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反射や残響をコントロールしてVRの音をリアルにするSteam Audio SDKのベータ版がリリース


Steam Audioロゴ


Valveが1月に3D音響メーカーのImpulsonicを買収した。その音響技術がVRコンテンツの没入感を高めるソフトウェアSteam Audioとして活用されようとしている。


Steam Audioは、デジタルなオブジェクトによる音の反射や残響、そして遮断を再現してリアルな空気感を作り出す機能を持っている。


Steam Audioの扱い


Steam Audio SDKはGithubからダウンロードできる。許諾は必要なく、無料で作品に使用することが可能だ。サポートしているOSはWindows、Linux、macOS、Androidとなっている。


Steam Audio SDKは、Viveのような特定のVRデバイスでしか利用できないものではなく、任意のデバイスで使用できる。また、Steamのコンテンツ以外に使うのも問題ない。


Steam Audioの機能


音によってコンテンツの没入感を高める複数の機能が用意されている。


バイノーラルレンダリング


人間は音を聞くだけで、その音がどちらの方向から来たものかを認識できる。左右の耳に入ってくる音の微妙な音量の差やタイミングのズレといった小さな手がかりによって、無意識に音の方向を判断しているのだ。


機械的に再生されるゲーム内の音をそのまま耳に入れても、現実に発生している音のような手がかりがないので平面的な音になってしまう。Steam Audioでは、コンピュータへの負荷を抑えながら自然な音を作り出す。


音の遮断



音源と自分との間に何かがある場合、聞こえる音が小さくなったり音質が変化したりする。多くのゲームエンジンでこの変化が再現されているが、それは音源との間が「遮られている」「遮られていない」の2つの状態しか持たない。


Steam Audioは「部分的に遮られている」状態にも対応する。これによって、現実の音により近い変化を作り出すことが可能となる。


Steam Audioが音を遮るかどうかを判断するときには、既存のオブジェクト配置のデータを用いる。そのため、Steam Audioのために新たにオブジェクトの配置図を作成する必要はない。


これは開発者にとってありがたいシステムだ。作品の質を高める新機能は嬉しいものだが、それによって開発者の負担が増えてしまうのは望ましくない。


物理学に基づく残響


音の反射と残響は、空間オーディオを作り出すのに欠かせない要素だ。Steam Audioは、オブジェクト配置のデータを使ってその環境での残響をシミュレーションする。ユーザは音の変化によって周囲の状況を感じ取ることができる。


音の反射は、物体の素材によって異なる。Steam Audioは、シーンに存在するオブジェクトの素材に合わせて反射する音を変化させて残響計算している。


毛足の長いカーペットと、大きなガラス窓では後者の方が音を反射しやすい。全面ガラス張りの部屋では、響きが長く残る。反対にカーペットが敷かれた部屋では、音が吸収されてすぐに静かになる。


シミュレーションはリアルタイムで実行されるため、部屋の壁に使われる材質を変えたり、家具を置いたりした場合にはすぐに違いを確認できる。


リアルタイムな音の伝播



音にかかる効果は一定ではない。音源から出た音が壁や家具に当たって反射しながら聞き手の耳に入るからだ。音源や聞き手が移動している場合、リアルタイムにエフェクトを変化させることで自然な音を作り出せる。


だが、それを実現するのは難しい。これまでの開発者はこの効果を苦心して再現してきたが、Steam Audioは自動的に計算してくれる。


残響・伝播の固定


リアルタイムシミュレーションは体験の没入感を高めてくれるが、CPUへの負荷が高くなる。Steam Audioでは、あらかじめサウンドエフェクトを計算して用意しておく方式にも対応している。


音源や聞き手が移動しない静的なシーンでは、リアルタイムに残響をシミュレーションするよりもあらかじめ計算しておくことでエフェクトのクオリティを高められる。


ルームスケールのVRでプレイヤーが自由に主人公を移動させるのではなく、選択肢から行き先を選んで進んでいくようなVR作品では有効な方法だ。


Steam Audioを使用した開発


Steam Audioは、作品中の音響効果の質を高めてくれるソフトウェアだ。その効果は上にある動画で確認できる通りだが、特筆すべきは開発者にとっての負担が少ないツールであることだろう。


Steam Audioを使うためだけに新しく大量のデータを用意する必要がなく、既存のデータを使える。特に開発エンジンとしてUnityを使用している場合にはプラグインとしてSteam Audioを組み込むことができるため、効率的な開発が可能となるはずだ。


もちろん、Unity以外のエンジンでSteam Audioを活用することもできる。C言語のAPIが公開されているため、カスタムエンジンに組み込んでの利用も可能だ。


オープンプラットフォームを追求するValveならではの自由に使える点も見逃せない。大手デベロッパーのVRコンテンツのような音響効果を使いたい開発者にとっては、必修のツールとなるのではないだろうか。


 


参照元サイト名:Steam

URL:http://steamcommunity.com/games/596420/announcements/detail/521693426582988261


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