「肩こり」が起こるメカニズム
まずはどのようにして肩こりが起こるのか、そのメカニズムについて触れておきましょう。
肩こりの原因として、主に以下の3つが挙げられます。
- 悪い姿勢
- 精神的緊張やストレス
- 眼精疲労
これらによって引き起こされるのが、筋肉の過緊張による血行不良です。
血行不良により酸素や栄養素が組織に行き届かず、逆に老廃物が蓄積してしまいます。その結果として起こるのが「肩こり」です。
肩こり解消に必要な「2つの改善ポイント」とは…
それでは肩こりを解消させるには何が必要でしょうか。前述したように、肩こりを起こす要因として血行不良が挙げられるので、血流改善が必要となります。
血流改善にはストレッチが有効のように思えますが、それよりも筋トレが有効と言えます。なぜなら筋肉には「運動を起こす」という働きの他にも、血液やリンパ液を末梢から中枢へ向かって送り出す「筋ポンプ作用」があるからです。
特にふくらはぎなどの下肢の筋肉の機能が低下すると、脚に滞留した血液やリンパ液を中枢に向かって送り出すことができず、血流が悪くなってしまいます。そこで血流を改善して肩こり解消につなげるためには、下肢筋群を強化するエクササイズを行うようにします。
また、姿勢が悪いと、いくら下肢筋群を強化するエクササイズを行って筋ポンプ作用を高めたとしても、肩首まわりの血流は改善されないままと言えます。
上背部が丸まって、頭がやや前方に突き出た「猫背の姿勢」になると、頭の重さは通常の倍以上にまで膨れ上がると言われています。例えば体重が50kgの人であれば頭の重さはその10%、すなわち5kgとなるのですが、頭の位置がほんの数センチ前にずれただけで、10kg以上の重さにまで膨れ上がってしまうのです!
この10kg以上の頭を首まわりの筋肉が支え続けることになるため、筋肉は緊張した状態が続き血行不良を起こしてしまいます。そのため筋トレによる血流改善と合わせて、猫背の姿勢を改善させることも必要となります。
姿勢と血流を改善して、肩こり解消に導く「5つのエクササイズ」
肩こり解消につなげるには、筋トレによる血流改善と猫背の姿勢を改善させることが必要です。
では具体的にどのようなエクササイズを行ったらよいか、ご紹介していきましょう。用意しておきたいのは、ダンベル一組もしくは水を入れた500mlペットボトル2本だけです。なるべく滑りにくい床の上で、周りに障害物がない環境で行うようにしましょう。
では、始めていきましょう!
(1)肩甲骨内転筋エクササイズ
- うつ伏せになって両腕を肩のライン上に伸ばし、親指側を天井に向けるようにします。
- 胸を床から離し、その体勢を維持したまま、息を吸いながら肩甲骨を内側に寄せることで両腕を上げていき、肩甲骨内側に寄せた状態を1~3秒間キープ(写真上)。息を吐きながら両腕を床スレスレまで下ろしていきます(写真下)。この動作を繰り返すことで、肩甲骨内側の筋肉である「肩甲骨内転筋」に効かせることができます。
15~20回を1分程度の休憩を入れながら、3セット行います。
ポイント及び注意すべき点
肩甲骨内転筋ではなく腰の筋肉に効いてしまっている場合、上体を起こし過ぎてしまっていることが考えられます。そうすると腰への負担も大きくなってしまうので、あくまでもミゾオチから下の部分は床から離さないようにしましょう。
また、頭を上げてしまうと頚椎への負担が大きくなってしまうので、頭を上げないようにします。目線は斜め前方に向けるようにします。
(2)ベントオーバーローイング
- 両手にウエイトとしてダンベルもしくは水を入れた500mlペットボトルを持ち、足幅は腰幅程度にとります。
- 横から見てひらがなの「ての字」を描くイメージで、お尻を後ろに突き出しながら上体を床と向き合うまで前に倒していきます。手のひらを正面に向けて、両腕は真下に下ろします(写真左)。
- 息を吸いながら両手に持ったウエイトをわき腹に触れるまで引き上げ、更に肩甲骨を内側に寄せて胸を張るようにして1秒程度静止します(写真右)。息を吐きながら抵抗を受け止めるように、ゆっくりと両腕を下ろしていきます。
10回を1分間の休憩を入れながら、3~5セット行います。
ポイント及び注意すべき点
手ではなく肘で引き上げていくようにすると、背中の筋肉への効果が感じられるようになります。肘でウエイトを引き上げていくためには、エクササイズ中は肘がグリップの真上に位置するようにしましょう。
また、エクササイズ中は背中のラインをまっすぐに保つようにしましょう。そうすることで広背筋だけでなく、背骨に沿って走行している「脊柱起立筋」にも効かせることができます。
頭を上げてしまうと背中を反らしやすくなるので、肩甲骨内転筋群へのエクササイズと同様に頭を上げないようにします。
(3)スクワット
- 肩幅もしくは肩幅よりやや広めに足幅をとり、つま先はやや外側に向けるようにします。
- 両手を頭の後ろに組んで胸を張り、お尻を軽く後ろに突き出します。
- 息を吸いながら後ろに突き出したお尻を、膝のラインよりもやや下の位置までゆっくりと下ろしていき(写真左)、息を吐きながら立ち上がる動作を繰り返します(写真右)。そうすることでお尻の筋肉である「大殿筋」と太もも裏側の筋肉である「ハムストリングス」に効かせることができます。
10回を1分間の休憩を入れながら、3~5セット行います。
ポイント及び注意すべき点
膝への負担を少なくして大殿筋とハムストリングスに効かせるコツは、お尻を軽く後ろに突き出すようにすることです。そうすることで膝が前に突き出しにくくなる上、股関節の曲げ伸ばし動作が行いやすくなるからです。
(4)カーフレイズ
- 足幅を腰幅程度に広げ、つま先は正面に向けます。
- 壁に手を付いてバランスをとりながら、息を吐きながらできるだけ高くかかとを上げていき、上げ切ったところで1~3秒間キープします(写真左)。息を吸いながらゆっくりとかかとを床に触れないところまで下ろしていきます(写真右)。ふくらはぎの筋肉である「下腿三頭筋」に効かせることができます。
15~20回を、1分程度の休憩を入れながら3セット行います。
ポイント及び注意すべき点
ふくらはぎの筋肉にしっかりと負荷がかかるようにするために、エクササイズ中は足の真上に頭が位置するようにしましょう。
(5)有酸素運動
ウォーキングやジョギングなどといった、低強度で長時間続けられるエクササイズを行います。軽く息が弾む程度の強度で、15~20分程度行うようにします。
有酸素運動も低強度で行えば血流促進効果が期待できるので、肩こり解消につながると言えます。
どんなに辛い肩こりでもストレッチとエクササイズで解消できる!
この5つのエクササイズを、合間に休養日を挟みながら、週に3回行うようにしてみましょう。すると、肩こりの悩みから解放されるハズです!
肩こりはストレッチとエクササイズで十分解消できるものです。肩こりでお悩みの方、早速実践してみましょう!