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肌の水分保持力を大幅に改善するヘパリン類似物質とは?








ヘパリンは体内でも作られる成分




ヘパリンが発見されたのは1916年の事。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の医学生が、犬の肝臓から発見した血液が固まるのを防ぐ成分がヘパリンです。

人の体内でも肝臓にて作られ、細胞の増殖や脂質の代謝などにも関与しています。



そのヘパリンに似た成分として作られたものが「ヘパリン類似物質」で、様々な効果からスキンケアに有効とされ、肌の軟膏外用薬としても用いられています。




ヘパリン類似物質のスキンケア効果




ヘパリン類似物質は特に高い保湿効果が注目される成分ですが、その他にもスキンケアに有効ないくつかの作用があります。




ヘパリン類似物質の高い保湿作用




ヘパリン類似物質は、色々な保湿成分の中でも特に高い保湿作用を持っています。

保湿作用としてはワセリンなどのように単純に肌に蓋をするのではなく、角層(肌の表面部分)に浸透した上で水分を集め(吸湿し)、角層を潤わせるという作用。タイプとしてはヒアルロン酸などと同じようなタイプの保湿機能です。



ヘパリン類似物質が配合された医療用外用薬を開発している製薬会社の研究によると、各層水分量が少ない肌にヘパリン類似物質を塗布すると、塗布してから2日程度で健康的な肌よりも肌の水分量が増加し、外用軟膏としてよく利用されるワセリンや尿素よりもかなり高い水分量となる事が示されています。




血液の凝固を防ぐ事によるケロイドなどの予防




ヘパリンはケロイド(炎症後の肌の盛り上がり)の予防や治療にも用いられます。

元々抗血液凝固の性質を持つ成分として見つかっているヘパリンを塗る事で、炎症部分で血液が凝固するのを防ぐ事でケロイドなどのトラブルが発生するのを防いだり、肌が盛り上がった状態で固まってしまう瘢痕(にきびのクレーターなど)を防いだりする事が出来ます。



ただし血液の凝固を防ぐという作用がある事は副作用として働く事もあり、潰瘍やびらん(ただれている場所)にヘパリン類似物質を使ってしまうと、血液が固まらず中々回復しないか症状が悪化する場合があるので注意が必要です。




ヘパリン類似物質が配合された「ヒルドイド」クリームの処方が社会問題に




ここまでにも紹介している通り、ヘパリン類似物質は医療用の保湿外用薬としても利用される成分で、「ヒルドイド」という軟膏がこのヘパリン類似物質を配合したものになっています。

ヒルドイドは通常、外傷後に傷跡を残さないように使用したり、皮脂欠乏症という皮脂の分泌量が少なすぎて肌が乾燥してしまうという病症の改善に使用される薬で、病症の改善のため適切な処方であれば、健康保険が適用されます。



しかし、近年このヘパリン類似物質がスキンケアに有用という点から、病気ではなく美容目的のために処方を求める人が増えてしまい、年間で100億近い金額が美容目的なのに、保険適用として使われてしまったとも言われています。

中には自分で利用する分だけではなく、処方されたものを転売するなどで利益を得ている人物の可能性などもあり、社会問題の一つともなりました。




ヒルドイド軟膏を保険適用から外そうという動きも




こうした展開から、ヒルドイド軟膏を保険適用から外すというような動きもありますが、そうすると困るのは本当に皮膚欠乏症などで悩んでいる人達で、財政の圧迫につながってきている健康保険組合側と、医療的な有用性の間でどのようにこの問題を解決していくかが議論されています。



肌への安全性も高く、ケア効果も充分なものが保険適用で購入できるとなれば飛びつきたくなる気持ちも理解は出来ますが、健康保険はあくまでも心身の健康を目指す「医療」を対象としたもの。

ヘパリン類似物質を利用する場合は、成分が配合された一般流通のスキンケアコスメを購入するようにしましょう。



一部で保険ではなく自費であればという話もありますが、自費での処方も基本的に行われていないようなので、クリニックなどに詰め寄るのもやめておきましょう。


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