別れたほうが幸せになれる……分かっているけれど、そんな苦しい恋愛を繰り返してしまう。恋愛依存に陥っていると、正しい判断ができないようになってしまいます。でも、それだけではありません。
気づかないうちに、自分でダメ男を作り出し、自分自身がその辛い恋の状態へ導いていることもあるのです。一体どういうことなのでしょうか。今回は、繰り返してしまう辛い恋について解説していきましょう。
重い女になってしまう・・・それが恋愛依存
彼という存在に強い執着をもつ恋愛依存。時には周囲に噓をついたり、友達との縁を切ってまで彼との関係を続けていきたいとすがったりしてしまう。そういう女性は、いつもいつも同じように苦しい恋をしてしまう傾向があります。「今度こそ」と選んだ優しそうな男性も、気づけば悪い男に大変身! なんてこともあるんです。
例えば、とても優しくて自分のことを思ってくれる……そう思ってつきあいはじめたのに、気づけばメールの回数が少なくなり、なんだか避けられてしまう……というように、彼女がいるのに合コンに出席したり、友達との遊びを優先してデートの予定をドタキャンしたりしはじめるのは、ひとつのサイン。「この子は何やっても俺についてくる」と甘え心が芽生えている状況です。
男性は本能的に追いかけたい生き物。そのため、「何をしてもこの子は離れない」という安心感をもつと同時に、他の女性や興味に目が向いてしまい、大切にしなくなってしまいます。つまり、恋愛依存に陥っている女性は、「浮気する相手が悪い」「いつも私に借りてばかりでお金にだらしない人ね」と、今の辛い状況を相手のせいにして、悪く思いがちなのですが、その人自身がつくりあげていることもあるんですね。
また、恋愛依存の女性は「私だったらこの人を変えられる」と、まるでお母さんのように振る舞うこともあります。けれども、その行動からして、相手を変えることはできません。相手を変えるのだったら自分を変えるのが先決というのが心理学の定説なのですが、「私は正しい。相手が悪い」と思い込んでいる状況では、自分を変えるつもりはないということ。正論で相手を追いつめれば追いつめるほど、男性は逃げたり、態度を悪化させたりしてしまいます。
だから、最初は「いい人!」と思っていても、いつしか悪い人に変化して、彼女の束縛から逃げようとしていく。結果、彼女は余計にその恋にしがみつく。というところまできてしまうと、すでに負のループに足を踏み入れている状態です。「最初はいい人だったのに、つきあってみたら暴力を振るう男性だった」なんてこともあります。実はコレ、もしかしたら、最初からいい人じゃなかった可能性もあります。
恋愛依存の女性は、コンプレックスが強く、自信がない人が多いため、残念ながらあまりモテません。自信がないから自分から積極的に動くこともしません。つまり、自分を相手にしてくれた数少ない人から選ばざるを得ないということになります。他の女性たちが「この人はちょっとやめておこう」と思う男性であっても、「せっかく私を選んでくれたのだから」と飛びついてしまうのです。
よく「残り物には福がある」といいいますが、恋愛シーンにおいては、「押し付けられた残り物には福はない」と思ったほうがよいでしょう。
恋の駆け引きはほどほどに・・・
誰でも、メールの頻度や返事が返ってくるまでの時間で愛情をはかることはあるでしょう。でもこのとき、あまり相手を試しすぎるのはNG。
「浮気しているんじゃないか」「他の女の子と飲んでいるんじゃないか」というネガティブな妄想に取り憑かれての駆け引きはいい結果を生みません。誰にでも、仕事が忙しかったり、体調が悪くてメールするのがしんどかったり様々な状況があります。そこに思いを寄せないで、すべて悪い方向へ妄想してしまうのは、単なる自分勝手な行動ともいえますよね。
さて、この「相手を試す行動」。一体なぜしてしまうのでしょう。それは、相手が「本当に私のことを好きなのか」を確かめたいから。恋愛依存に陥る女性は自信がない人が圧倒的に多く、自分への愛を補おうと恋愛に走ります。つまり、愛情の飢えが根っこにあるというわけです。多くのケースが、幼少期の愛情不足によって起こっています。多いのが次の2つ。
1. 幼い頃に両親が非常に不仲で、子どもを顧みる余裕がなかったなどの大きなトラブルが家庭にあった
2. 親の愛(束縛や干渉)が強すぎて、常にいい子ちゃんの仮面を被り、親の顔をうかがって生活していた
こういう風に育っても、もちろんすべてが恋愛依存になるわけではありません。逆に、過去の愛情面で問題がなくても、現在の状況によって恋愛依存に陥ることもあります。
現代にとても多いのが、集中できることや打ち込めるものがない人。つまり無趣味で、生活が仕事と恋愛で成り立っているような人です。仕事のストレスもすべて恋愛で解消しているため、彼との関係を失うのが怖くなってしまうのです。
人は、不満と不安があると、不満があってもガマンしてしまう生き物。一人になる不安のほうが大きいから、彼氏の浮気やDVなどの不満や不快があっても耐えてしまうのです。多忙な現代女子は、毎日仕事をこなすだけで精一杯という人も多いでしょう。そういう意味では予備軍はすごく多いと思います。
恋愛依存、どんな人がなりやすい?
さて、恋愛依存になる女性には一定の共通項があります。
1. 幼少期の愛情がたりない
自信のなさを生み出し、ありのままの自分を認めることができません。
2. 趣味がない
仕事以外に熱中できるものがないと、どうしても恋愛至上主義になりがちです。
3. 一人の時間を楽しめない
自分とじっくり向き合えないため、本心を無視してしまいがちです。
4. コミュ障気味
コミュニケーション上手な恋愛体質と逆で、コミュニケーションが得意ではない人が多い傾向があります。「彼氏だけいればいい」という心理状態になりがちです。
5. 過去に恋愛でトラウマがある
相手からひどいことをされ、信じられなくなってしまい束縛してしまうなど、過去のトラウマから恋愛依存になることもあります。
ただし、過去にひどいことをされたのは相手が悪いと思い込んでいるケースも少なくありません。どんなに相手が悪いことをしたとしても、「もしかしたら自分にその状況を作り出してしまった原因はないだろうか?」とじっくり振り返ってみましょう。過去の自分と向き合うことをせずに、次の恋愛に走ってしまうと、再び同じことを繰り返してしまう可能性があります。
いかがでしょうか? 自分に当てはまる! と思った方は、ぜひ次回の心理判断で、恋愛依存に陥っていないかチェックしてみてください。
【山名裕子】
メンタルオフィス「やまなmental care office」代表臨床心理士。
大学にて心理療法の心得と技術を学び、2013年に臨床心理士の資格を取得する。主に認知行動療法によってカウンセリングをすすめ、心の専門家としてメディア出演をはじめ幅広く活動中。