企業が競争力を維持・向上させるためには、人的資本経営が欠かせません。従業員の知識やスキルを活かし、企業価値を高めることは、単に業績向上を目指すだけでなく、投資家や市場からの期待に応えるための重要な要素です。特に近年、人的資本情報の開示が求められる中で、企業はその透明性を高め、戦略的な人材活用を示す必要があります。
さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、HRSaaSを活用したデータ連携の自動化が進みました。これにより、タレントマネジメントを含む人事施策全体を最適化し、企業の持続的成長を支える基盤を構築することが可能になったのです。
この記事では、人的資本経営が注目される背景を整理するとともに、その重要性や課題、さらにHRSaaSによる自動化を活用した解決策について詳しく解説します。
人的資本経営の重要性が、日本で声高に言われている理由
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人的資本経営に関する話題は、情報開示の義務化が開始された2023年3月ごろから、日本企業におけるホットテーマとなっています。
これにより、人的資本やサステナビリティ情報と呼ばれる「非財務情報」が、企業の業績や企業の価値に対して、直接的な影響を及ぼし始めています。
日本経済新聞社の記事によると、従業員の知識やスキルの向上等、特に人に関する情報が、経営上で重要な要素になっているようです。(参考:日本経済新聞/人的資本、決算揺るがす 本格的な「財務情報」に)
さらには、数年前から、将来の財務状況に影響する「未財務情報」に関しても、企業価値を判断する上で重要な指標としてみなされるようになってきました。
上記から、日本の大手企業だけではなく、中小企業においても、人的資本情報の活用がますます広がっていくことが予想されます。
人的資本が注目されるようになった社会的背景
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世界では、日本に先立って人的資本情報に注目が集まっていました。
注目されるようになった大きなきっかけとして、2008年に起きたリーマンショックがあると言われています。米国市場においては、リーマンショック以降に金融資本主義が大きく批判され、非財務情報の重要性が言われるようになりました。
2020年には、S&P500(スタンダード・アンド・プアーズ500種指数:S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカの代表的な株価指数のこと)に組み込まれている企業において、その企業価値の90%は「非財務資産」であるというレポートも出ています。
実際に、米国市場の時価総額に占める「無形資産」の割合は、年々増加しています(以下グラフ参照)。
このような背景から、投資家の多くは、一般的な財務情報だけでなく非財務情報も重要視するようになってきました。今後、人的資本情報をはじめとしたあらゆる情報の開示要求はさらに高まっていくと言えるでしょう。
中小企業における「人的資本経営」に対する意識感の高まり
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日本でも、人的資本情報開示の義務化が施行されたことから、大手企業を中心に人的資本の情報開示が進んでいますが、事業にインパクトをもたらすような人的資本情報を可視化・開示できている企業はまだまだ少ないと言えるでしょう。
また昨今では、義務化の対象である大手企業だけではなく、中小企業においても、人的資本経営を重要視している傾向があります。調査によると、中小企業において人的資本経営を重要視している企業は約58%に上ることがわかっています。
一方で、可視化・開示に向けて取り組む企業は約11%と、人的資本経営を重要視しているものの、既に可視化・開示への取り組みを行っている企業は、まだまだ少ない現状にあることがわかっています。
中小企業における、人的資本情報の可視化に向けた課題
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このような現状がある中で、人的資本経営における中小企業の課題は多くあるようです。
調査によると、人事担当者が感じる「人的資本経営を進める上での課題」として多くあった意見は、次のようなものでした。
- 業務過多で優先順位が上がらない
- 採用難など、喫緊の取り組みに対する課題感が大きく、思うように進まない
- 経営陣の理解が乏しい
人的資本経営を重要視する一方で、現状は人手不足や業務過多により、人的資本経営に対して本腰を入れられないという課題感があるようです。
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