uploadvrが、Ubisoftのゲームディレクター、Olivier Palmieri氏が2年かけてリサーチし、制作された「Eagle Flight」の制作過程をVRDCのプレゼンテーションで説明していることについて紹介している。
VR酔いの原因とは
チームはまず、ヘッドセットを装着したことがある人ならほとんど誰もが経験したことのあるVR酔いを軽減するため、どんな原因があるのか調査を行った。
最初に調べたのは前庭動眼反射という、耳の中と視覚の間の動きの関係だ。
人には片耳ずつ三半規管があり、三半規管が脳に上がっている、下がっている、傾いてるなどの動作の情報を伝えている。
人がなにか動いているものに頭を動かさず注目した時、耳と目は直接つながり、衝動性眼球運動により焦点の調整をしている。
その人の見ているものと、内耳が受ける情報が一致しない場合、脳の防衛メカニズムが生理的に働くようになっており、脳が毒が体に作用にしていると思い込み、結果酔いを引き起こすのだ。
Palmieri氏はこの酔いの原因には二つのパターンがあると説明している。
- 動きを感じたけど、その動きが目に見えない場合(例えば車の中で本を読んでいる時など)
- 逆に動きを見てるがそれを体で感じない場合(例えば、宇宙空間など、重力がない状態の時)
そして、バーチャルウォールを通り抜ける時にも問題がある。
VRの特性として、壁や障害物をとおりすぎる時、脳はその衝撃を想定しているがそれが得られないため、びっくりしてしまうのだ。
Eagle Flightプロトタイプ完成まで
これらのリサーチに基づき、プロトタイプではVRでの快適さ、直感、レイテンシーゼロの正確なコントロールの三つのメインポイントに焦点をおいたそうだ。
最初のプロトタイプはパリのノートルダム大聖堂の中を探索できるもので、チームはこれをモントリオールでのカンファレンスに持っていき、プレイテストで大衆での反応を確かめた。
ゲーマー、ノンゲーマーを含む300人以上の人がプレイテストを行った。
そして、Eagle Flightプロトタイプができあがった。
彼らはこれを2015年のE3で披露した。
その結果、空を飛べるコンテンツが期待されることを再確認し、反響が好評だったため、Eagle Flightのプリアルファバージョンのデモをプロトタイプ初のパブリックイベントとなるGDC 2016で公開した。
自分の頭をコントローラーとして使うのは、少しリスキーな考えではあったが、彼らのリサーチとプレイテストがこれは直感的で、ハンドコントロールをわざわざ学ぶ必要がないと証明していたため、ヘッドセットコントロールを採用した。
Eagle Flightでは、頭を動かせば、レイテンシーゼロで快適にイーグルが飛んでくれる。
チームはワシが捕食者としてどのように周りが見えているかを調べ、捕食者目線に特化したビジョンを再現した。
曲がりくねっている地下墓地の通路を進むのはヘッドコントロールのなせるわざだ。
速度感覚のコントロール
Palmieri氏は彼らのゴールである快適なVR体験のため、何度も修正とテストしたと説明している。
次は前へと続く動きを確保することだ。
Eagle Flightでは速度感覚がしっかりコントロールされている。
プレイヤーはスピードをコントロールでき、飛んでくるものや風のトンネルなどがエッフェクトやビジュアルとしてスピード変化に使われている。
その他のエフェクトはダイナミックブラインダーと呼ばれるもので、Palmieri氏は最初これを見せた時は、みんな半信半疑だったと話している。
ダイナミックブラインダーはチームがNASAの宇宙での不快感軽減のためのリサーチにインスパイアされたフェイドブラックスクリーンのことで、障害物にぶつかりそうな時、視覚が狭まりぶつからないように導いてくれる。
多くの人がこのエフェクトは問題になるか邪魔になると思っていたそうだが、実際プロトタイプをしてくれた人になにか気になるところはあるが聞いたところ、みんな気づいてなかったそうだ。
Palmieri氏が言うには、人は自然に彼らが行きたい先に視線を集中するくせがあり、周辺の視界が限定されるのは同じような効果がある。
チームは酔う原因となる瞬間的なスピードブーストまたはストップは避けてプロトタイプを制作した。
Palmieri氏はQ&AでサウンドがVR投入感のキーだと述べており、シアターのような誇張されたサウンドを快適さのために使用したと話している。
最終調整として、それぞれの耳の音のバランスを調整し、動作と合うようなサウンドを制作した。
Eagle Flight トレーラー
VRゲーム制作のための3つのポイント
Palmieri氏は最後に、VRでの快適さをそこなわないためのゲーム制作のポイントを三点にまとめている。
一つ目は耳の中と視覚の感覚がずれるような事態をさけること。
二つ目はプレイヤーインプット抜きで、カメラを動かないこと。
プレイヤーが見ているものをコントロールできるようにする。
三つ目はフォームを考える前に、機能を考えること。
VRの強みを考え、それを元に制作する。
参照元サイト名:uploadvr
URL: http://uploadvr.com/how-ubisoft-created-eagle-flight-sickness/
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