株式会社ジャパンディスプレイは、2016年11月21日、VRヘッドセットに最適化したディスプレイを開発したことを発表した。
ソニー、東芝、日立が出資しているジョイント・ベンチャー企業である同社は、2016年11月21日のプレスリリースにおいて、VRヘッドセットに最適化したディスプレイを開発したことを報じた。
現在市場に流通しているディスプレイは、主としてのスマートフォンのディスプレイを想定して開発されたものであり、深い没入感をもたらすVRヘッドセットに求められるスペックを想定していなかった。
そんななか、同社はVRヘッドセットに求められるスペックを満たしたディスプレイを開発した。
従来のスマホ用ディスプレイからVRヘッドセット用のそれに最適化されるに伴い、改善された仕様には以下のような3項目が挙げられる。
画面の滑らかさの向上
VRヘッドセットは、レンズを使ってディスプレイを拡大してユーザーに見せているという構造上、従来のディスプレイでは画面の粗さが目立つという課題があった。
新開発したディスプレイでは画面のキメ細かさを示す指標であるppi(pixel per inch:1インチ当たりの画素数)を400ppiから651ppiに向上。
ppiの向上により、画面に格子状の線が見える「ピクセル・ドア現象」を大幅に軽減させることに成功した(上の画像を参照)。
2017年には、ppiをさらに800にまで引き上げた製品をリリース予定。
動画ぼやけの改善
VRコンテンツでは、ユーザーの動作に連動して画面が激しく動くため、従来のディスプレイでは画面がぼけて見える「動画ぼやけ」が発生していた。
「動画ぼやけ」を改善するために、VR専用ディスプレイではリフレッシュレートを90Hz(1秒間に画面を90回描画する)、3ミリ秒で白黒の切り替えが可能な高速応答IPS液晶、ディスプレイ表示の10%の期間のみバックライトを点灯するブリンキングバックライトを採用した。
上記の仕様向上による「動画ぼやけ」の改善は、以下の画像を見れば一目瞭然である。
レイテンシーの改善
「動画ぼやけ」の改善のために90Hzのリフレッシュレートと高速応答IPS液晶を採用したことは、ユーザーの動作に連動して画面が描画されるまでの時間遅延=レイテンシーの短縮の改善にもつながった。
仕様概略
画面サイズ | 3.42インチ |
---|---|
1,440(横) x RGB x 1, 700(縦 | |
精細度 | 651 ppi |
リフレッシュレート | 90Hz |
液晶応答速度 | 3msec (白黒)、6msec (中間調応答ワーストケース) |
表面輝度 | 150cd/m2 (ブリンキングバックライト10%点灯時) |
コントラスト比 | 700:1(Typ.) |
シャープの凋落に見られるように斜陽の影がさしていた日本のディスプレイ産業が、VRビジネスの拡大とともに勢いを取り戻すことに期待したい。
VR専用のディスプレイを開発したこと伝えるジャパンディスプレイのプレスリリース
http://www.j-display.com/news/2016/20161121.html
Copyright ©2016 VR Inside All Rights Reserved.