シミの種類は大きく分けて5個+1個
一般的に「シミ」として認識される症状は、その原因と出来かたによって大きく以下の種類に分類されます。
- 老人性色素斑(いわゆるシミ)
- 雀卵斑(そばかす)
- 肝斑(かんぱん)
- 炎症性色素沈着(傷跡などの残り)
- 脂漏性角化症(いぼの一種)
- ほくろ(シミと似ていても構造は別物)
老人性色素斑の原因と解消方法
老人性色素斑は、一般的に最もイメージされやすい「シミ」の事。
輪郭がくっきりとしていて、色は茶色から黒。大きさは小さいものは数ミリですが、大きいものでは数センチ四方となる事もあります。
老人性という名称ですが、これは加齢によって出来やすくなるという程度の意味合いで、老人のみに出来るというものではありません。肌の代謝が低下する30代以降になると、比較的出来やすくなります。
老人性色素斑は紫外線対策が重要
老人性色素斑が出来てしまう最大の原因は「紫外線」。とはいっても、紫外線を浴びたらすぐにシミができるというわけではありません。
老人性色素斑になるまでには、以下のような経緯を辿ります。
① 紫外線で肌がダメージを受ける(ターンオーバーが乱れる)
② 紫外線の防御のためにメラニンが作られる(日焼け)
③ 作られたメラニンが肌にたまる
④ メラニンが肌の奥の方からこびりついて蓄積していく
メラニンは肌を守るために重要な役割を持つため、なくてはならないもの。
メラニンは通常、日々作られては垢と一緒に排出されるという事を繰り返しているのですが、紫外線によって肌の細胞がダメージを受け、この排出する機能が弱まる事でメラニンが肌の中に蓄積される状態になってしまうのです。
以上から、シミを作らない為にはメラニンを消す事ではなく、肌のダメージを防ぐケアが重要であり、そのために紫外線対策が大切と言えます。
肌の力を整えつつ、しみを薄くするケアを
老人性色素斑を解消するためには、まず肌の機能を高めて正しくターンオーバーを促す事が必要です。
そのためには紫外線対策によるダメージのケアはもちろんですが、食事や睡眠といった生活環境の改善や、正しい洗顔と保湿ケアを心がけるようにしましょう。
その上で、EGFやプロテオグリカンといった肌のターンオーバーを促進する美容成分を利用してみたり、ケミカルピーリングやフェイシャルエステなど利用してみたりするのも良いでしょう。
肌の力を回復させる事が出来れば、そこにプラスでビタミンC誘導体などシミの色素を薄くしていくようなケアも取り入れる事で、ある程度自力で解消する事も可能です。
医療ケアを利用すればもっとキレイに解消できる
ただし、老人性色素斑では肌の奥の方に固着してしまったメラニンが、どうしても肌のターンオーバーでは排出できない状態になっている事もあるため、完全に解消するためには皮膚科など医療機関でのケアが必要となる場合もあります。
医療ケアとしては、レーザーでしみの色素がくっついた部分の細胞を破壊し、健康な細胞の再生を促す方法や、ハイドロキノンというメラニンの分解は予防を行う美容成分が高濃度で配合された軟膏を利用する事で、シミをキレイに解消していく方法があります。
こうした治療は自費診療のため費用も高くなりがちですが、1万円程度の低価格でもすぐに解決できる治療を提供しているクリニックなどもありますので、是非ケアの一つとして取り入れましょう。
雀卵斑(そばかす)の原因と解消方法
そばかすは鼻や頬周囲を中心に、細かい点状の茶色いシミが広がる症状。医療用語では雀卵斑(じゃくらんはん)と呼びます。
そばかすは主に遺伝的な原因によって出来るもので、年を取ってから出来る老人性色素斑に対し、幼少期に発生する事が多いもの。逆に、年をとると徐々に消えてなくなるケースが多く、年をとってから発生するのはレアだといえます。
