両親がシニア世代で、そろそろ定年退職して第二の人生を歩もうとしていたり、すでに退職して仕事を探していたりする人は多いのではないでしょうか。
また、自分自身が定年退職した後の過ごし方、働き方について考えることもあるのでは。
日本の年金問題を考えると、60歳で退職をしてもまだまだ仕事を続ける必要がありそうです。けれどシニアになって「これ」と思える仕事に就けるだろうかという不安も感じますよね。
そんなセカンドキャリアについて、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の藤村博之先生に話をお聞きしました。
「年齢が理由で仕事が見つからなさそう」4割がシニア期の働き方に前向きになれない
出典:Indeed
「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社が50歳~79歳の1,800名(世代、男女で均等割付各300名)を対象に行った「シニア世代の就業に対する調査」によると、50代〜70代の58.3%がシニア期も「働きたい」もしくは「働く必要がある」と回答しています。
画像出典:Indeed
50代から70代で、すでにシニア期に働くことを見据えて検討や行動を開始している人は、全体の55.9%。一方で、シニア期も働く意欲・必要性がありながらも、その働き方について具体的に検討していない人が22.6%いました。
その理由として最も多く挙げられたのは「年齢が理由で仕事が見つからなさそうだから」(35.9%)。
約4割が自分自身の年齢を理由に、シニア期の働き方を考えることに前向きになれていないことがわかります。
Indeedが「シニア期に向けた『キャリア棚卸&発見シート』」を無料公開
画像出典:Indeed
そんな中、Indeedが仕事探し・セカンドキャリア支援のための「シニア期に向けた『キャリア棚卸&発見シート』」を無料公開しました。
このシートでできるのは、これまでのキャリアの棚卸、自身の強みやスキルの発見、仕事におけるアピールポイントの言語化、今後のキャリア形成に向けて必要なことの整理や設計。個人でも無料で利用できます。
こうしたシニア期の働き方やセカンドキャリアの検討を「できれば50代のうちからスタートしたほうがいい」と語るのは、Indeedと共同でこのシートを開発したセカンドキャリアコンサルタントの髙橋伸典さん。
転職経験があまりない50代・60代は、客観的に自分の強みや特徴を見つめ直す機会が少なく、今後の働き方やセカンドキャリアをどのように考えたらいいか、どこから手をつけ始めたらいいか悩みがちなのだとか。
「自分がそうなりそう」「親がまさに今、悩んでいる」と思った人もいるのではないでしょうか。
見落としがちなスキルは他業界でも通用する「応用スキル」、大学院での勉強もおススメ
画像出典:Indeed
セカンドキャリアを前にしてできることはないのか、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の藤村博之先生に聞いてみました。
――自分のキャリアを棚卸してスキルを再確認する中で、多くの人が見逃してしまいがしちな「スキル」はありますか?
藤村先生:スキルの応用性が見落とされがちです。
例えば、繊維産業で長く働いてきた方は、自分のスキルは繊維産業でしか活用できないと思いがちです。業務に関わる部分はそうかもしれませんが、組織運営という面は他産業でも十分に活かすことができます。
20人の部下を持って組織運営にたずさわってきた経験は、他産業でも十分に通用するのです。
自分が持っている能力を新しい環境の中でどう活かすことができるかを考えることを「能力の翻訳力」と呼んでいます。
一人でできる方はいいのですが、なかなか難しい場合があります。そのような時は、キャリアコンサルタントに支援を求めると良いと思います。
――セカンドキャリアを順調にスタートさせるために、特に女性が50歳から定年までの間にしておくといいことを教えてください。
藤村先生:勉強することです。特に、社会人向けの大学院に行くことをお薦めします。
どのような場面でも必要とされる能力は「問題発見力」です。問題は発見できなければ解決できません。問題を発見する力は理論を学ぶことによって鍛えられます。
大学院では、そもそも何が問題なのか、その問題はなぜ発生したのかといった点について議論します。教員から知識を学ぶことも大切ですが、学友との議論がとても役に立ちます。
脳が汗をかくくらい勉強することが必ずセカンドキャリアにつながります。
何歳からでも勉強は可能、通信制で通える大学院もたくさんある
10代・20代より社会を知った今のほうが、「学びたいこと」が明確になり、学びたい気持ちが強くなっている人もいるのでは。
大人になったからこそ学んで気づくことや理解できることも多そうです。
今から大学院なんて! と思う人もいるかもしれませんが、通信制で学べる大学院もあります。通信制なら入学金や授業料が安いのも魅力。
充実した老後を過ごすためにも、前向きに「学ぶ」ことを考えてみませんか。
取材/出典:Indeed