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【医療DXの今】デジタル化による健康保険証の廃止と医療保険の未来


日本の医療システムは国民皆保険制度と高度な医療技術で高く評価されていますが、少子高齢化と医療費の増加に応じた改革が求められています。日本では、医療のデジタルトランスフォーメーション(医療DX)が進んでおり、特に健康保険証のデジタル化が注目されています。2024年12月1日には従来の保険証が廃止され、マイナンバーカードへの一本化が始まります。この取り組みはオンライン資格確認システムの普及に支えられ、多くの医療機関が導入済です。厚生労働省は、医療DXを通じて医療サービスの質向上や業務効率化、医療データの活用促進を目指していますが、移行に関する慎重な声も出ています。健康保険組合や全国医療情報プラットフォームなども、より効率的で患者中心の医療を実現するために重要な役割を果たしています。

日本の医療システムは、高度な医療技術と国民皆保険制度により世界的に高い評価を受けてきました(参考:日本の医療の現状/日本医師会公式ホームページ)。しかし、少子高齢化の進行や医療費の増大、医療従事者の働き方改革など、医療分野も様々な課題に直面しています。

これらの課題に対応し、より効率的で質の高い医療サービスを提供するために、医療分野のデジタル変革、いわゆる「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」が急速に推進されています。

その一環として、日本人の生活に根付いてきた健康保険証の発行が2024年12月1日に終了し、マイナンバーカードを保険証として使用する仕組みに移行します。

この施策の関連法案に関しては、記事執筆時点(2024年11月18日)の施策導入間近になっても反対派や慎重派の声も少なくありませんが、本記事では、健康保険証のデジタル化に関して、政府の発表を公平に紹介する形で改めて確認していきます。

さらには、医療DXの現状と未来について詳しく見ていきますので、どうぞご参考にしてください。

医療DXとは

医療DXとは

医療DXとは、「医療サービスや医療システムの変革により、国民自身の医療予防促進やより良質な医療やケアを受けられる世界の実現」をデジタル技術を活用して目指す取り組みです。

そのため、単に紙を電子化したり、新しいシステムを導入するといった形式的なデジタル化にとどまらず、医療のあり方そのもの、さらには社会や生活の形を変えることを目指しています。

日本政府が医療DXで実現しようとしているのは次の5点です。

  1. 国民の更なる健康増進
  2. 切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供
  3. 医療機関等の業務効率化
  4. システム人材等の有効活用
  5. 医療情報の二次利用の環境整備

引用:医療DXについて/厚生労働省公式ホームページ

現在進めている具体的な取り組みとしては、電子カルテの普及と標準化、医療情報のプラットフォーム化、そして今回のテーマである保険証のデジタル化などが挙げられます。

オンライン資格確認システムの普及

オンライン資格確認システムの普及

健康保険証のデジタル化は、「オンライン資格確認」の導入によって可能になりました。オンライン資格確認とは、マイナンバーカードまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報の確認ができるシステムです。

2021年10月から本格運用が開始され、2023年4月からは保険医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の導入が原則義務化されました。

厚生労働省の発表によると、2023年10月時点で、全国の医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の運用開始施設数は203,144施設に達しています。これは、全国229,144施設中88.5%にあたります。

2024年12月1日には健康保険証が原則廃止され、「マイナ保険証」への一本化が予定されています。マイナンバーカード1枚で健康保険証の機能を含む様々な行政サービスが利用可能な状況になっているのです。

オンライン資格確認システムの導入は、生活のさらなる安全安心につながると期待されています。

実際に、2024年1月の能登地震が起きた際には、オンライン資格確認システムの強みが発揮されました。避難した人々の多くは保険証やお薬手帳を所持していませんでしたが被災地の医療機関や薬局で「オンライン資格確認システム」の「災害時モード」を活用することにより、患者の名前や生年月日などの基本情報をもとに、薬剤情報あ診療情報、特定健診情報などを確認することができたのです。