日本人よりも白人にみられやすく、黄色人種ではそばかすがあってもそこまで目立たないケースも多いシミです。
遺伝が原因となるため、両親のどちらかにそばかすがある(あった)場合は、子供もそばかすを発生する可能性があります。
悪化させないためには紫外線対策が必要
そばかすもメラニンによって着色しているという点では老人性色素斑と同じですので、色が濃くなったり、範囲が広がったりしないようにするためにはしっかりと紫外線対策を行う事が必要。
紫外線対策を怠ると、年をとってからそばかすが目立つようになるというケースも多くなります。
ただし、老人性色素斑はしっかりとケアすれば予防できるのに対し、そばかすは遺伝的な原因のため完璧な紫外線ダメージのケアをしていても100%の予防は出来ません。
あくまでも悪化を防ぐというケアや、色を薄くするという目的でのケアになります。
そばかすにも医療ケアが有効
そばかすの色を薄くするためには、老人性色素斑と同様「ハイドロキノン」やレーザーによる治療が有効です。
ただし、老人性色素斑は一度しっかりとメラニンを取り除けば解消できるのに対し、そばかすは遺伝性によるものであるため、一度消してもゆっくりと再発してきます。
一番キレイに保つためには、最初にレーザー治療で色素を除去してしまった後、ハイドロキノンなどを継続して利用する事でそばかすが濃くなるのをしっかり防止するという方法。
美白コスメなどのホームケアではそばかすを少し薄くする事は出来ても、消す事までは難しいので、完全にそばかすがない肌を目指すのであればレーザーを取り扱っているような皮膚科に相談してみましょう。
肝斑(かんぱん)の原因と解消方法
肝斑は主に30代以降の女性に発生しやすいシミ。
目の下、頬骨にそって薄くぼんやりと茶色から黒の色がつく状態になるのが特徴で、輪郭がぼやけて「なんとなく黒い」「目の下だけくすんでいる」というような印象で気付くタイプのシミです。
肝斑の原因は実は正確に分かっていないのですが、男性にはあまり発生しない事や閉経後の女性では解消する事が多いという点、そして、炎症を抑える薬が解消に有効な働きを魅せる点などから、恐らく女性ホルモンのバランスなどが影響して、肌の奥で炎症状態を引き起こして発生しているものと考えられています。
ホルモンバランスの乱れが影響しているため、それまで肝斑が無かった人が、経口避妊薬(ピル)などを利用しはじめる事で発生するような場合もあります。
肝斑の治療はトラネキサム酸の服用が中心
肝斑の治療は「トラネキサム酸」という成分が配合された内服薬の服用が主です。
トラネキサム酸は口内炎の治療など、炎症を鎮めるために利用される医薬品で、トラネキサム酸を適量服用し続ける事で、肝斑によるシミが作られなくなります。
出来たシミを消す効果はありませんが、新しく肝斑が作られるのを防止する事で、あとは肌のターンオーバーによってシミが無くなり、肝斑を解消する事が可能です。
ただし、薬の服用をやめれば再度新しい肝斑が作られ始めるため、肝斑の解消にはトラネキサム酸を服用し続ける必要があるという難点があります。
現在の所、肝斑を根本から解消する方法はありませんので、あとは生活習慣の改善やしっかりとした保湿ケアの実施で、肝斑が悪化しないようにするという対策になります。
肝斑はレーザーや光治療がNG(レーザートーニングを除く)
老人性色素斑やそばかすの除去に有効なレーザー治療ですが、肝斑の場合は基本的にNG。
理由として、レーザーや光による治療は肌への刺激が強く、肝斑を解消するどころか悪化させるケースが多いためです。
ただし、唯一例外として利用できるのが「レーザートーニング」という技術を利用したレーザー治療で、従来のレーザーが肌の奥まで強い出力で光を照射し、メラニンのある細胞を破壊していたのに対し、レーザートーニングでは弱い光を分散させて肌に充てる事で、肌の浅い所にあるメラニンを分解していくというイメージのもの。
