ニキビとホルモンの関係
ニキビの原因は「皮脂が毛穴につまる事」というのは殆どの人がご存知かと思いますが、そもそも皮脂が詰まるようになる原因に、ホルモンバランスの乱れがあります。
ホルモンというとあまり馴染みがない言葉ではありますが、ホルモンとは簡単にいえば身体の色々な箇所に、脳等が送り付ける命令文のようなもの。
皮膚が乾燥すれば肌に潤いを保つ「皮脂」の分泌を促すようなホルモンが作られますし、肌がダメージを受ければ新しい肌が作られる事を促進するホルモンが作られます。
ホルモンには多くの種類があり、よく聞く所でいえば「女性ホルモン(エストロゲンなど)」や「男性ホルモン(テストステロンなど)」がありますね。
女性ホルモンや男性ホルモンは、性別がついてはいますが、女性であっても男性ホルモンは分泌しています。
ストレスなどでホルモンバランスは崩れてしまう
通常、ホルモンはそれぞれ体にトラブルが起こらないよう最適な分量で分泌されているのですが、例えば強いストレスを受けるとストレスに対抗するために男性ホルモンが優位になるなど、環境の変化などによって何かのホルモンが強く働くようになります。
これがホルモンバランスの崩れと呼ばれるもので、ストレス以外にも睡眠不足や気候変化、恋愛などによってもホルモンのバランスは変化します。
男性ホルモンが優位になると肌が乾燥し皮脂分泌が増える
ホルモンバランスが崩れるという中でも特にニキビに影響するのが、男性ホルモンの増加によるバランス崩れです。
男性ホルモンは主に「戦うためのホルモン」で、外部からの刺激から身を守るため、肌が水分を失って硬くなり、皮脂の分泌が増加するようになります。
肌が硬くなると毛穴も収縮しにくくなるため角栓が詰まりやすくなり、更に皮脂の分泌も増加しているため、ニキビが出来やすい状態になってしまうのです。
男性ホルモンの働きを弱めるためのホルモン療法でニキビを根本解消
以上のように、男性ホルモンの働きが強くなる事でニキビが出来やすい肌の状態となるのであれば、男性ホルモンの働きを弱めて正常化すれば、肌質そのものからニキビが出来にくい状態を作る事ができます。
そこで行われる治療法がホルモン療法で、基本的な考えとしては女性ホルモンを直接体内に取り入れるか、男性ホルモンの働きを弱める事で、男性ホルモンが強くなっている状態を解消してホルモンバランスを整えるというもの。
出来てしまったニキビの殺菌や、ターンオーバー促進によるニキビの改善とは異なり、肌そのものの状態を変えていく事ができるため、ニキビを根本から治していく事が可能となります。
ホルモン療法には内服薬と外用薬を使用した治療がある
ホルモン療法の具体的な方法としては、ピルのような女性ホルモン系の内服薬か、男性ホルモンの働きを弱める内服薬を服用して身体の内部からホルモンバランスを整えるものと、肌の外からホルモンを取り入れる、女性ホルモン軟膏(外用薬)を利用した方法があります。
症状の状態や医師の方針によって治療内容は変わりますが、どちらも併用して治療を行う事も多いようです。
内服薬によるホルモン療法でのニキビ治療
内服薬によるホルモン療法では、ピルや疑似ホルモン剤が利用されます。
ピルというと避妊のイメージが強いですが、医療では生理不順の改善などホルモンバランスを整えるためによく利用されるもので、利用方法を守れば副作用も少なく体質改善を行う事が可能です。
また、女性ホルモンそのものを服用するのではなく、男性ホルモンの働きを弱める効果の内服薬を利用する場合もあります。
内服薬の使用によってホルモンバランスが整うと、肌が水分を保ち柔軟になり、皮脂の分泌も減少するため、ニキビが出来にくい肌質へと改善します。
ニキビ治療の場合、ホルモンバランスを整えてニキビが出来にくい肌質を作る事が目的となりますので、基本的には投薬期間が短期間になるように実施されます。
外用薬によるホルモン療法
ニキビ治療の外用薬というと殺菌を目的としたものや、肌を柔らかくする軟膏を想像しますが、女性ホルモンが配合された軟膏を利用する事で、局所的に女性ホルモンを優位に働かせる事ができます。
