VRでは、行ったこともない世界中の名所を探索し、過去や未来を歩き回り、架空のキャラクターと冒険することができる。一方で、友人とのコミュニケーションにVRを活用することも可能だ。
だが、VRにおけるコミュニケーションではシンプルなアバターを通して表情やボディーランゲージを伝えることになる。人間の全身をスキャンしてデータ化するのはかなり難しいからだ。
全身のスキャンができる機械は既に実用化されている。しかし、それは3Dプリントでフィギュアを作る企業が利用するような大型で高価な業務用機械だ。小型の3Dスキャナも存在するが、本体のサイズに合った小さなものをスキャンするために設計されている。
それでも、VRに自分自身を登場させたいと願うのは自然なことだ。そんなユーザのために日夜研究を続けている企業がいくつもある。nanalyzeでは、そんな企業が五つ紹介されていた。
8i
8iは、生きているようにリアルな人間の3Dモデル作成に挑戦する企業だ。独自の「ライトフィールド技術」によって業界の注目を集めた同社は、これまでに約16億円の資金を集めることに成功している。
ライトフィールド技術
ユーザがVR空間内を自由に移動できるようにする技術。固定された視点から見回すのではなく、好きな方向からVRのオブジェクトを見られるようにする。一つのシーンに複数のカメラを使い、別アングルから撮影することで「ライトフィールド」の作成を実現する。
8iのホームページでは、サンプル動画が公開されている。
Shining3D
Shining3Dは3Dスキャンの業界におけるリーダー的な企業だ。同社は3DスキャナのEinScanシリーズを制作している。
このスキャナは、スキャンしたデータを3Dプリントする用途のために設計されている。しかし、VRコンテンツのためにそのデータを利用することも可能だ。
人間をスキャンするために使えないこともないが、スキャンできる範囲は少し小さい。もし大きなものをデータ化したいなら、スキャンを繰り返してそのデータを組み合わせる必要がある。
Uraniom
Uraniomは上二つの企業とは異なり、ゲームにおける自分自身のアバター制作に取り組む企業だ。同社の技術は、自分の作品にユーザ自身を登場させたいと考えるゲーム開発者を助けることができる。
ユーザは、自分を3Dスキャンに対応したモバイルデバイスでスキャンする。そのデータを同社のWebプラットフォームにアップロードし、連携しているゲームで使用することが可能だ。これによって開発者はゲーム内容の開発に力を注ぐことができるようになる。
Uraniomは、Unity、Unreal Engine、Babylon JSといった主要なゲームエンジンに対応している。Witcher 3やEA NBA 2k16といった人気タイトルにも同社の技術が採用されている。
今後もVR/ARコンテンツのユーザに向けたサービスに注力していくという。
Creaform
Go! Scan 3Dのような扱いやすい3Dスキャナを製造するメーカだ。このスキャナは15インチ四方の広いスキャン範囲と、電動ドリル程度の軽量・小型のボディを実現している。
本来は医療・設計・製造といった分野での利用を想定した製品だが、人体やそれ以上に大きなものをスキャンすることも可能だ。
Occipital
Occipitalが提供するのは、モバイルデバイスに取り付けて使用する3Dスキャン用の小型センサーだ。この小さなセンサーを取り付けるだけで3Dスキャンが可能となる。現在はiPadでの利用に対応している。
同社が成功したのは、サードパーティの開発者にハードウェアの利用を許したことによる部分が大きい。センサーを自由に利用できるようにしたため、多くのソフトウェア・サービスが同社のセンサーからのデータを使うようになった。
VRアバターの未来
VRアバターは簡単に作れなくてはならない。なぜなら、人は少しでも自分の見栄えが良くなればアバターを作り直したいと考えるからだ。少し痩せたときや髪を切ったとき、すぐに3Dスキャンを行って新しいアバターが作れる未来がやってくるだろう。
そうした未来に向けて、今回紹介されていた企業が大きな役割を果たすことになるかもしれない。あるいは、全く新しい企業が斬新な方法によってアバター作成に技術革新をもたらすことも考えられる。
SNSに写真をアップロードする代わりに、アバターの姿を変えて遠くの友人に今の自分を見せるようになるのだろうか?
参照元サイト名:nanalyze
URL:http://www.nanalyze.com/2017/01/scan-yourself-into-virtual-reality/
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