1月6~10日は第六十七候「芹乃栄う」(せりすなわちさかう)。せりが盛んに茂る時季といわれています。せりといえば、春の七草のひとつですね。
歌や語呂合わせで春の七草を覚えた方もいると思いますが、春の七草には、厄を祓うおまじないの歌もあるのだとか。
ちょうど1月7日は「人日(じんじつ)の節句」でもあり、七草粥をいただく日といわれています。今日はあらゆる厄を祓い、無病息災をもたらす、体にやさしい春の七草のご紹介です。
七十二候とは?
時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか? 流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。
季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。
「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。
春の七草と人日の節句
昔は年が明けたばかりの初春の野原に出て、若菜を摘む「若菜摘(わかなつみ)」が行われていたそう。1月7日の「人日の節句」は「七種(ななくさ)」とも呼ばれています。日本ではこの日、春の七草をおかゆなどにして、無病息災を祈ってきたのです。
春の七草は、地域によって違いがありますが、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろの7つが一般的。ちなみに七種の日に、その年はじめて手足の爪を切ることを「七種爪(ななくさづめ)」といって、その日に爪を切ると、七草をいただくのと同様、一年の邪気が祓われると信じられていたそうですよ。
七草のおまじない
昔から、「七草なずな 七日の晩に唐土(とうど)の鳥が日本の土地に渡らぬ先に 七草なずなを摘み入れてホーットトット ホーットトット」とはやしながら、包丁で七草を細かくたたく、おまじないがあることをご存知ですか?
地方によって歌詞も異なり、また、七草を7回ずつ合計49回たたいたり、たたき方も地域によって違いがあるそうです。面白いですね。
ちなみに「唐土の鳥」とは大陸から日本へ疫病をもたらす、悪いものごとの象徴なのだとか。新春から悪いことが寄り付かないように、七草をトントンとたたいておまじないをかけましょう。
春の七草粥のレシピ
七草におまじないをかけたら、今年はすこしだけ手間ひまかけて、土鍋で七草粥をつくってみませんか?
土鍋でつくったおかゆは絶品で、香りも味もちょっと違いますよ。新春は七草粥で美味しく厄払いを! それではレシピをご紹介しましょう。
【材料】(2人分)
米・・・1合
水・・・1000cc
七草セット(せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)・・・1パック
塩・・・適宜
【作り方】
1.お米は研いで、水と一緒に土鍋に入れて30分程浸けておきます。
2.せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざは、さっと洗って葉っぱをみじん切りに。すずな、すずしろは、なるべく薄く切っておきましょう。
3.水に浸けた米に、すずなとすずしろを土鍋に入れ、ふたをして中火にかけます。沸騰したら、弱火でコトコト40分。
4.火を止めます。残りの七草を加え、ふたをして余熱で1分ほど蒸らします。熱で葉がしんなりしたら、軽く混ぜて、最後にお塩で味を整えて完成です。
ほんのり塩気のある七草粥をいただくと、お正月も終わりなんだなと、しみじみ思いますね。
お友達や家族と新しい年の幸せを迎えるために、トントンと厄祓いをしながら、体にやさしい春の七草をいただきませんか?
【参考】『おもひでぎょうじ』絵 百瀬義行 監修 柳原一成/晋遊舎、『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