マイナ保険証の利用率の低迷が続く中での廃止には批判の声も根強く、スムーズな移行が実現するかは不透明ですが、日本の医療の大きな転換点であることは間違いありません。

健康保険組合のDX事例

健康保険組合のDX事例

健康保険証のデジタル化をはじめとする大きな変革期を迎える中、健康保険組合も独自のDXを推進しています。これらの取り組みは、被保険者の健康管理を支援するとともに、保険者の業務効率化に貢献しています。

デジタル技術を活用した新たなサービスや業務改善が進むことで、被保険者の利便性向上と保険者の業務効率化が期待されます。同時に、蓄積されたデータを活用した健康増進施策の立案など、より効果的な保険運営につながる可能性も有していると言えるでしょう。

本章では健康保険組合が取り組んでいる、具体的なDX事例を紹介します。

大和総研と法研の協業による組合向けDX推進

株式会社大和総研と株式会社法研は、健康保険組合向けのDX推進を協業で開始しました。この取り組みでは、健康保険組合の業務効率化と被保険者の健康増進を目的としています。

具体的サービスの提供内容は以下の通りです。

  • 健康保険組合向けの業務効率化支援
  • データ分析による被保険者の健康リスク把握
  • AIを活用した保健指導の最適化
  • オンラインヘルスケアサービスの提供

ヤマトグループ組合員向け「Ys HEALTH WEB(マイヘルスウェブ)」

ヤマトグループ健康保険組合が提供する「MYs HEALTH WEB」は、被保険者が自身の健康情報をオンラインで管理できるサービスです。

主な機能には以下のようなものがあります。

  • 健診結果の閲覧
  • 健康記録(体重、血圧等)の管理
  • 歩数計連携による運動記録
  • 健康相談や医療費通知の閲覧

日本における医療DX施策例

日本における医療DX施策例

健康保険証のデジタル化は日本の医療DXにおける象徴的な変化ですが、これは社会全体で進む包括的な変革の一部に過ぎません。

医療DXは、医療システム全体を効率化し、患者中心の医療を実現するための幅広い取り組みを含んでいるのです。

本章では、健康保険証のデジタル化以外の重要な医療DX施策例として、全国医療情報プラットフォームの構築と電子カルテ情報の標準化について解説します。

全国医療情報プラットフォームの構築

健康保険証のデジタル化と並行して、より包括的な医療情報の共有・活用を目指す「全国医療情報プラットフォーム」の構築が進められています。

これは、オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、自治体検診情報、電子カルテ等の医療(介護を含む)全般にわたる情報について共有・交換できる全国的なプラットフォームです。

このプラットフォームの構築により、以下のような効果が期待されています。

  • 生涯にわたる健康・医療データの一元管理
  • 医療機関間での円滑な情報共有による医療の質の向上
  • 緊急時や災害時における迅速な医療情報の確認
  • 健康・医療データの二次利用による研究開発の促進

電子カルテ情報の標準化

全国医療情報プラットフォームの構築と同じく、並行して進められているのが、電子カルテ情報の標準化です。

現状では、電子カルテシステムはベンダーごとに異なる仕様で開発されており、医療機関間での情報共有が困難な状況にあります。

厚生労働省は、2023年11月に「文書情報(3文書)及び電子カルテ情報(6情報)の取扱について」を公表し、電子カルテ情報の標準化を推進しています。

標準化された電子カルテ情報を全国医療情報プラットフォームで共有することで、医療機関間での円滑な情報連携が可能となり、より質の高い医療サービスの提供が期待されるでしょう。

具体的な文書情報(3文書)及び電子カルテ情報(6情報)は以下の通りです。

文章情報(3文章)

  1. 診療情報提供書
  2. 退院時サマリー
  3. 健診結果報告書

電子カルテ情報(6情報)

  1. 傷病名
  2. アレルギー情報
  3. 感染症情報
  4. 薬剤禁忌情報
  5. 検査情報
  6. 処方情報

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