BIMのデータを活用し、現実の建物を教材とした教育システムを全国展開
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、株式会社積木製作(本社:東京都墨田区、社長:城戸太郎)に制作を依頼し、ヴァーチャルリアリティ(VR)技術を用いたVR教育システム「VRiel(※1)」を開発しました。同システムを使用すれば、施工管理者向けの体験型研修を、場所を選ばずいつでも手軽に実施することができます。※1 VRiel:VR interactive e-Learning
VR技術を用いたVR教育システム「VRiel」
大林組では、数年前から建設現場における鉄筋配置の不具合防止など管理技術の伝承を目的とした体験型研修を行っています。
一般的な構造図ではすべての鉄筋の配置を表すことは難しく、細かい仕様は標準配筋図を参照します。そのため、施工管理の基本として、標準配筋図を頭に入れる必要があるとともに、工事現場を見て不具合箇所に気付く感性が必要となります。
これらを身に付けるために、自社施設内に、実際に鉄筋や型枠を組んだ教育用の躯体モックアップを構築し、鉄筋配置の不具合箇所を探す体験型研修を実施していますが、この研修は、体感度は高いものの不具合箇所が固定されているため、同じ受講者が繰り返し受講するには不向きでした。また、定期的にモックアップを作り替えたり、受講者が実習施設のある場所に移動したりする必要があるなど、コストと時間がかかっていました。
今回、「VRiel」を使用することで、場所を選ばず手軽に、工事現場さながらの環境で教育を実施することができ、また、素材としてBIMデータを活用できることから、さまざまな教育ツールを容易に作成することが可能です。
VR教育システム「VRiel」の主な特長は以下のとおりです。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を着用してVRielを使用
1.どこでも手軽に使用することが可能です
教育に使用する機材は、パソコンで対応可能な市販のVRシステムであるため、安価に導入でき、かつ屋内の研修会場のほか会議室や工事事務所などさまざまな場所で使用することが可能です。
VRシステムは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、コントローラ、センサーなどで構成され、2m四方のスペースがあれば設置できます。受講者はHMDを装着し、VR上に表れる教育用躯体の不具合箇所を探します。
2.多様なバリエーションの教育が実施できます
「VRiel」は、プログラムを変更するだけで不具合箇所を変更したり、追加したりすることができます。不具合箇所をランダムに組み替えることで難易度を調節し、同一の受講者が何度でも研修を受けることが可能です。
また大林組は、早くからBIM(Building Information Modeling)の活用にも力を入れてきました。「VRiel」の素材としてBIMデータを活用することで、鉄筋などの躯体、仕上げ、設備などの品質管理のほか、安全管理などさまざまな教育ツールを容易に作成することができ、教育内容の充実を図ることができます。
3.正解モデル、不正解モデルの両方を視覚的に確認できます
実物のモックアップと異なり、不具合個所について正解モデルと不正解モデルとをVR上で瞬時に切り替えられることから、受講者は視覚的に何が間違いか、本来どうあるべきかを知ることができます。
4.実際に身体を動かしてVR上を動き回り、不具合に気付く感性を身に付けることができます
受講者はVR上を移動したり、首を動かして視界を上下左右に動かしたり、工事現場と同様に身体を動かすことができます。また、施工管理に必要な図面や基準図、計測用のコンベックスなどはすべてVR上で確認、使用することができます。実際の工事現場と同様の環境で学習することにより、不具合に気付く感性を身に付けることができます。
VR上で図面の確認(左)やコンベックスの使用(右)が可能
5.タブレット端末でも学習が可能です
VR教育用に作成した教育プログラムを流用し、タブレット端末でも学習できるように、システム開発を進めています。
大林組は、VR技術を活用し技術者教育の充実を図ることでさらなる品質の向上に努めます。また今後は、教育のみならず、VR技術や、現実世界と仮想世界が融合したMR(Mixed Reality)技術を活用し、設計や施工管理業務の高度化を進め、さらなる省力化や高品質化を実現してまいります。
参照元:ニュースリリース
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