT×教育分野で起業、東南アジアでアパレルブランドを立ち上げる
・Twitter :@moo3oom_
・instagram :@moo3oom_
ご協力いただいたお店
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