肌の奥まで照射を行わないため、肌が刺激を受けずシミが悪化するという事になりません。
しかし、レーザートーニングは肌の浅い所にあるシミ解消に留まるため、レーザートーニングだけでシミを完全に解消する事は困難。そのため、肝斑を治療する際は基本的に内服薬による新しい肝斑シミの予防と、レーザーにより表皮に近い部分のシミ解消という2つを併用する事で行います。
炎症性色素沈着の原因と解消方法
ニキビ跡や怪我をした跡など、炎症を引き起こした部分で赤みや茶色い色が定着してしまう場合がありこれを「炎症性色素沈着」といいます。
特に、炎症が起きた部分で肌が刺激を受けやすくなり、メラニンが生成されて茶色い色素が残ってしまう色素沈着はシミと見た目が似ているため、見ただけでは老人性色素斑と区別がつかない場合も多いです。
予防には皮脂や炎症のケアが大切
炎症性色素沈着を引き起こす原因の一つがニキビ。ニキビは皮脂が毛穴につまって、そこにアクネ菌などが増殖する事で引き起こされる炎症ですが、この炎症が悪化してしまう事で真皮までダメージが及ぶと、色素沈着を引き起こしやすくなります。
炎症性色素沈着を予防するためには、こういったトラブルをまず回避しなければなりません。ニキビの予防であれば皮脂が過剰にならないようなケアが必要ですし、怪我などで炎症を引き起こしてしまった場合は、早めに殺菌など炎症が悪化しないようにしっかりとケアを行う事が大切です。
ニキビ跡の解消についてはこちら
脂漏性角化症の原因と解消方法
脂漏性角化症とは、見た目としてはシミが盛り上がって出来ているような形で、ぱっと見では色の薄いホクロという印象を持ちやすいようなシミです。
加齢によって特に40代以降に発生する「できもの(良性腫瘍)」の一種でもあり、老人性色素斑から脂漏性角化症になる場合もあります。
ホームケアでの解消は困難
脂漏性角化症は単純にメラニンが蓄積されているだけではなく、肌の細胞が異常を引き起こしている状態のできものですので、自宅での美白ケアによって解消していく事は困難。
紫外線対策をしっかりと行う事で悪化や発生を防ぐ事はできますが、出来てしまったものを消すためには病院でのケアなどを行う必要があります。
レーザーや液体窒素での除去
脂漏性角化症の場合、老人性色素斑のようにレーザーを照射してメラニンの蓄積部分を分解するという方法が主に用いられますが、皮膚科で「できもの」を取る時のように、液体窒素で患部を凍結して取り除いてしまうという方法もあります。
液体窒素での治療は保険適用のため、安価で治療が行える事はメリットですが、レーザーと比べて綺麗に治りにくいというデメリットもあります。
シミとほくろの違い
最後に、シミではありませんが形状によって間違われやすいのがホクロ。
見た目には似ていても構造は全く違い、シミは「肌にメラニンが蓄積したもの」であるのに対し、ほくろは「メラニンを作り出す細胞が変化したもの」となっています。
そのため、シミはメラニンを排出していけば自力のケアでも薄くしていく事が可能ですが、ほくろはメラニンそのものであり、自然と排出されるという事がまずないため、ホームケアが意味をなさないという違いがあります。
シミとほくろの違い詳細
シミの種類をしっかりと見極めて対策を!
以上のように、一口にシミと言っても紫外線、遺伝、ホルモンバランスなどその原因も様々で、それぞれの原因に合わせた対策を行う事が、予防にも改善にも大切です。
シミをホームケアで改善するためには早めの対策で悪化を予防する事が重要ですので、間違ったケアでシミが改善せず悪化してしまうという事が内容に、シミの種類を見極めてしっかりと対策を行いましょう。