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次のプラットフォームは"VR"と信じている --VRへの投資を加速するコロプラの今後の展開


2014年頃からいち早くVR領域への参入を決め、最近ではOculus Rift向けローンチタイトルとして「Fly to KUMA」と「VR Tennis Online」をリリースした株式会社コロプラ。


100%子会社で投資事業を展開するコロプラネクストとともに、国内外のVR関連企業支援に特化した「コロプラネクスト2号ファンド投資事業組合(Colopl VR Fund)」を設立。投資額は最大5,000万米ドル(約60億円)とコロプラ社のVR事業に対する思い入れの強さが垣間見える。


なぜ、日本勢が参入を足踏みしているこの時期に莫大な投資を決断できたのか?その理由は「次のプラットフォームになると信じているから」という点に他ならない。


今回はローンチタイトル2作を贈り出した開発チームのマネージャーである小林 傑(こばやし たけし)氏に、開発面の苦労やこわだりについて、またコロプラ社としての今後のVR展開に関してお話を伺ってきた。


仮想現実チーム マネージャーの小林 傑氏

開発チーム マネージャーの小林 傑氏


 


 


マルチプラットフォーム展開を推進


—-PlayStation®VRへの参入も表明されましたが、経緯があればお教えください。


小林氏:特に大きな経緯はありません。現状、ハイエンドVR HMDは「Oculus Rift」「HTC Vive」「PlayStation®VR」の3つがあげられると思いますが、その中でも一長一短あると思っていて、どこが一つが抜け出るかのか、もしくは三つ巴で凌ぎあうのか、正直状況が読めません。


だからこそコンテンツ制作の立場としては、マルチプラットフォーム展開を行う方が妥当かと感じていますので、PlayStation®VRに限らず、様々なプラットフォームにコンテンツを提供する予定です。


 


—-3つのプラットフォームに対して、今後は同程度の労力を割いて開発する予定でしょうか?


小林氏:そうですね。3月29日にOculus Riftのローンチタイトルとして「Fly to KUMA」と「VR Tennis Online」という2本のVRゲームを出させていただきましたが、今後は3つのプラットフォームに対して同程度リソースを割きながら開発していく予定です。


 


「VRらしさ」を出すノウハウ


—-開発面で苦労された点はありますか?


小林氏:「Fly to KUMA」で苦労したのは操作面です。実は「Fly to KUMA」は、VR空間内である一定のオブジェクトを移動させる方法や、オブジェクトを積み上げていく方法を検証していく中で生まれたコンテンツでなんです。


オブジェクトを仮想空間内で移動させようとしたときコントローラーのみだと2軸移動が直感的ですが実際は3軸で移動させなければなりません。


そこに視点移動を入れることにより直感的な3軸空間でのオブジェクトの移動を実現しました。


他にも本作の特性上、カメラアングルを移動させざるを得なかったのですが、単にカメラを回すだけだと酔ってしまうので、回転時に※ モーションブラーをかけて、かなり画質を落とすことで酔いの軽減に努めています。


また海外展開も視野に入れていたので、海外のユーザには何が受けるのだろうかと考えた時、モチーフであるクマに毒のある感じを入れた方が面白いと思い、切れるシーンを入れてみたはいいのですが、弊社のコーポレートキャラクターもクマでして・・・(笑)


※モーションブラー:モーションブラーとは動くものをカメラで撮影したときに生じるブレ・残像を人為的にいれること

 


切り刻まれながらプレイヤーを見てくるクマが切ない・・・

プレイヤーを見てくるクマが切ない・・・


 


—-まさかクマがあんな扱いされるなんて!と正直、驚きました(笑)


小林氏:そうですよね。その点はやはり心配だったので、弊社代表の馬場にも相談したのですが「これは別物だからいいんじゃない?」と言ってもらえ、思い切って進めました。


ですので、皆さんには「Fly to KUMA」のクマはコロプラのクマとは別キャラクターという認識をもっていただきたいです(笑)。


あとパズルの肝である難易度付けも難しかったです。我々は長時間、ゲームを楽しめる作品がゆくゆくは求められると考えているため、全120ステージを無理なくなるべく疲れないように遊ぶにはどう設計するのが良いのかという点を考えるのはかなり苦労しました。モバイルゲームでも同じだとは思いますが。


 


—-普通のゲームと同じように見えますが、”VR”になるだけで大きく発想が変わるのではないですか?


小林氏:そうですね。覗き込まないと見えないという発想は今までのゲームにはなかったと思うので、そういう所の「VRらしさ」を出していくのも結構大変で「空間把握力」の高い人の方が対応速度が速いように思います。


 


—-初めからVR開発が得意なメンバーがいた訳ではないと思いますが、その点は皆さんで話し合いながら進めたのでしょうか?


小林氏:弊社の社風としてエンジニアもデザイナーも役職関係なく企画を考えていこうという面があります。VR領域は誰もやったことがない分野だったため、弊社の社風が功を奏し、全員でアイディアを出しながら進める事ができました。


 


—-なるほど。「VR Tennis Online」の方での苦労はどのような点でしょうか?


小林氏:カメラの移動が最大の問題でしたね。一人称視点や俯瞰視点、審判視点などを試しただけでなく、VRの特性を活かした視点で考えた時、「ボール視点」というアイディアも出てきました。


ただ、ボール視点はめちゃめちゃ酔ってしまって・・・わかってはいたのですが(笑)


いろいろ試した結果、ユーザは最初の体験=VRになる可能性が高く、その体験で酔いが強いとネガティブな印象を持たれ兼ねないので、ローンチタイトルとして出すコンテンツは酔いを最大限抑えるべきだと考え、三人称視点を採用しました。


colo_game_tennis


もちろんキャラクターから離れれば離れるほど酔いにくくなるんですが、没入感との兼ね合いを考えると現在の距離感がベストかなと考えました。


あとは演出面でリアリティーを出すため、実際に見ている方向にキャラクターを動かすと移動速度が少し早くなるような仕様になっています。例えば、自分の後ろに飛んだボールは実際に視点を後ろに移動しないとボールに追いつけなかったりと、結構細かい工夫を施してリアルさを出しています。


 


colo_interview_02

—-今後、どんなジャンルのコンテンツを作っていく予定ですか?


小林氏:Oculus Touchを使った「Toybox」デモを体験した際、衝撃を受けました。その体験から今後はやはり、ハンドトラッキングのコントローラーが必要だと感じています。


自分のアクションに対してリアルタイムに反応してくれた方が没入感があると思うので、ある程度のエリア内を自分の体で動かしながら遊べるコンテンツを作っていかなといけないと考えています。


 


—-ありがとうございます。最後にVRに感じている可能性について教えてください。


小林氏:コロプラとしてはVRが次のプラットフォームになると信じています。


「PlayStation®VR」でも「HTC Vive」でも「Oculus Rift」でも、一家に一台VR端末を置いていただいて、みんながHMDを被ってゲームをする時代が来ればいいなと切に願っています。今後もVRコンテンツを提供していく予定ですので、ぜひ今後のコロプラをご期待ください。


colo_interview_03


 


ネクストプラットフォームは「VR」と信じて疑わないコロプラだからこそ、誰よりも早くVR事業へ参入し、今も規模を拡大し続けている。新作も複数タイトル予定しているみたいなので、今後のコロプラの動きが楽しみだ。


© 2016 COLOPL, Inc.


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