PCWorldがモバイル・ワールド・コングレスで発表されたMediaTekの最新チップ「Helio X30」を紹介している。300ドルから500ドルのミドルレンジスマートフォン向けのチップであり、手頃な価格とハイスペックを両立させるパーツだ。
最新の性能を持つスマートフォンに対する投資を惜しまない層にはあまり関係がないが、中価格帯のスマートフォンを使う層には新たな選択肢を提供してくれそうだ。
Helio X30の影響
MediaTekの10コアHelio X30チップがミドルレンジスマートフォンの性能を一気に引き上げるかもしれない。このHelio X30は、スマートフォンの心臓となるパーツだ。低価格スマートフォンに高解像度のカメラとスクリーン、高速LTE、高性能GPUをもたらしてくれる。
単に安くて早いチップというだけであれば、他にも選択肢はある。Qualcommの低価格品を使うという方法もあるだろう。しかし、Helio X30には他にも強みがある。それは、Google Daydream VRに対応する珍しいチップの一つであるという点だ。
このチップによって、300ドルで購入できるGoogle Daydream対応端末が登場する可能性すらある。300ドルならば、特にスマートフォンにこだわりを持っていないユーザが持っていてもおかしくない。「新しいスマホを買ったらDaydreamに対応していた」というのが普通になるかもしれない。
MediaTekの成長
現在、MediaTekのチップはアジア製の低価格端末に多く使われている。一方で、北米で主流となっているのはQualcommのチップである。特にハイエンド端末では高性能かつ高価格なQualcommのSnapdragon 835のようなチップが使用されている。
Helio X30の性能
Helio X30には、Snapdragon 835に使われているのと同等の技術が採用されている。しかし、パーツの価格を抑えるために通信速度や画像処理能力を犠牲にしているので同等の性能とまでは行かなかった。
LTEの通信速度について言えば、Helio X30内蔵のCat 10 LTEモデムは下り450Mbpsを実現する。対するSnapdragon 835は最大1Gbpsを実現する。数値だけを比べるならば、2倍以上のスピードだ。
ただ、内蔵モデムの性能によってネットワーク速度が変わることは多くないと思われる。実際には電波状況による影響が大きいからだ。
グラフィック性能についてもSnapdragon 835には最新の技術が使われている。しかし、Helio X30もDaydream VR対応のチップだ。スペック通りの性能を発揮してくれるならば、モバイルVR用として問題なく使えるだろう。
Helio X30を搭載する機種についてはまだ明らかになっていないが、数ヶ月以内には登場するだろう。
シェアの拡大
MediaTekはこのHelio X30チップで高性能スマートフォンチップのシェアを獲得したいと考えている。スマートフォンチップ市場におけるMediaTekのシェアは徐々に拡大を続けており、現在は全体の3分の1を占めるまでになっているという。
しかし、MediaTek=低価格~中価格帯のブランドというイメージが付いてしまっている。同社はこのイメージを覆すことを狙っている。
SNSやちょっとしたゲームといった一般的なスマートフォンの使い方であれば、十分にオーバースペックなHelio X30。Daydream VRではその性能を存分に発揮することができそうだ。
ミドルレンジでDaydream対応モデルが出てくるとなると、Gear VRの地位も危うくなるかもしれない。2016年に最も売れたヘッドセットとなったGear VRと、ようやく対応機種が増えるDaydreamの戦いが面白くなりそうだ。
ユーザの多さもあって、モバイルVRには広告利用を考える企業からの注目も集まっている。2017年には、どちらのプラットフォームでもコンテンツが充実していくだろう。
参照元サイト名:PCWorld
URL:http://www.pcworld.com/article/3174585/mobile/mediatek-wants-to-put-its-new-10-core-chip-in-300-vr-smartphones.html
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