宇宙飛行士の訓練にVRが活用されているという話は以前にも伝えたが、今回は訓練ではなく国際宇宙ステーション(ISS)へとVRヘッドセットが送られたらしい。このニュースはAir &Space Smithsonianに掲載された。
Oculus Rift、宇宙へ
今回宇宙へと旅立ったVRヘッドセットはOculus Riftだ。これまでにも宇宙でヘッドセットが使われたことはある。
ロシアの飛行士たちが360度映像を撮影したり、フランスのCNETがヘッドセットを使った神経生理学の実験を行ってきたという。しかし、一般に販売されているハイエンドVRヘッドセットが宇宙に行くのは初めてだ。
Riftの試練
これまでに宇宙ステーションで使われたヘッドセットと比べると、Oculus Riftはそれ自体が高性能であり、同時に高性能なPCを必要とする。これは地球上では大した問題にならないが、宇宙では大問題だ。
地球から宇宙ステーションへと荷物を運ぶためには、重力に逆らって打ち上げるしかない。重いものを運ぶにはそれだけ多くの燃料を使うことになり、荷物自体にも強いGがかかることになる。
宇宙飛行士やパイロットの訓練映像で、座席に押し付けられる様子を見たことがある読者も多いのではないだろうか。精密機器であるパソコンやヘッドセットにとって、圧力は酷だ。
幸いにも、RiftとVR対応のPCは可燃性や強度に関する試験に合格した。さらにその後は、各種センサーが無重力下でも機能することを確かめるために、急降下する飛行機内でのテストが行われた。
数々のテストをパスしたRiftは、ようやく宇宙ステーションに向かうSpaceXの貨物船へと積み込まれた。
性能の限界
宇宙では、様々な制約がかかる。重力は無く、空間も電気も制限付きだ。残念ながら、Oculus Riftの性能をフルに発揮させられるようなモンスターマシンも無いらしい。
宇宙ステーションで使われるPC(HPのZbook)は、宇宙開発の歴史から見れば高性能だ。しかし、高いスペックを要求するVR用として見ると理想的とは言い難い。
これまではヘッドセットもハイエンドなものではなかったため、ステーション内を撮影した360度映像はあまり画質が良くない。
来週には、VR映像が公開される予定になっているという。下の映像はSpace 360プロジェクトで現在公開されている宇宙ステーション内部の360度ビデオである。これよりも高画質な映像が見られるようになるはずだ。
高性能なヘッドセットで撮影された映像は、本当に宇宙ステーションにいるような感覚にしてくれるだろう。
参照元サイト名:Air &Space Smithsonian
URL:http://www.airspacemag.com/daily-planet/virtual-reality-comes-space-station-180962244/
参照元サイト名:Space 360
URL:http://space360.rt.com/
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