外用薬の目的の内服薬と同じで、単純に出来てしまったニキビを解消するのではなく、肌質そのものを改善していくものとして使用されます。
ホルモン療法によるニキビ治療のメリット・デメリット
ニキビのホルモン療法については、以下のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】ニキビを根本から解消・改善する事が可能
他の治療方法と比較して、ホルモン療法の最大のメリットは根本からの解消・改善です。
出来たにきびを解消するだけではなく、肌質そのものを変化させていく治療のため、繰り返すニキビを止める事ができるというのは非常に大きいメリットではないでしょうか。
ただし、一度肌質が整っても生活習慣などに問題が残っていればまた同じ肌質に戻ってしまう事はあり、治療前の状態まで戻ってしまう確率も1~2割程度はあるようなので、ホルモン療法を行いつつ、生活習慣の見直しを行う事は必要です。
【メリット】重篤な副作用の可能性が少ない
ホルモン療法で利用される内服薬などには、安全性が高いものが利用されているため、他の抗生物質などを利用した治療法よりも重篤な副作用の可能性が低いとされています。
ただしピルの副作用に倦怠感や食欲の増加などがあるように、副作用が無いというわけではなく、あくまでも重篤な副作用の可能性が低いという事ですので、服用期間のある程度のトラブルは考慮する必要があります。
【メリット】生理痛なども同時に解消できる
ホルモン療法は、そもそも重い生理痛や生理不順など婦人科系の症状を改善するために用いられるものなので、そういった悩みを抱えている場合には同時に改善を行っていく事ができます。い
【メリット】にきび以外の箇所の肌質や髪質改善にも
ホルモン療法によって女性ホルモンの働きが優位になると、肌のキメが細かくなったり、髪質がよくなったり、女性らしい体型になったりというメリットもあります。
プエラリアなど体への作用に不安がある疑似ホルモンサプリなどを利用するよりも、医師監督の元で安全に女性ホルモンの働きを正常に保つ事が可能です。
【デメリット】治療期間が長い
ホルモン療法は、ニキビの改善が行われてくるまでに4か月程度。そこから治療完了まで、1年~2年程度の期間が必要であり、長期間にわたってしっかりと治療を継続しなければいけません。
この期間は薬の服用や通院が必要となりますし、妊娠もできなくなりますので、ある程度先のことまで考えた上で治療を開始するようにしましょう。
【デメリット】値段がそこそこ高い
ホルモン療法によるニキビ治療は、保険適用が認められていないため自費診療となります。
そのため、診察や薬にかかる金額が保険適用でのニキビ治療より高く、しかも途中で中止が難しいため継続してお金がかかる形となります。
費用は医院によって変わりますので、ホルモン治療が行えるクリニックのホームページなどで確認しましょう。
【デメリット】そもそも治療を受けられない場合がある
ホルモン療法は身体への作用が強いため、男性が利用する事は出来ないのは当然の事、太り過ぎや喫煙者などは治療を受けられない場合があります。
医院によって治療が行えるかどうかにも差がありますので、まずは一度相談してみましょう。
ホルモン療法と合わせて生活習慣改善を!
ホルモン療法によってホルモンバランスを整え、肌質を改善しながら、そもそもホルモンバランスが崩れてしまうような生活習慣を見直す事も大切です。
例えば慢性的な睡眠不足解消や、食べすぎなどの食生活改善。日常での適度な運動など、過度なストレスをためないような状況にする事が、ホルモンバランスを整えるために必要な改善となります。
また、良い恋愛や付き合いは女性ホルモンを優位にしてホルモンバランスを整える事にも有効!
病院だけではなく、自分で出来るホルモンバランス改善も取り入れながら、ニキビに悩まされないキレイな肌を目指して下さいね。