商業施設で利用することを前提に開発された特別なヘッドセットやオリジナルのコンテンツを楽しめるVR施設とは異なり、家庭用に販売されているVRヘッドセットとスペースをレンタルして楽しめるVRアーケード。日本では体験できる場所が少ないが、中国やマレーシアといったアジア圏の国々では施設数が増えているようだ。
こうした施設には、VR機器のメーカー自身が運営するもの、エンターテインメントやレジャーの分野に力を入れている企業が経営しているもの、個人が経営するものがある。もっとも、個人経営は売上とコストの割合からいって難しいところがあるようだ。
しかし、メーカーが関わるならば機器やコンテンツのPRスペースとしての役割も期待できる。VRにハマッてデバイスを購入してしまう来場者を増やすことができれば、必ずしもアーケードで大きな売上を挙げる必要はない。
ソニーが日本でそういったVRアーケードを展開するかもしれないという噂がある。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道から期待されているが、現在のところ公式には否定も肯定もされていない。
ソニーによるVRアーケードの可能性
ソニー・インタラクティブ・エンタテインメントの新しい「ロケーションベースのエンターテインメント部門」がこの分野を担当すると言われている。この部門が日本でVRアーケードを展開するパートナーとなる企業を探しているようだ。
日本にはゲームセンター文化が浸透しており、大きな駅の周辺には複数のゲームセンターがあることも多い。筐体を用意すれば立地を問わず遊べることから、郊外に大規模な店舗を構えていることもある。機械があればどこでも遊べて大勢の従業員も不要という特徴は、VRアーケードにも当てはまる。
現在はVRアーケードが少なく、全国で数か所しかない日本。しかも都会ばかりであり、多くの人が日常的に訪れるようなレジャー施設ではない。ソニーが公式にPSVRのアーケードを作るならば、ゲームセンターのように全国へ普及する可能性もある。
HTC ViveでソニーにとってのライバルとなるHTCは、中国でViveを使ったVRアーケードを展開している。同様に日本でソニーがPSVRのVRアーケードを作ったとしても驚くようなことではない。
VRアーケードのメリット
既存のVRアーケードと同様のシステムが採用されるとすれば、ユーザは利用時間ごとに利用料を支払うことになる。本体とコンテンツを購入すれば使い放題のPSVRをわざわざ有料でレンタルする必要はないと感じられるかもしれないが、試用目的ならば利用価値はある。
PSVRはハイエンドVRシステムの中では比較的価格が控えめであり、PS4本体を所持しているユーザならば手を出しやすい。だが、システム全体の価格はやはり1,000ドル近い。これはモバイルVRに比べればかなり高価だ。
モバイルVRならば、1万円程度で本格的なヘッドセットを購入できる。対応スマートフォンを持っているから購入してみようと考えるユーザも多いだろう。あるいは、千円程度から購入できるチープな製品もある。
金額のために購入を躊躇する消費者にPSVRを試してもらうスペースとして、VRアーケードには意味がある。購入には至らなくても、数時間プレイしていく利用者もいるかもしれない。
既にPSVRを持っているユーザが新しいVRコンテンツを探す手段としてアーケードを利用することも考えられる。PSVRにはViveで最近開始されたサブスクリプションプラン「Viveport Subscription」のようなシステムがないので、少額で複数のVRタイトルを試せる場としても価値があるはずだ。
ソニーからはこの報道に対してのコメントが出されていないが、実現の可能性は十分ある。ソニーにとっても、PSVRの購入を考えている消費者やPSVRを所有するユーザにとってもメリットがあるからだ。
メディアによる報道が行われてしまったことで、公式に何かの発表が行われそうだ。
参照元サイト名:ウォール・ストリート・ジャーナル
URL:https://www.wsj.com/articles/sony-goes-commercial-to-realize-the-potential-of-its-virtual-reality-headset-1491378818
参照元サイト名:Venture Beat
URL:https://venturebeat.com/2017/04/05/report-psvr-is-headed-to-virtual-reality-arcades-in-japan/
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